M&A仲介会社の選び方|比較の観点10と、面談で確認すべき質問リスト

最終更新: 2026-09-12

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会社を売却しようと決めたあと、多くの経営者が最初にぶつかるのが「どの会社に依頼すればいいのか分からない」という問題です。M&Aの支援を手がける会社は数多くあり、ウェブサイトを見比べても書いてあることは似通っています。実績件数の表示も、何をもって1件と数えているかは会社によって違うため、単純には比べられません。

本稿は、実際にどうやって選ぶかに絞って解説します。仲介とFAという契約構造そのものの違いについてはM&A仲介とFAの違いで扱っているので、そちらを前提に、ここでは「複数社をどう比較し、面談で何を聞き、どこに注意して決めるか」という実務の手順を扱います。特定の会社を推奨・批判するものではなく、ご自身で見極めるための観点としてお使いください。

選定の全体像:3社程度に相談して比較する

結論から言えば、依頼先は3社程度に相談したうえで決めるのが基本です。多すぎると情報管理の手間と漏えいリスクが増え、少なすぎると比較の物差しが手に入りません。3社であれば、報酬水準、想定される買い手像、進め方の説明、担当者の対応という4点について、それぞれの会社の言い分を突き合わせることができます。

1社だけで決めてはいけない理由

1社としか話していない状態では、次のことが分かりません。

  • 報酬が相場の範囲内かどうか:料率だけでなく、算定基礎・最低報酬額・着手金の有無を合わせた総額で見ないと高いか安いか判断できません。1社の見積もりだけでは比較対象がありません。
  • 提示された価格の目線が妥当かどうか:相談段階で示される金額は確定値ではなく、あくまでその会社の見立てです。複数の見立てを並べて初めて、幅の広さと根拠の差が見えてきます。
  • 想定される買い手が自社に合っているか:会社ごとに得意な業種・地域・買い手層が違います。1社の候補リストだけでは、他にどんな選択肢があったのかを知る機会を失います。
  • 担当者の説明が丁寧なほうなのか、平均的なのか:比較しないと、対応の良し悪しを判断する基準が持てません。

比較の機会は、専任契約を結ぶ前にしかありません。専任条項を含む契約を締結すると、契約期間中は他社への並行相談が制限されるのが一般的です。つまり「どこに頼むか」を選べるのは最初の一度だけで、そこを急ぐと、あとから条件を見直す余地がほとんど残らないということです。

比較のために複数社と話すこと自体は、失礼にもマナー違反にもあたりません。むしろ支援機関の側も、初回相談の段階では他社と比較されることを前提に提案しているのが通常です。隠す必要はなく、「他にも数社お話を伺っています」と最初に伝えてしまうほうが、条件面の説明も具体的になりやすいものです。

相談を始める前に整えておくもの

初回相談に手ぶらで行くと、こちらの情報が足りないために提案も一般論にとどまります。最低限、直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・販売費及び一般管理費の内訳)と、役員報酬・地代家賃などオーナー個人に関わる費用の内容、従業員数と主要取引先の概要を整理しておきましょう。これだけで、面談で受け取れる情報の密度が変わります。売却全体の進み方はM&Aによる会社売却の流れで確認できます。

また、情報を渡す前に秘密保持契約を結ぶのが原則です。初回の面談でどこまで開示するか、社名を伏せた状態で進められるかも、会社によって運用が異なります。この点は秘密保持契約(NDA)とはノンネームシートとIMで整理しています。

比較の観点10

複数社を並べるときは、印象や話しやすさだけで決めず、同じ項目について同じように聞いて表にするのが確実です。以下の10項目は、いずれも初回から2回目の面談までに確認できる範囲のものです。

