M&Aバリュークラウドの使い方|登録からPDFレポート受け取りまでの手順
最終更新: 2026-09-12
「M&Aバリュークラウド」は、自社または対象会社の財務データをExcelで入力すると、企業価値評価レポートをPDFで受け取れるサービスです。担当者との面談や見積もりのやり取りはなく、登録から購入・ダウンロードまで画面上で完結します。このページでは、初めて使う方が迷わないように、登録からPDFを受け取るまでの流れを6つのステップに分けて解説します。あわせて、各ステップで実際につまずきやすい点も添えました。
主に使われているのは次のような場面です。ひとつめは会社のオーナー・経営者です。事業承継や譲渡を考え始めた段階で、「自分の会社はいくらぐらいなのか」という手元の目安がほしい、あるいは仲介会社から提示された金額が妥当かどうか、別の物差しでも確かめておきたいというケースです。売却を前提にしなくても、株価の水準を把握しておきたい、相続や役員退職金の検討材料にしたい、という使い方もあります。
ふたつめは買い手側の事業会社です。持ち込まれた案件の提示価格を検討する前に、自社で一度計算してみたい、社内の稟議や取締役会に「なぜこの価格か」を説明する材料を用意したい、という場面です。複数の候補先を同じ物差しで並べて比較する用途にも使われます。みっつめはM&A仲介・FA・税理士などの士業で、顧問先への提案や初期の価格感の提示に使われています。
いずれの立場でも、操作の流れは共通です。まず全体像を確認してから、ステップごとの手順に進みましょう。
全体の流れ:登録からPDF受け取りまで
作業の流れは次のとおりです。財務データがすでに手元にそろっていれば、入力にかかる時間が大半で、それ以外の操作は数分ずつです。
| ステップ | やること | 画面・場所 |
|---|---|---|
| 1 | 無料で登録してログインする | 登録ページ → ダッシュボード |
| 2 | 会社名・業種などを入力し、Excelテンプレートをダウンロードする | レポート作成(/reports/new) |
| 3 | ダウンロードしたExcelに財務データを入力する | 手元のExcel |
| 4 | 入力済みのExcelをアップロードする | レポート作成(/reports/new) |
| 5 | 画面でシミュレーション結果を確認する | レポート作成(/reports/new) |
| 6 | 購入し、PDFをダウンロードする | 決済画面 → マイページ |
ポイントは、購入の判断が最後にくることです。登録もシミュレーションも無料で、金額を払うかどうかは画面で結果の傾向を見てから決められます。ただし、無料の段階で表示される評価レンジはボカした状態で、確定値は購入後のPDFで開示されます。この点は後ほどステップ5で詳しく説明します。
ステップ1:無料で登録してログインする
登録に必要なのはメールアドレスとパスワードだけです。会社の登記情報や電話番号の入力、担当者との面談は不要です。確認メールを待つ必要もなく、登録した直後からそのままログインした状態で使い始められます。「まず中身を見てから考えたい」という段階でも、手続きで止まることはありません。
ログインするとダッシュボードが表示されます。ここが作業の起点で、作成したレポートの一覧や、新しいレポートの作成ボタンが並びます。登録した時点では何も作られていない状態なので、そのままレポート作成に進んで構いません。
なお、登録しただけでは費用は一切かかりません。無料プランや月額の自動課金といった仕組みではなく、レポートを購入したときにだけ、その都度の代金が発生する買い切りです。カード情報の登録も、購入する段階まで求められません。
ステップ2:Excelテンプレートをダウンロードする
ダッシュボードからレポート作成の画面(/reports/new)に進むと、まず会社名・業種などの基本情報を入力します。ここで入力した内容は、そのあと作成するレポートの表紙や前提条件に反映されます。基本情報を入力すると、財務データを記入するためのExcelテンプレートをダウンロードできます。
テンプレートは簡易版用と詳細版用の2種類です。どちらのレポートを作るかによって、入力する項目の量が変わります。簡易版は直近期の実績が中心、詳細版は複数期の実績に加えて事業計画も入力します。まだどちらにするか決めていない場合は、必要な資料の量から逆算して選ぶのが現実的です。この点は後述の「簡易版と詳細版の選び方」でも触れます。
テンプレートは白紙のフォーマットではなく、記入すべき勘定科目があらかじめ並んだ形式です。上から順に、決算書の数字を転記していく作業になります。
ステップ3:Excelに財務データを入力する
