プレマネー・ポストマネーとは? 計算式と、調達額・持分比率の決め方

最終更新: 2026-09-12

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スタートアップの資金調達では「プレマネー」「ポストマネー」という言葉が必ず出てきます。投資を受ける前と後で企業価値をどう捉えるかを表す用語で、投資家が何%の株式を取得するのか、創業者の持分がどこまで下がるのかに直結します。金額の交渉に集中していると見落としがちですが、実務では「プレかポストか」「ストックオプションの枠をどちらに含めるか」といった前提の違いだけで、最終的な持分比率が数%単位で変わります。

本稿では、プレマネーとポストマネーの定義と計算式から始めて、1株当たりの発行価額と発行する新株数の求め方、実務でよく起きる誤解とトラブル、バリュエーションが実際にどう決まるのか、資本政策表(キャップテーブル)の作り方、そして中小企業・事業承継の文脈で気をつけたい点までを、通しの数値例とともに解説します。本稿の数値はすべて考え方を示すための例示であり、実際の条件は個別の交渉で決まります。

プレマネーとポストマネーの定義

まず定義を押さえます。とてもシンプルな関係です。

  • プレマネーバリュエーション(プレマネー):投資(出資)を受けるの企業価値。今の会社そのものにいくらの値段が付いているか、という数字です。
  • ポストマネーバリュエーション(ポストマネー):投資を受けたの企業価値。ポストマネー = プレマネー + 調達額 で計算します。

調達した現金はそのまま会社の資産として増えるため、投資直後の企業価値は「元の価値+入ってきたお金」になる、という理屈です。そして最も重要な式が次のものです。

投資家の持分比率 = 調達額 ÷ ポストマネー
(ポストマネー = プレマネー + 調達額)

分母がポストマネーである点が要点です。投資家は「投資後の会社」の一部を買うのですから、投資後の価値で割ります。ここをプレマネーで割ってしまうと持分比率を過大に見積もることになり、交渉の食い違いが生じます。

計算例:プレ2億円・調達5,000万円のケース

具体的な数字で確認します。プレマネー2億円で評価された会社が、5,000万円を調達する場合の例です。

項目計算金額・比率
プレマネー交渉で合意した投資前の企業価値2億円
調達額今回のラウンドで払い込まれる金額5,000万円
ポストマネー2億円 + 5,000万円2億5,000万円
投資家の持分比率5,000万円 ÷ 2億5,000万円20%
既存株主(創業者側)の持分100% − 20%80%

このように、プレマネーと調達額の2つが決まれば持分比率は自動的に決まります。逆にいえば、「20%までしか渡したくない」「5,000万円は必要」という2つの条件が先にあるなら、プレマネーは2億円以上でなければ成立しません。交渉では、この3つの変数(プレマネー・調達額・持分比率)のうち2つを決めると残り1つが確定する、という関係を意識すると議論が整理しやすくなります。

同じ調達額でもプレマネーが高いほど渡す持分は小さくなります。たとえばプレマネーが4億5,000万円なら、ポストマネーは5億円、投資家の持分は10%です。これが「バリュエーションを高くしたい」と言われる理由であり、既存株主の希薄化(ダイリューション)を抑えることにつながります。ただし後述のとおり、高すぎる評価額には別のリスクもあります。

1株当たり発行価額と、発行する新株数の求め方

実際の増資手続きでは、比率だけでなく「1株いくらで、何株発行するか」を決める必要があります。日本の実務では第三者割当増資によって新株を発行するため、発行価額と発行株数が登記や払込みの前提になります。計算の順序は次のとおりです。

  • 1株当たり発行価額 = プレマネー ÷ 発行済株式数(投資前の株数で割る)
  • 発行する新株数 = 調達額 ÷ 1株当たり発行価額
  • 発行後の総株数 = 発行済株式数 + 新株数

プレマネーを「投資前の株数」で割る点が肝心です。ポストマネーを投資後の株数で割っても同じ1株価額になりますが、順序としてはプレマネー基準で考えるほうが迷いません。先ほどの例に発行済株式数10,000株という前提を加えて、通しで計算してみます。