観点何を見るか確認の仕方
1. 得意な業種・規模自社と同じ業種、同じくらいの売上規模の案件を日常的に扱っているか。得意領域から外れると、買い手候補の当てが薄くなる「当社と同じ業種で、直近1年に何件関与しましたか」と件数で聞く
2. 成約実績の見方累計件数だけでなく、その内訳。相談件数・成約件数・平均的な譲渡規模のどれを指しているのかで意味が変わる「その件数は成約ベースですか、相談ベースですか」「うち自社と同規模帯は何件ですか」
3. 担当者の経験会社の実績ではなく、実際に担当する人の関与件数と年数。若手が単独で担当する体制か、上位者がレビューする体制か「担当していただく方の関与実績と、社内のチェック体制を教えてください」
4. 買い手ネットワーク自社データベースなのか、他社との提携網なのか、プラットフォーム経由なのか。候補の層と打診できる範囲が変わる「どの経路で買い手候補にあたりますか」「同業以外の候補も想定していますか」
5. 報酬体系と算定基礎料率、着手金・中間金・成功報酬の構成、最低報酬額、そして算定の基礎が株式価値か移動総資産か。同じ料率でも支払額は大きく変わる自社の想定価格を当てはめた総額シミュレーションを書面でもらう
6. 専任/非専任とテール条項専任義務の範囲、契約期間と自動更新の有無、契約終了後に報酬が発生するテール条項の対象範囲と期間契約書のドラフトを受け取り、該当条項を自分で読む
7. 情報管理ノンネーム段階での開示範囲、社内での情報の取り扱い、買い手側にどの時点で何を渡すか。従業員や取引先に伝わるリスクの管理「社名が特定されない形でどこまで打診しますか」「社内で情報を見る人の範囲は」
8. 提案資料の質初回に出てくる資料が汎用のパンフレットか、自社の決算数値を読み込んだ内容か。数字の理解の深さが表れる決算書を渡した後の2回目の面談で、資料がどれだけ具体化するかを見る
9. 進め方の説明全体スケジュール、各段階で経営者が何をするか、トップ面談やデューデリジェンスへの同席・準備支援の範囲「着手から成約まで何か月を想定し、私は何をすればよいですか」
10. M&A支援機関登録の有無中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録しているか。補助金の利用を検討する場合は要件に関わることがある登録の有無と、公表されている登録名義を確認する

このうち実際の手取りに最も効くのは5番の報酬体系です。料率の仕組みはレーマン方式の計算方法で、水準の全体像はM&A仲介手数料の相場で解説しています。自社の想定価格を入れた概算はレーマン方式の手数料計算ツールで試せますので、面談前に一度計算しておくと、提示された見積もりを自分の数字と突き合わせられます。

「実績件数」をそのまま比較しない

比較で最も誤解が生じやすいのが2番の成約実績です。累計成約件数が多くても、その大半が自社とかけ離れた規模・業種であれば、自社の案件で活きる知見は限られます。逆に件数が少なくても、自社と同じ業種を集中的に扱っていれば、買い手候補の顔ぶれを具体的に語れるはずです。件数は「総数」ではなく「自社と似た案件の数」に置き換えて聞き直してください。

あわせて、直近の実績かどうかも重要です。買い手の関心は業界環境で変わるため、数年前の成約事例より、この1年に同業種で誰が買っているかのほうが実務的な価値があります。買い手側の動きの捉え方はM&Aの買い手の探し方で整理しています。

担当者を見るということ

依頼先を選ぶことは、実質的には担当者を選ぶことに近い性質があります。会社の看板が同じでも、担当者によって候補の提案量も、交渉の場でのふるまいも変わります。初回面談に来たのが営業担当で、契約後は別の実務担当に引き継がれる体制の会社もあります。誰が最後まで見るのかを、契約前に必ず確認しておいてください。

見るべきは、話のうまさよりも、質問への答え方です。答えられない質問に対して「確認して回答します」と正直に言えるか、逆にその場を取り繕う説明でしのごうとするか。この違いは、後で不利な情報が出てきたときの対応の仕方をかなり正確に予告します。

面談で聞くべき質問リスト

面談は、相手から説明を受ける場であると同時に、こちらが確認する場でもあります。同じ質問を3社に投げると、答えの具体性の差がはっきり出ます。次の7つは、最低限どの会社にも聞いてください。

