PER(株価収益率)とは? 計算式と目安の読み方、非上場企業の評価での使い方
最終更新: 2026-09-12
PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)は、株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。「いまの利益水準が続くとして、何年分の利益で投資額を回収できるか」という読み方ができるため、株式の割高・割安を測るものさしとして最もよく使われます。新聞や株式情報サイトで「PER15倍」といった表記を目にしたことがある方も多いはずです。
PERは上場株式の話だと思われがちですが、実務では非上場企業の株価算定でも登場します。類似する上場会社のPERを対象会社の純利益に当てはめて株式価値を概算する、という使い方です。ただしそのまま当てはめると実態から離れた数字になりやすく、純利益の正常化や非流動性の調整といった手当てが欠かせません。本稿では、PERの計算式と読み方の基本から、業種差の背景、逆数である益回りと資本コストの関係、実績PERと予想PERの違い、そして非上場企業の評価での具体的な使い方までを、計算例とあわせて順に整理します。
結論:PERは「利益の何年分か」を測る株式価値ベースの指標
先に要点をまとめます。
- 計算式はPER=株価÷1株あたり利益(EPS)。分母・分子をそろえれば、PER=時価総額÷当期純利益とも書けます。どちらも同じ数字になります。
- 単独では意味を持たず、同業・過去との比較で読む指標。何倍が適正かという絶対的な基準はなく、業種・成長性・金利環境で妥当な水準が変わります。
- PERの逆数は益回り(イールド)。PER20倍は益回り5%に相当し、投資家が求めるリターン(資本コスト)と裏表の関係にあります。
- 非上場企業では「類似会社のPER×対象会社の正常化後純利益」で概算する。純利益は役員報酬や特別損益で歪みやすいため、調整してから使うのが前提です。
- 赤字企業には使えない。分母がマイナスになるとPERは意味をなさないため、EV/EBITDAなど別の指標に切り替えます。
非上場株式の評価手法全体を先に俯瞰したい方は、非上場株式の評価方法や株式評価の3つのアプローチ比較もあわせてご覧ください。
PERの計算式:株価÷EPS、時価総額÷純利益
PERの基本形は次のとおりです。
PER = 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)
EPS(Earnings Per Share)は、当期純利益を発行済株式数で割った1株あたりの利益です。EPSやBPSの計算方法はEPS・BPSとはで詳しく整理しています。
この式は、分子・分母をそれぞれ株式数倍しても比率が変わらないため、会社全体の金額で書き換えられます。
PER = 時価総額 ÷ 当期純利益
1株あたりで考えるか会社全体で考えるかの違いだけで、結果は同じです。非上場企業のように株価が存在しない会社では、後者の「会社全体の純利益にPERを掛けて株式価値を求める」形のほうが扱いやすくなります。
PER = 1,500円 ÷ 100円 = 15倍。
同じ会社の時価総額が150億円、当期純利益が10億円なら、150億円 ÷ 10億円 = 15倍で一致します。
(仕組みを示すための例です。実際の水準は市況で変動します)
なお、PERが対象としているのは「株式価値」であって「事業価値」ではありません。純利益は支払利息を差し引いたあとの、株主に帰属する利益だからです。事業価値と株式価値の違いは企業価値と株式価値の違いで整理しています。この区別は、後述するEV/EBITDAとの使い分けを理解するうえで重要になります。
PERが高い・低いは何を意味するか
PERが高い会社は「将来の成長期待が織り込まれている」、低い会社は「割安かもしれない」と語られがちですが、実際にはどちらにも複数の解釈があります。数字の裏側にある事情を見ないと判断を誤ります。
| PERの水準 | 前向きな解釈 | 注意すべき解釈 |
|---|---|---|
| 高い(同業平均より上) | 利益の成長が続くと市場が期待している。参入障壁や高い収益性が評価されている。 | 一時的に利益が落ち込んで分母が小さくなっているだけ。期待が過熱している可能性もある。 |
| 同業平均並み | 成長期待もリスクも平均的と見られている。比較のベースラインになる。 | 「平均だから妥当」とは限らず、業種全体が高すぎる・低すぎる局面もある。 |