ステップ計算式結果
発行済株式数(投資前)前提10,000株
1株当たり発行価額2億円 ÷ 10,000株20,000円
発行する新株数5,000万円 ÷ 20,000円2,500株
発行後の総株数10,000株 + 2,500株12,500株
投資家の持分比率2,500株 ÷ 12,500株20%
創業者の持分比率10,000株 ÷ 12,500株80%

金額ベースで求めた20%と、株数ベースで求めた20%が一致しました。これが正しく一致していれば計算に矛盾はありません。実務では割り切れない端数が出るため、発行株数を丸めたうえで払込金額を調整したり、1株当たりの価額を円未満まで設定したりします。端数処理の方向によって持分比率が小数点以下で動くため、契約書には最終的な株数と払込総額を明記します。

発行価額が客観的な株価と比べて著しく低い場合、既存株主の利益を害する「有利発行」に該当し、株主総会の特別決議が必要になることがあります。第三者割当を行う際は、価額の根拠を残しておくことが実務上の防御になります。株価算定の考え方は非上場株式の評価方法もあわせてご確認ください。

よくある誤解とトラブル

プレ・ポストの計算式自体は難しくありませんが、実務のトラブルはほとんどが「前提のずれ」から生じます。代表的な4つを整理します。

1. 「プレかポストか」を明示せずに合意してしまう

最も多いのがこれです。「バリュエーション2億5,000万円で5,000万円入れます」と言われたとき、それがプレマネー2億5,000万円なら投資家の持分は16.7%(5,000万円÷3億円)、ポストマネー2億5,000万円なら20%です。同じ会話をしていたつもりでも、3ポイント以上の差が生まれます。

合意の解釈ポストマネー投資家の持分創業者の持分
プレマネー2.5億円と解釈3億円約16.7%約83.3%
ポストマネー2.5億円と解釈2.5億円20.0%80.0%

タームシート(条件概要書)の段階で、必ず「プレマネー◯円」「ポストマネー◯円」のどちらかを明記し、想定持分比率も併記しておくことが基本です。数字が3つ(プレ・調達額・持分)そろっていれば、解釈のずれはその場で発見できます。

2. ストックオプション(SO)プールをプレに含めるかどうか

役職員向けにストックオプションの枠(オプションプール)を確保する場合、その枠を「プレマネーの中に含める」のか「調達後に別途設定する」のかで、誰が希薄化を負担するかが変わります。投資家は自分の持分が守られるよう、プレマネーに含めること(プレマネー・オプションプール)を求めるのが一般的です。この場合、プールの分だけ創業者側が余計に薄まります。

先ほどの例(プレ2億円・調達5,000万円・創業者10,000株)に、2,000株分のSOプールを設定するケースで比較します。プレに含める場合は、投資前の株数を「創業者10,000株+プール2,000株=12,000株」とみなして1株価額を計算します(2億円÷12,000株=約16,667円、新株数は5,000万円÷16,667円=3,000株)。

ケース創業者投資家SOプール総株数(例)
SOプールなし80.0%20.0%12,500株
プールをプレに含める約66.7%20.0%約13.3%15,000株
調達後に全員負担で設定72.0%18.0%10.0%約13,889株

同じ「プール10%超」という話でも、プレに含めると創業者だけが負担し、調達後に設定すると投資家も一緒に薄まります。プールの大きさそのものより、どちらの方式かのほうが持分への影響は大きくなることがあります。プールは大きすぎても小さすぎても問題で、次のラウンドまでに採用する人材計画から逆算して決めるのが実務的です。

3. コンバーティブル(新株予約権付社債・J-KISS型)の転換を織り込んでいない

シード期には、評価額を先送りして資金を入れる仕組み(新株予約権付社債やJ-KISS型の新株予約権など)が使われます。これらは次のエクイティラウンドで株式に転換されますが、転換時には評価額の上限(バリュエーションキャップ)や割引率(ディスカウント)が適用されるため、次ラウンドの投資家より低い価額で株式を取得します。