質問聞く狙い良い回答の目安
当社と似た規模・業種の実績を教えてください自社の案件で経験が活きるかを確かめる件数と、差し支えない範囲での具体的な進み方を語れる
想定される買い手はどんな会社ですか候補の当てが実在するかを確かめる業種・規模・買収動機まで踏み込んで複数のタイプを挙げられる
想定価格のレンジと、その根拠は何ですか金額の出し方が説明可能かを確かめる手法(純資産+営業権、EBITDA倍率など)と前提を説明できる
費用の総額シミュレーションをください着手金・中間金・成功報酬・最低報酬・税を含めた実負担を把握する想定価格を当てはめた金額を書面で出せる
担当は誰が最後まで見ますか契約後の体制を確かめる担当者名と役割、交代時の扱いまで明示できる
途中で解約する場合の条件は何ですか合わなかったときの出口を確かめる解約手続、既払い金の扱い、違約金の有無を条文で示せる
他にも相談している会社があってよいですか比較検討への姿勢と、専任義務の発生時点を確かめる契約前は自由であることを説明し、専任の範囲を明確に区切る

想定価格のレンジは「数字」より「根拠」を聞く

面談で最も注意して聞くべきは、価格そのものではなく価格の出し方です。「御社なら3億円くらいでしょう」と言われたとき、確認すべきは次の点です。どの手法で計算したのか。営業利益に役員報酬などをどこまで足し戻して正常収益力を見ているのか。倍率を使うなら何倍で、その倍率はどの事例に基づくのか。純資産にどんな含み損益を反映したのか。ここに答えられる会社と、答えずに金額だけを繰り返す会社の差は非常に大きいものです。

価格の考え方の基礎は会社売却の相場はいくらかで解説しています。示された金額の妥当性を独立して検証したい場合はM&A価格のセカンドオピニオンもあわせてご覧ください。

費用は「率」ではなく「金額」で出してもらう

報酬の説明は、パーセンテージで語られると小さく感じられます。仮に想定価格が2億円だとして、その前提で着手金がいくら、中間金がいくら、成功報酬がいくら、合計でいくらになるのかを数字で書いてもらってください。そのうえで、成約しなかった場合に戻ってこない金額がいくらかも確認します。小規模案件では最低報酬額が実質的な負担を決めることが多く、率の比較だけでは差が見えません。

さらに、手元に残る金額は税引後で考える必要があります。株式譲渡の場合の概算は株式譲渡の手取り計算ツールで試算できます。実際の税額は取得費や個別事情で変わるため、最終的には税理士に確認してください。

契約書は面談の場で読み切らない

契約書のドラフトは、必ず持ち帰って読んでください。その場でサインを求められても応じる必要はありません。特に専任条項の範囲、契約期間と自動更新、テール条項の対象範囲と期間、途中解約時の既払い金の扱いは、条文の文言そのものを確認します。口頭で「柔軟に対応します」と言われた内容が書面にないなら、それは約束されていないのと同じです。

注意したい兆候

以下は、直ちにその会社が不適切だという意味ではありません。ただし、こうした場面に遭遇したときはいったん立ち止まり、説明を求めるべきサインだと考えてください。判断を急がされる状況ほど、確認の手間を惜しまないことが大切です。

  • 相場から離れて高い価格を示し、専任契約を急がせる:相談段階の金額は確定値ではありません。高い数字と契約の即決がセットで出てくる場合は、根拠を書面で求め、他社の見立てと並べてから判断してください。
  • 算定根拠を説明しない:「経験上このくらい」「買い手が付く水準です」といった説明にとどまり、手法や前提を聞いても具体化しない場合は、後の交渉でも価格の説明責任を果たしにくい可能性があります。
  • 契約書のドラフトをなかなか渡さない:条項を事前に読ませない運用には合理的な理由が見当たりません。締結前に全文を確認できるかは、透明性を測る分かりやすい指標です。
  • テール条項の期間が長い、対象範囲が広い:契約終了後も長期間、かつ「当社が紹介したか否かを問わず」に近い広い範囲で報酬が発生する定めは、他社に切り替える自由を実質的に奪います。期間と対象先の特定方法を必ず確認してください。
  • 着手金の説明があいまい:金額、支払時期、何に対する対価か、成約しなかった場合や途中解約の場合に返還されるのか。ここが口頭説明だけで書面に落ちていない場合は、明文化を依頼しましょう。
  • 他社への相談やセカンドオピニオンを強く嫌がる:比較検討を妨げる姿勢は、依頼者の判断材料を減らす方向に働きます。
  • 従業員や取引先への開示について慎重さが見えない:情報が漏れたときの損害は取り返しがつきません。開示範囲の管理方法を具体的に語れるかを見てください。開示のタイミングは従業員への開示タイミングで解説しています。
逆に、良い兆候もあります。想定価格の下振れ要因を先に説明する、成約しない可能性にも触れる、自社では扱いにくい案件だと正直に伝える。こうした説明ができる担当者は、都合の悪い情報も後から隠さない可能性が高いと考えられます。