| 低い(同業平均より下) | 収益力に対して株価が控えめ。見直されれば上昇余地があるとも読める。 | 成長が乏しい、業績のブレが大きい、財務リスクが高いなど、低さに理由がある場合が多い。 |
つまりPERは、期待とリスクの両方を1つの数字に押し込んだ指標です。高いPERは「成長期待が大きい」と同時に「期待が外れたときの下振れも大きい」ことを意味します。低いPERは「割安」と同時に「市場が何らかの懸念を持っている」ことを示唆します。単独の数値だけを見て割高・割安を断じるのではなく、同業他社の水準、その会社自身の過去の推移、そして利益の中身とあわせて読むのが基本です。
特に注意したいのが、分母である純利益の変動です。固定資産売却益や保険解約益といった一時的な利益が乗っている期は純利益が膨らみ、PERは実力より低く(=割安に)見えます。逆に減損損失を計上した期は純利益が縮み、PERは実力より高く(=割高に)見えます。この歪みを取り除いた利益の考え方は正常収益力とはで解説しています。
業種によってPERの水準が違う理由
PERの水準は業種によって大きく異なります。これは市場が非合理なのではなく、業種ごとに利益の成長率とリスクの性質が違うためです。理論的には、PERは「今後の利益成長がどれだけ続くか」と「その利益がどれだけ確実か」の2つで決まります。
- 成長率が高い業種はPERが高くなりやすい:ソフトウェアやサービス業のように、追加投資が少なくても売上と利益を伸ばせる業種は、将来の利益が現在より大きくなる前提で評価されるため、現時点の利益に対する倍率は高く出ます。
- 利益の安定性が高い業種はPERが高めに出やすい:生活必需品やインフラのように景気変動の影響を受けにくい業種は、利益の確実性が高いぶんリスクが小さいと見なされ、倍率が支えられやすくなります。
- 景気変動が大きい業種(シクリカル)はPERが低めに出やすい:市況産業や設備投資関連は、好況期に利益がピークを付けるためPERがかえって低く見え、不況期には利益が落ちてPERが跳ね上がるという逆転現象が起きます。PERの水準だけでサイクル業種を判断するのは危険です。
- 資本集約型・規制業種はPERが低めになりやすい:多額の設備や自己資本を必要とし、成長余地が限られる業種では、利益に対して控えめな倍率が付きやすい傾向があります。金融機関のようにPBRが重視される業種もあります。
したがって、PERで比較するときは「同じ業種・同じような事業構造・同じくらいの規模」の会社同士でそろえることが前提になります。業種ごとの評価の勘所は業種別の企業価値評価のポイントで整理しています。
PERの逆数は「益回り」:資本コストとの関係
PERを理解するうえで押さえておきたいのが、逆数の意味です。
益回り(Earnings Yield) = 1 ÷ PER = EPS ÷ 株価
これは「株価に対して、1年間にどれだけの利益が生み出されているか」を利回りの形で表したものです。PER20倍なら益回りは1÷20=5%、PER10倍なら10%、PER25倍なら4%になります。倍率で語られるPERを利回りに直すと、債券の利回りや投資家が求めるリターンと同じ土俵で比べられるようになります。
| PER | 益回り(1÷PER) | 読み方の目安 |
|---|---|---|
| 8倍 | 12.5% | 高い利回りを要求されている=リスクや低成長が意識されている状態 |
| 12倍 | 約8.3% | 標準的な水準に近いレンジ |
| 20倍 | 5.0% | 低い利回りでも受け入れられている=成長期待や安定性が評価されている状態 |
| 33倍 | 約3.0% | 将来の大きな利益成長を前提とした水準 |
ここで資本コストとの関係が見えてきます。株主が期待するリターン(株主資本コスト)が高い会社ほど、同じ利益に対して支払われる価格は低くなり、結果としてPERは低く、益回りは高くなります。逆に、リスクが小さく安定した会社は低いリターンでも投資家が満足するため、PERは高くなります。株主資本コストの考え方はCAPMと株主資本コスト、加重平均した資本コストはWACCとはで解説しています。
利益が一定で永続すると単純化すると、理論上のPERは「1÷株主資本コスト」に近づきます。株主資本コストが8%なら12.5倍、10%なら10倍という具合です。実際には利益成長が加わるため、成長率のぶんだけ分母が小さくなり、PERはこれより高くなります。この構造がわかると、「金利が上がるとPERが下がりやすい」「成長期待が剥落するとPERが縮む」といった動きも理屈で理解できます。同じ発想を将来キャッシュフローに適用したのがDCF法で、PERはその簡易版とも言えます。