たとえば、キャップ1億5,000万円で3,000万円を調達していた場合、転換価額は1億5,000万円÷10,000株=15,000円となり、転換株数は3,000万円÷15,000円=2,000株です。この2,000株を次ラウンドのプレマネーの株数に算入するのか、算入しないのかで、新規投資家と創業者のどちらが転換分の希薄化を負担するかが決まります。慣行としては転換分を織り込んだうえでプレマネーを計算する(=創業者が負担する)ことが多く、結果として創業者の持分は事前の想定より低くなります。

転換を織り込んだ例:投資前の株数を「創業者10,000株+転換2,000株=12,000株」として、プレ2億円で計算すると1株約16,667円。新規投資家は5,000万円で3,000株を取得し、発行後15,000株。持分は創業者約66.7%、転換した既存投資家約13.3%、新規投資家20.0%となります(例示)。

コンバーティブルを使うときは、締結時点で「次ラウンドでこう転換したら持分はこうなる」というシミュレーションを作っておくことが重要です。複数本を異なるキャップで発行していると、転換後の姿が直感と大きくずれることがあります。

4. 複数投資家が参加する同時ラウンド

1つのラウンドに複数の投資家が参加する場合、全員が同じ1株価額で払い込むのが原則です。ラウンド全体の調達額をポストマネーで割ったものがラウンド全体の希薄化で、各投資家の持分は「その投資家の払込額 ÷ ポストマネー」になります。

注意したいのは、リード投資家との合意後に追加の投資家が加わる場合です。調達額が増えればポストマネーも増えるため、既存株主の希薄化は当初想定より大きくなります。「プレマネー固定・調達額を上積み」なのか「ポストマネー固定・投資家間で枠を分け合う」のかを最初に決めておくと、後から揉めにくくなります。VC・エンジェル投資家それぞれの投資スタンスによって、この点の交渉姿勢も変わります。

バリュエーション(プレマネー)はどう決まるのか

では、そもそもプレマネーはどうやって決まるのでしょうか。結論からいえば、最終的には投資家との交渉で決まります。ただしステージによって、交渉のよりどころとなる材料は変わります。

ステージ主に参照される材料評価手法の位置づけ
シード期類似する調達事例の水準、創業チームの経験、市場規模(TAM)、プロダクトの進捗定量的な計算より、相場感と交渉が中心
シリーズA前後ユーザー数・売上・解約率などのKPI、成長率、ユニットエコノミクスKPI倍率や売上倍率が目安として使われ始める
シリーズB以降収益と利益の実績、事業計画の達成度、上場企業との比較類似会社比較法やDCF法が実質的な検証に使われる

初期のスタートアップでは、まだ利益がないためDCF法や類似会社比較法をそのまま当てはめても説得力のある数字になりません。この段階の評価額は、同じ時期・同じ領域の調達事例の水準に、チームと市場の魅力を加味した「相場と交渉の産物」という性格が強くなります。スタートアップのバリュエーション増資時のバリュエーションの相場観もあわせて参考にしてください。

一方、収益が積み上がってきた後期のラウンドでは、DCF法(将来キャッシュフローの現在価値)や類似会社比較法(EV/EBITDA倍率など)が、交渉の妥当性を検証する枠組みとして機能します。とくにSaaSのように継続収益が読みやすいモデルでは、ARR倍率など業種特有の指標も用いられます(SaaS企業のバリュエーション)。

なお、これらの手法が算定するのは事業全体の価値(企業価値)であることが多く、株主が受け取る株式価値とは有利子負債や現預金の分だけ差があります。この違いは企業価値と株式価値の違いで整理しています。プレマネーは通常、株式価値ベースの数字として扱われます。

資本政策表(キャップテーブル)の作り方

1回のラウンドの計算ができるようになったら、次はラウンドを重ねたときの姿を見通す番です。誰が何株持ち、比率がどうなるかを一覧にした表を資本政策表(キャップテーブル)と呼びます。作り方の基本は次のとおりです。

