企業価値・事業価値・株式価値(EV)の違い

最終更新: 2026-06-18

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バリュエーションでは「企業価値」「事業価値」「株式価値」という似た言葉が次々に出てきます。これらを混同すると評価額が大きくずれてしまうため、まず関係を正確に整理しておきましょう。M&Aの価格交渉や類似会社比較法DCF法の理解の土台になります。

3つの価値の関係

  • 事業価値(EV: Enterprise Value):本業の事業そのものが生み出す価値。
  • 企業価値:事業価値+非事業用資産(遊休不動産・余剰現金・投資有価証券など、本業に使っていない資産)。
  • 株式価値(Equity Value):株主に帰属する価値。企業価値から有利子負債(債権者に帰属する分)を差し引いたもの。

実務でよく使われる関係式は次のとおりです。

EV = 株式価値(時価総額)+ 有利子負債 − 現金及び現金同等物

言い換えると、株式価値 = EV − 有利子負債 + 現金等、です。買い手が事業を取得する際、対象会社の借入も引き継ぐ一方、手元現金は使える、というイメージで捉えると分かりやすくなります。

なぜ現金を引くのか

EVは「事業を取得するのに実質いくら必要か」を表します。買収後に対象会社の現金で借入の一部を返せると考えると、必要な正味の取得コストは「株式の対価+引き継ぐ借入−使える現金」になります。これがEVの考え方です。

簡単な数値例(イメージ)

株式の時価(株式価値)5億円、有利子負債2億円、現金0.5億円と仮定。
EV = 5億円 + 2億円 − 0.5億円 = 6.5億円
逆に、評価でEV 6.5億円が先に出た場合、株式価値 = 6.5 − 2 + 0.5 = 5億円

どの手法がどの価値を求めているか

手法まず求まる価値株式価値への調整
DCF法事業価値(EV)非事業用資産を加え有利子負債を引く
類似会社比較法(EV/EBITDA)事業価値(EV)有利子負債を引く・現金を足す
時価純資産法株式価値(純資産ベース)そのまま株主帰属
PER株式価値(純利益ベース)そのまま株主帰属

EV/EBITDAやDCF法はまず事業価値(EV)を算定し、そこから有利子負債を差し引いて株式価値を求めます。一方、時価純資産法PERは直接株式価値に近い値を出します。株式の売買価格は最終的に株式価値が基準になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 「会社の値段」と言うとき、EVと株式価値のどちらですか?

A. 文脈によります。M&Aの株式譲渡では株主が受け取る株式価値が基準ですが、事業の規模感を語るときはEVを使うこともあります。どちらの話かを意識することが大切です。

Q. 借入が多い会社は株式価値が小さくなりますか?

A. 同じ事業価値(EV)なら、有利子負債が多いほど株主に残る株式価値は小さくなります。逆に現金が潤沢なら株式価値は大きくなります。

Q. 時価総額と株式価値は同じですか?

A. 上場企業では時価総額=株式価値(市場が付けた値)です。非上場企業は市場価格がないため、評価で株式価値を推計します。

まとめ

事業価値(EV)・企業価値・株式価値は、「EV=株式価値+有利子負債−現金」という関係でつながっています。DCF法やEV/EBITDAはまずEVを求め、有利子負債等を調整して株式価値に落とします。「いくらで売れるか」を考えるときは、いま話しているのがEVなのか株式価値なのかを常に意識することが、評価額のズレを防ぐ第一歩です。

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