金融機関(銀行・保険会社)のバリュエーション|なぜEV/EBITDAが使えないのか
最終更新: 2026-06-19
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銀行・保険・リースなどの金融機関は、一般事業会社とはバリュエーションの考え方が大きく異なります。通常のEV/EBITDA倍率や事業価値ベースの評価がそのままでは使えないためです。
なぜEV/EBITDAが使えないのか
- 負債が「原材料」: 銀行にとって預金などの負債は事業の元手そのもの。一般企業のように「負債=差し引く対象」として扱えない
- 利息が本業の損益: 受取・支払利息は本業の中核。EBIT/EBITDA(利息控除前利益)が事業の実態を表さない
- 事業価値(EV)の概念が馴染まない: このため、企業価値ではなく株主資本(エクイティ)側で評価するのが基本
主に使われる評価手法
- PBR(株価純資産倍率): 純資産(自己資本)に対する評価。金融機関で最重視されやすい
- ROE・PER: 収益力(自己資本利益率)と利益水準。PBRはROEと連動して説明される
- 配当割引モデル(DDM)・残余利益モデル: 株主に帰属するキャッシュフロー(配当)や、自己資本コストを上回る超過利益から価値を算定
- 保険会社のエンベディッド・バリュー(EV): 保有契約の将来利益の現在価値+修正純資産。保険特有の指標(※前述の事業価値EVとは別概念)
評価で注目される固有の論点
- 自己資本の質と規制資本(自己資本比率などの健全性指標)
- 不良債権・与信費用(銀行)、保険の責任準備金・リスク
- 金利環境・利ざや(ネット・インタレスト・マージン)
よくある質問(FAQ)
Q. なぜ金融機関はPBRやROEで評価するのですか?
A. 負債が事業の元手であり事業価値(EV)の概念が馴染まないため、株主資本(純資産)側で評価します。自己資本に対するPBRと、その源泉であるROEが中心指標になります。
Q. 一般企業の評価手法はまったく使えないのですか?
A. EV/EBITDAなど事業価値ベースの手法はなじみません。一方、配当割引モデルや残余利益モデルなど、株主帰属ベースの手法が使われます。
まとめ
金融機関は、負債が事業の元手・利息が本業損益であるため、EV/EBITDAなど事業価値ベースの評価がなじみません。PBR・ROE・配当割引モデル・残余利益モデル、保険のエンベディッド・バリューなど、株主資本側の特有の手法で評価します。規制資本や与信費用など固有の論点も重要です。
※ 金融機関の評価は規制・会計が高度に専門的です。本記事は考え方の概要であり、実際の評価は専門家にご相談ください。