  • 行に株主、列にラウンドを取る:創業者、共同創業者、既存投資家、新規投資家、SOプールを行に並べ、各ラウンド後の株数と比率を列に記録します。
  • 比率ではなく株数を正とする:比率は総株数によって変わる従属変数です。株数を管理し、比率は都度計算する形にすると、端数や追加発行があっても崩れません。
  • 潜在株式を含めた「完全希薄化ベース」も併記する:ストックオプションや未転換のコンバーティブルをすべて株式に置き換えた前提の比率です。実際の議決権比率とは異なるため、両方を持っておきます。
  • 将来のラウンドを仮置きして逆算する:シリーズB・Cで「いくらのプレマネーで、いくら調達するか」を仮に置き、上場やM&Aの時点で創業者の持分が何%残るかを試算します。

先ほどの例の続きとして、シリーズAでプレマネー8億円・調達2億円(ポストマネー10億円)を実施した場合の推移を示します。シリーズAの1株価額は8億円÷12,500株=64,000円、新株数は2億円÷64,000円=3,125株です。

時点創業者投資家A(シード)投資家B(シリーズA)総株数
設立時100.0%10,000株
シード後80.0%20.0%12,500株
シリーズA後64.0%16.0%20.0%15,625株

注目したいのは、創業者だけでなく既存投資家Aの持分も20%から16%へ下がっている点です。新株発行による希薄化はすべての既存株主に及びます(投資家が持分維持のために追加出資する権利を契約で確保することもあります)。また、各ラウンドで20%ずつ渡していくと、3ラウンド目には創業者の持分が50%を割り込む計算になります。

持分比率は、単なる取り分の問題ではなく経営のコントロールに関わります。会社法上、普通決議には過半数、定款変更などの特別決議には3分の2以上の議決権が必要です(議決権)。「何%を守りたいのか」を先に決めたうえで、逆算して各ラウンドの調達額とプレマネーを設計するのが資本政策の考え方です。IPO(新規上場)を目指す場合は、上場時の売出しや公募でさらに希薄化することも織り込んでおきます。

また、優先株式を使う場合は比率だけでは実態を捉えられません。優先株式には残余財産の優先分配や種類株主総会での拒否権などが付くことが多く、持分が少なくても実質的な影響力は大きくなり得ます。詳しくは種類株式をご覧ください。

中小企業・事業承継の文脈での注意点

プレ・ポストマネーはスタートアップ特有の用語ですが、非上場の中小企業でも増資を行えば同じ計算をします。ただし、いくつか押さえておきたい違いがあります。

  • VC型の評価額は、M&Aの実現価格とは別物:ラウンドで付いたポストマネーは「その条件で一部の株式を引き受けた投資家がいた」という事実を示すもので、会社全体を現金で買う買い手が同じ金額を払うとは限りません。100%を取得するM&Aでは、買い手はシナジーや既存事業の収益力を見て価格を決めます(M&Aによる会社売却の流れ)。
  • 優先株式のみなし清算条項で、普通株主の取り分が変わる:優先株式には、M&Aで会社が売却された場合に清算とみなして優先的に投資額(またはその倍数)を回収する条項が付くことがあります。この条項があると、売却金額が期待より低いラウンドでは、普通株式を持つ創業者や従業員の取り分が持分比率どおりにはなりません。売却価格の水準ごとに誰がいくら受け取るかを試算しておくことが重要です。
  • 評価額を高くしすぎるリスク:高いプレマネーで調達すると希薄化は抑えられますが、次のラウンドで同水準を超えられないと評価額を下げた調達(ダウンラウンド)になり、既存投資家の希薄化防止条項が発動して創業者の持分がさらに減ることがあります。事業計画に見合った水準に収めるという判断も現実的です。
  • 事業承継の株価とは目的が異なる:親族内承継などで株式を移す際の株価は、税務上の評価ルールに沿って算定するのが基本で、投資家との交渉で決まるプレマネーとは前提が違います(事業承継時の株価算定)。同じ会社でも、目的によって「いくら」が変わる点に注意してください。

なお、株式による調達(エクイティ)と借入(デット)のどちらを選ぶかで、そもそも希薄化が発生するかどうかが変わります。調達手段全体の比較は資金調達の方法で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q. プレマネーとポストマネー、どちらで交渉すべきですか?