ダウンロードしたExcelに、決算書の数字を入力していきます。手元に用意しておくのは、基本的には決算書(貸借対照表・損益計算書)と、詳細版の場合は事業計画です。どの資料からどの数字を拾えばよいかは、企業価値評価に必要なデータ・資料で科目ごとに整理しています。入力を始める前に一度目を通しておくと、途中で資料を探しに戻る手間が減ります。
入力そのものは転記作業ですが、次の3点は結果に直結するため注意してください。
入力の単位をそろえる
最も多いつまずきが単位の取り違えです。決算書が千円単位で作られていると、その数字をそのまま貼り付けてしまい、評価額が桁違いになることがあります。テンプレートに指定された単位を必ず確認し、全シートで単位をそろえてください。売上高だけ円単位、資産は千円単位、といった混在が起きると、計算結果は意味をなさなくなります。入力を終えたら、売上高と当期純利益の桁だけでも決算書と突き合わせて確認しておくと安全です。
空欄の扱い
該当する取引がない科目は、無理に数字を入れる必要はありません。ただし、事業計画の欄を空欄にした場合は、前期の数値がそのまま据え置かれる扱いになります。「まだ決めていないから空けておく」と、横ばいの計画を入力したのと同じ意味になり、成長を織り込んだつもりの評価にはなりません。逆に言えば、横ばい前提でよい年度は空欄のままで構いません。意図した前提になっているかどうかは、入力後に一度見直してください。
事業計画は何年分を入れるか
詳細版のDCF法は、入力した事業計画の将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて計算します。したがって、計画の中身がそのまま結果を左右します。手元に正式な中期計画がない場合は、銀行提出用の資金繰り計画や来期予算をたたき台にして、無理のない見通しを置くところから始めてください。背伸びした計画を入れれば評価額は上がりますが、その数字を交渉で使えば計画の根拠を必ず問われます。手法そのものの仕組みはDCF法とはで確認できます。事業計画が用意できない場合は、実績だけで計算できる簡易版を選ぶという判断もあります。
ステップ4:Excelをアップロードする
入力が終わったら、レポート作成画面に戻ってExcelファイルをアップロードします。ファイルを選択すると内容が読み取られ、そのまま計算に進みます。
アップロードでエラーになる場合、原因の多くは次のいずれかです。
- テンプレート以外のファイルを選んでいる:自社で作った別のExcelや、以前ダウンロードした別種類(簡易版用と詳細版用の取り違え)のテンプレートは読み取れません。今回ダウンロードしたファイルかを確認してください。
- シートや行を追加・削除している:テンプレートは決まった位置の数値を読み取ります。見やすくするために行を挿入したり、不要に見えるシートを消したりすると、読み取り位置がずれます。レイアウトは変更せずに使ってください。
- 数値欄に文字が入っている:「-」「該当なし」「約1,200」といった記入や、単位の文字を数字と一緒に入れると、数値として読めません。空欄にするか、数字だけを入力します。
- ファイルを開いたまま操作している:Excelで開いたままだと一時ファイルが選択されることがあります。いったん保存して閉じてから、アップロードしてください。
エラーが出ても、入力したExcelはそのまま手元に残ります。該当箇所を直して、もう一度アップロードすれば問題ありません。何度やり直しても費用はかかりません。
ステップ5:画面でシミュレーション結果を確認する
アップロードが完了すると、画面上にシミュレーション結果が表示されます。ここで、入力した内容がきちんと反映されているか、極端な数字になっていないかを確認します。売上や利益の桁が想定と違っていれば、単位の入力ミスが疑われます。その場合はExcelを修正して、アップロードからやり直してください。
なお、この段階で表示される評価レンジはボカした状態です。確定した金額は、購入後に受け取るPDFレポートで開示されます。無料で結果の全体像をつかみ、必要だと判断したら購入する、という流れです。金額の水準をあらかじめ大まかに把握しておきたい場合は、登録不要の年買法 企業価値計算機やEV/EBITDA倍率 企業価値計算機で先に試算してみる方法もあります。
自分で計算する場合との違いを整理しておきたい方は、自分で企業価値を計算する方法や、他の算定手段との比較をまとめた株価算定ツールの比較もあわせてご覧ください。売却を検討する流れ全体の中でどの位置づけになるかは、会社売却シミュレーションで確認できます。
ステップ6:購入してPDFを受け取る
内容を確認して問題なければ、購入に進みます。決済はStripeによるクレジットカード決済です。価格は簡易版が2,200円、詳細版が5,500円(いずれも税込)で、買い切りです。月額費用や継続課金はなく、次に使わなければ料金は発生しません。