登録制度とガイドラインの位置づけ

中小企業のM&Aについては、公的な枠組みが整備されています。一般的な整理として、次の2つを押さえておくとよいでしょう。

  • M&A支援機関登録制度:中小企業庁が、一定の要件を満たす支援機関を登録し公表する仕組みです。登録機関を利用することが、国の補助制度を使ううえでの要件になる場合があります。登録の有無は公表情報で確認できます。
  • 中小M&Aガイドライン:売り手・買い手が留意すべき点と、支援機関が守るべき行動指針を示したものです。仲介の立場や利益相反への対応方針の明示、専任条項・テール条項の適正化、セカンドオピニオンを不当に制限しないことなどが論点として扱われています。

費用面では、専門家に支払う費用の一部が「事業承継・M&A補助金」の対象になりうるとされています。ただし公募回ごとに要件・補助率・上限額・対象経費・締切が異なり、支援機関側が登録を受けていることが前提となる場合もあります。利用を検討するなら、依頼先を決める前に最新の公募要領を確認してください。概要は事業承継・M&A補助金、無料で使える相談窓口を含む支援制度の全体像はM&Aの公的支援制度で解説しています。

登録の有無は、その支援機関の力量を保証するものではありません。登録は「最低限の枠組みに乗っているか」を確認する材料であり、実際の判断は担当者の経験、提案の具体性、契約条件を見て行う必要があります。制度の内容は改訂されることがあるため、最新の公表資料をご確認ください。

自分で価格の目線を持ってから相談する

ここまで挙げた観点のうち、いくつかは自社の価値の目安を持っていて初めて機能します。想定価格のレンジが妥当かどうか、費用の総額が売却代金に対して重いのか軽いのか、提示された条件で交渉する価値があるのか。これらはすべて、比較の基準となる自分の数字がなければ判断できません。

目安を持つことの意味は、大きく3つあります。

  • 提示価格の妥当性を判断できる:自分の試算とかけ離れた数字が出てきたとき、「なぜそう見るのか」と根拠を尋ねる材料になります。高すぎる提示にも安すぎる提示にも同じように反応できるのが重要です。
  • 費用の重さを実感できる:想定価格に対する報酬総額の比率が分かると、着手金や最低報酬の意味が具体的に理解できます。
  • 面談での質問が具体的になる:「うちはEBITDAの何倍くらいで見られますか」「役員報酬の足し戻しはどこまで見込めますか」といった踏み込んだ質問ができ、相手の理解度も測れます。

なお、自分の試算は交渉で振りかざすためのものではありません。買い手の事情やシナジーによって実際の成約価格は上下しますし、決算書に表れない要素も評価に影響します。目的はあくまで、示された数字を鵜呑みにしないための物差しを持つことです。自力で概算する方法は自分で企業価値を計算する方法で解説しています。

あわせて、売却前に自社の課題を洗い出しておくと、面談での説明にも交渉にも余裕が生まれます。後から出てくる問題ほど価格の引き下げ材料になりやすいためです。準備の考え方はセルサイドDDと売却前の磨き上げを参考にしてください。譲渡規模が小さい場合は、仲介以外にプラットフォームの活用も選択肢になります(M&Aマッチングサイトの選び方スモールM&Aとは)。

よくある質問(FAQ)

Q. 大手と地域密着の会社、どちらがよいですか?

A. どちらが優れているという一般解はなく、案件の性質で変わります。大手は買い手候補の母数が大きく、幅広い業種の情報を持つ傾向があります。一方、地域に根ざした会社や地元金融機関は、その地域の買い手事情や取引先関係に詳しく、対面での対応が手厚いことがあります。判断材料になるのは規模そのものではなく、自社と同じ業種・規模・地域の案件をどれだけ扱っているかです。両方のタイプを1社ずつ比較対象に入れると、候補の顔ぶれの違いが見えやすくなります。相談先の種類全体は事業承継の相談先の選び方で整理しています。