A. どちらでも構いませんが、一貫させることと、明示することが重要です。投資家は持分比率を確定させたいためポストマネー基準を好む傾向があり、起業家はプレマネーの大きさを訴求したくなる傾向があります。実務的には、タームシートに「プレマネー◯円/調達額◯円/ポストマネー◯円/投資家持分◯%」を4点セットで書いてしまうのが最も確実です。3つの数字が整合していれば、呼び方の違いで揉めることはありません。

Q. ストックオプションのプールは、プレとポストのどちらに入れるべきですか?

A. 投資家はプレマネーに含めること(創業者側が希薄化を負担する形)を求めるのが一般的です。起業家側としては、プールの大きさそのものを交渉対象にする、次のラウンドまでに実際に必要な枠だけ確保する、といった対応が考えられます。いずれにせよ、プールをどちらに入れるかで持分が数%変わるため、「プレマネーは投資前の実際の株数ベースか、プール込みの完全希薄化ベースか」を必ず確認してください。

Q. 評価額は高ければ高いほど得ですか?

A. 同じ調達額なら希薄化は小さくなるため、その意味では有利です。ただし、高い評価額には次のラウンドでそれを超える必要があるというプレッシャーが伴います。実績が追いつかずダウンラウンドになると、希薄化防止条項の発動、既存投資家との関係悪化、採用時のオプション設計への影響など、副作用が生じます。事業計画に対して説明できる水準かどうかが、実質的な判断基準になります。

Q. 次のラウンドで評価額が下がったらどうなりますか?

A. 前回より低い評価額での調達をダウンラウンドと呼びます。既存の優先株主に希薄化防止条項(転換価額の調整)が付いていると、既存投資家が受け取る普通株式の数が増える方向に調整され、その分だけ普通株主である創業者や従業員の持分がさらに下がります。調整方式(フルラチェット型か加重平均型か)によって影響の大きさが変わるため、条項の内容を最初に確認しておくことが重要です。ダウンラウンド自体は珍しいことではなく、資金繰りを優先して受け入れる判断もあります。

Q. ラウンドで付いた評価額は、M&Aのときの売却価格になりますか?

A. 必ずしも一致しません。ラウンドの評価額は、少数持分を引き受ける投資家が将来の成長を織り込んで合意した価格です。一方、M&Aの価格は会社全体を取得する買い手が、既存の収益力やシナジー、統合後のリスクを踏まえて決めます。結果として、直近ラウンドのポストマネーを下回る価格で売却されることも、上回る価格になることもあります。加えて、優先株式のみなし清算条項がある場合は、売却価格の分配順序によって創業者の手取りがさらに変わります。

Q. 中小企業でもプレ・ポストの考え方は使いますか?

A. 使います。外部から出資を受けて増資する場面では、上場・非上場を問わず「いくらの評価で、いくら入れて、何%になるか」を決める必要があるからです。ただし中小企業の場合、成長前提の評価より純資産や実際の収益力に基づく評価が用いられることが多く、評価額の考え方はスタートアップとは異なります。詳しくは非上場株式の評価方法をご覧ください。

まとめ

プレマネーは投資前、ポストマネーは投資後(=プレマネー+調達額)の企業価値で、投資家の持分比率は「調達額 ÷ ポストマネー」で決まります。1株当たりの発行価額はプレマネーを投資前の発行済株式数で割って求め、発行する新株数は調達額をその価額で割って計算します。計算式自体は単純ですが、実務のトラブルはプレかポストかの取り違え、SOプールをどちらに含めるか、コンバーティブルの転換をどう織り込むかといった「前提のずれ」から生じます。タームシートの段階で、プレマネー・調達額・ポストマネー・想定持分の4つを明示しておくことが最大の予防策です。

そして、1回のラウンドの計算ができたら、資本政策表(キャップテーブル)でラウンドを重ねた後の姿を必ず確認してください。株数を正として管理し、将来のラウンドを仮置きして上場やM&Aの時点の持分を逆算しておけば、「何%を守るために、どこまで調達できるか」という判断ができるようになります。中小企業や事業承継の文脈では、ラウンドの評価額とM&Aの実現価格、税務上の株価がそれぞれ別物である点にも注意が必要です。

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