決済が完了すると、その場ですぐPDFをダウンロードできます。数日待つ、担当者から届くのを待つ、といった時間は発生しません。あわせて、完成をお知らせするメールも届きます。急いで社内に共有したい場面での使い方は企業価値評価レポートを即日で用意するでも触れています。
日本語の領収書はStripeから自動で送付されます。経費精算に使う場合は、届いたメールの領収書をご利用ください。購入したレポートはマイページから何度でも再ダウンロードできるので、ファイルを紛失しても作り直す必要はありません。
簡易版と詳細版はどちらを選ぶか
レポートは2種類あります。おおまかな違いは次のとおりです。
| 簡易版 | 詳細版 | |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 2,200円 | 5,500円 |
| もとにするデータ | 直近期の実績 | 実績+事業計画 |
| 主な手法 | 業種平均倍率による比較など | DCF法/類似会社比較法(個社選定)ほか |
| 根拠の掲載 | 計算結果が中心 | WACCの算定根拠・感応度分析・流動性ディスカウントを収録 |
| ページ数(A4) | 5ページ | 6ページ |
詳細版は、事業計画にもとづくDCF法に加え、類似する上場会社を自分で選んで倍率を適用する類似会社比較法、割引率であるWACCの算定根拠、前提を動かしたときの振れ幅を示す感応度分析、非上場株式に適用する流動性ディスカウントまでを収録したA4・6ページの構成です。簡易版は直近期の実績と業種平均倍率にもとづくA4・5ページで、事業計画がなくても作成できます。
どちらを選ぶべきか、目的別の判断基準や「まず簡易版、必要になったら詳細版」という段階的な進め方は簡易版と詳細版の選び方で詳しく整理しています。社外に出す資料として使う場面を想定している場合は、株価算定書が必要になる場面もあわせてご確認ください。
入力に必要な資料を先にそろえる
作業を止めずに進めるには、始める前に資料をそろえておくのが一番の近道です。基本は決算書ですが、詳細版では複数期分の実績と事業計画が必要になります。企業価値評価に必要なデータ・資料に、どの書類のどこから数字を拾うかをまとめてありますので、入力前のチェックリストとしてお使いください。
受け取ったレポートの読み方
PDFを受け取ったあと、「どのページを見れば結論が分かるのか」「複数の手法で違う金額が出ているが、どれを信じればよいのか」と迷うことがあります。評価レポートのサンプルと見方で、ページごとに何が書かれているか、レンジをどう解釈するかを解説しています。購入前にサンプルPDFで紙面を確認しておくと、届いたあとの理解が早くなります。
登録しなくても使える無料ツール
「まず桁感だけ知りたい」という段階では、登録なしで使える計算ツールがあります。いずれも入力した数値をその場で計算するだけのもので、アカウントは不要です。
- 年買法 企業価値計算機:利益と純資産から、中小企業の実務で使われる簡便な水準を出します。
- EV/EBITDA倍率 企業価値計算機:倍率を動かしながら企業価値の水準を確かめられます。
- DCF法 企業価値計算機:将来キャッシュフローと割引率から現在価値を計算します。
- レーマン方式 手数料計算機:M&Aの仲介手数料の目安を計算します。
- 売却手取り計算機:譲渡代金から税金等を差し引いた手取りの目安を確認できます。
これらのツールは単一の手法による試算なので、レポートのように複数手法を並べて根拠まで示すものではありません。当たりを付ける用途に向いています。
レポート以外に用意しているもの
自分で計算する方向けに、評価用データパック(2,200円・税込)を用意しています。業種別のβ、リスクプレミアム、無リスク利子率などをまとめたExcelで、自社のモデルに数値を取り込んで使えます。割引率の前提を自分で置きたい場合の材料になります。
M&A仲介・FA・士業など、支援する側の方向けには月額9,800円(税込)のプランがあります。評価レポートを件数の制限なく作成できるほか、案件管理、提案資料、契約書のひな形などが使えます。顧問先や案件が複数あり、レポートを繰り返し作成する立場の方はこちらが適しています。サービス全体の位置づけはM&Aバリュークラウドとはでご確認ください。
使う前に知っておいていただきたいこと
本サービスの評価レポートは、入力された財務データと前提にもとづく算定結果であり、第三者算定機関による意見書(フェアネス・オピニオン)ではありません。裁判所や税務当局に対して第三者の証明として提出することを想定したものではなく、そうした場面では専門機関への依頼をご検討ください。
また、企業価値評価に唯一の正解はありません。同じ会社でも、置く前提や採用する手法によって金額は変わります。レポートが示すのは「この前提で計算するとこの水準になる」というひとつの物差しであり、実際の取引価格は買い手ごとの事情や交渉によって動きます。数字を絶対視せず、判断材料のひとつとしてお使いください。