Q. 複数社に同時に相談するのは失礼ではありませんか?

A. 専任契約を結ぶ前であれば、複数社に相談して比較するのは一般的な進め方です。支援機関の側も初回相談の段階では比較されることを想定しています。最初に「他にも数社伺っています」と伝えておくと、条件の説明が具体的になりやすい面もあります。ただし、専任契約を締結した後は他社への依頼が制限されるのが通常なので、どの時点から制約がかかるのかを契約書で確認してください。また、同じ買い手候補に複数の経路から重複して打診が行くと情報管理上の問題になるため、契約後は窓口を整理する必要があります。

Q. 手数料は交渉できますか?

A. 交渉の余地があるかどうかは会社と案件によります。料率表そのものを動かすのは難しいことが多い一方、着手金の有無や金額、中間金の割合、最低報酬額の適用、算定基礎の取り方については話し合いになる例があります。交渉するなら、他社の見積もりという比較材料を持ったうえで、総額でいくらになるかを軸に話すのが現実的です。ただし、安さだけで選ぶと、買い手候補の提案量や交渉支援の手厚さで差が出ることもあります。費用とサービス内容を合わせて評価してください。相場の考え方はM&A仲介手数料の相場をご覧ください。

Q. 契約後に担当者が変わったらどうすればよいですか?

A. まず、後任者の経験と、案件の経緯がどこまで引き継がれているかを確認してください。M&Aは経営者の意向や交渉の温度感といった、書面に残りにくい情報の比重が大きい取引です。引き継ぎが不十分だと、買い手との交渉が振り出しに戻ることがあります。対応に不安があれば、社内の責任者に体制の説明を求めるのが第一歩です。それでも改善しない場合に備え、契約時点で途中解約の条件を確認しておくことが有効です。担当者交代時の扱いを契約書に定めてもらえるか、契約前に相談しておくのも一つの方法です。

Q. 地方の会社でも依頼できますか?

A. 依頼できます。オンライン面談が一般化し、地域を問わず対応する会社が増えています。ただし、買い手候補が地域内に限られるのか、全国から探せるのかで結果は変わります。地方案件では、同一商圏の同業や、その地域への進出を考える企業が候補になることが多く、この見立てを具体的に語れるかが比較のポイントになります。無料で相談できる公的窓口として事業承継・引継ぎ支援センターが各地に設置されており、方向性を固める段階で活用する方法もあります(M&Aの公的支援制度)。

Q. 断るときはどう伝えればよいですか?

A. 契約前であれば、理由を詳しく説明する義務はありません。「社内で検討した結果、今回は他社にお願いすることにしました」と伝えれば十分です。メールでも問題ありません。気まずさから連絡を先延ばしにすると、先方が動き続けてしまい、かえって迷惑がかかります。決めたら早めに伝えるのが双方にとって親切です。なお、断る際に提供した資料の返却や破棄を依頼しておきましょう。秘密保持契約を結んでいる場合は、その条項に基づいて処理を求められます(秘密保持契約(NDA)とは)。すでに契約を締結している場合は、解約条項に沿った手続とテール条項の適用範囲を確認してから進めてください。

まとめ

M&A仲介会社の選び方は、突き詰めると同じ質問を複数社に投げて、答えの具体性を比べるという作業です。3社程度に相談し、得意な業種・規模、成約実績の中身、担当者の経験、買い手ネットワーク、報酬体系と算定基礎、専任とテール条項、情報管理、提案資料の質、進め方の説明、支援機関登録の有無という10の観点で並べれば、印象ではなく事実で判断できます。

面談では、似た規模・業種の実績、想定される買い手像、価格レンジとその根拠、費用の総額、最後まで見る担当者、途中解約の条件、他社への相談の可否という7点を必ず聞いてください。そして、極端に高い価格と契約の即決がセットで出てくる、算定根拠を説明しない、契約書を渡さない、テール条項が長い、着手金の説明があいまい、といった場面では、いったん立ち止まって説明を求めることが大切です。

これらの比較を機能させる前提が、自分で価格の目線を持っておくことです。基準となる数字があれば、提示された価格の妥当性も、費用の重さも、自分の物差しで判断できます。

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