よくある質問
Q. 登録するだけで費用はかかりますか?
A. かかりません。登録は無料で、メールアドレスとパスワードだけで完了します。財務データを入力して画面上でシミュレーション結果を確認するところまで無料です。費用が発生するのはレポートを購入したときだけで、月額費用や自動更新はありません。カード情報の登録も、購入する段階まで求められません。
Q. 領収書は発行されますか?
A. 決済後、日本語の領収書がStripeから自動でメール送付されます。表示価格はいずれも税込で、簡易版が2,200円、詳細版が5,500円です。経費精算にはそのメールをご利用ください。
Q. 会社名を伏せて使うことはできますか?
A. レポート作成時に入力する会社名は、そのままレポートに表示されます。表示させたくない場合は、入力する名称をご自身の判断で調整することもできますが、その場合はPDFにもその名称が印字されます。社外に提出する資料として使う予定があるかどうかで、入力する名称を決めてください。
Q. PDFを紛失した場合、再ダウンロードできますか?
A. できます。購入済みのレポートはマイページから何度でも再ダウンロードできます。追加の費用はかかりません。パソコンを買い替えた場合でも、ログインすれば同じレポートを取得できます。
Q. 複数の会社を評価したいのですが、まとめて作れますか?
A. 同じアカウントで、会社ごとに何件でもレポートを作成できます。また、同じ会社について前提を変えた複数のレポートを作ることもできます。ただし、いずれも作成のたびにそのレポートの料金がかかる買い切りです。件数が多くなる場合は、レポートを作成し放題の月額プラン(9,800円・税込)を検討する選択肢もあります。
Q. 使い終わったあと、解約の手続きは必要ですか?
A. レポートは買い切りのため、解約の手続きは不要です。継続課金はなく、次に使わなければ料金は発生しません。アカウントはそのまま残るので、あとから同じログイン情報で過去のレポートを再ダウンロードできます。なお、月額プランを利用している場合は、そのプランのみ継続課金となります。
まとめ
M&Aバリュークラウドの使い方は、登録 → Excelテンプレートのダウンロード → 財務データの入力 → アップロード → 画面で結果を確認 → 購入してPDFを受け取るという6ステップです。時間がかかるのは実質的にExcelへの入力だけで、それ以外は数分ずつの操作です。購入の判断は最後にくるため、まず結果の傾向を見てから決められます。
つまずきやすいのは、入力の単位、事業計画の空欄の扱い(前期据え置きになります)、業種の選び方、そしてテンプレートのレイアウトを変更してしまうことによるアップロードエラーの4点です。この4つに気をつけていただければ、大きく迷うことはありません。どちらのレポートを選ぶかは簡易版と詳細版の選び方、入力前の準備は企業価値評価に必要なデータ・資料、受け取ったあとの読み方は評価レポートのサンプルと見方を、それぞれあわせてご覧ください。
なお、レポートは第三者算定機関による意見書ではなく、入力した数値と前提にもとづく算定結果です。判断材料のひとつとしてお使いください。
実際の紙面は購入前に確認できます。簡易版レポートのサンプルと詳細版レポートのサンプルをご覧いただくと、どこまでの内容が載るかが分かります。登録と試算は無料で、購入するかどうかは画面で結果を確認してから決められます。まずは無料で登録して試算するところから始めてみてください。