実績PERと予想PERの違い
PERは分母にどの期の利益を置くかで意味が変わります。実務では主に次の2種類が使い分けられています。
| 種類 | 分母に使う利益 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 実績PER(トレーリング) | 直近に確定した期の純利益 | 確定した数字なので客観的。ただし過去の実績であり、足元の変化は反映されない。 | 業績が安定している会社。検証可能性を重視する場面。 |
| 予想PER(フォワード) | 今期または来期の予想純利益 | 将来を織り込むため市場の見方に近い。ただし予想が外れれば数字も変わる。 | 業績が変化している会社。投資判断や価格交渉の目線合わせ。 |
一般に、利益が伸びている会社では予想PERは実績PERより低く出ます(分母が大きくなるため)。逆に減益局面では予想PERのほうが高く出ます。したがって、複数社を比較するときは実績どうし・予想どうしでそろえないと、比較が成立しません。「A社は12倍、B社は18倍」と並べる前に、どちらの定義かを確認する習慣が大切です。
非上場企業の評価で類似会社のPERを引用する場合も同じで、類似会社側で予想PERを使うなら対象会社側も将来見込みの利益を、実績PERを使うなら実績の利益を当てはめるのが筋です。片方だけ将来、片方だけ実績という組み合わせは、評価額を意図せず膨らませたり縮めたりする原因になります。
非上場企業の評価でPERをどう使うか
非上場企業には株価がないため、PERを「計算する」のではなく「借りてくる」形で使います。上場している類似会社のPERを求め、それを対象会社の純利益に掛けて株式価値を推計するアプローチで、類似会社比較法の一種です。
手順の全体像
- 1. 類似会社を選ぶ:事業内容、収益モデル、顧客層、規模感が近い上場会社を複数社選びます。1社だけだとその会社固有の事情に引きずられるため、複数社の中央値を使うのが一般的です。
- 2. 類似会社のPERを算定する:各社の時価総額÷当期純利益(または予想純利益)でPERを求め、極端な外れ値は除外します。赤字の会社や一時的な特別損益で利益が歪んでいる会社は、そのままでは倍率が意味を持たないため除きます。
- 3. 対象会社の純利益を正常化する:後述のとおり、非上場企業の純利益はそのままでは使えないことが多く、調整が必要です。
- 4. 掛け合わせて株式価値の目安を出す:正常化後の純利益 × 類似会社PERで株式価値を概算します。
- 5. 非上場ゆえの調整を検討する:流動性の差などを踏まえ、レンジとして提示します。
純利益は歪みやすいので正常化が必要
オーナー企業の決算書上の純利益は、そのままでは会社の実力を表していないことがよくあります。主な要因は次のとおりです。
| 歪みの原因 | 内容 | 調整の考え方 |
|---|---|---|
| 役員報酬 | オーナーの報酬が世間相場より高い/低い水準に設定されている。節税目的で利益を圧縮しているケースも多い。 | 同じ職務を第三者に任せた場合の相場水準に置き換えて利益を計算し直す。 |
| 特別損益 | 不動産売却益、保険解約返戻金、減損損失、災害損失など、毎期は発生しない項目。 | 反復性のない項目は除外して、継続的に稼げる利益に引き直す。 |
| 非事業用資産に関わる損益 | 事業に使っていない不動産の賃料収入、社用車・別荘の維持費、投資有価証券の評価損益など。 | 事業から切り離し、必要に応じて別途価値として加算・減算する。 |
| オーナー関連の費用 | 親族への給与、私的な交際費・保険料など、事業運営に必須ではない支出。 | 実態に応じて費用から除外し、利益に足し戻す。 |
| 税負担の差 | 繰越欠損金の有無、税額控除の適用など、期によって実効税率が大きく振れる。 | 標準的な実効税率を前提に、税引後利益を計算し直す。 |
PERは税引後の純利益を分母に置く指標であるため、営業段階より下の項目(支払利息、特別損益、税金)の影響を丸ごと受けます。そのぶん調整項目が多くなり、EV/EBITDAより手間がかかるという実務上の特徴があります。財務データの整え方は企業価値評価に必要なデータにまとめています。
非流動性ディスカウントとコントロールプレミアム
上場会社の株式は市場でいつでも売買できますが、非上場会社の株式は買い手を探すところから始めなければならず、換金性が大きく劣ります。この差を評価に反映するのが非流動性ディスカウント(DLOM)で、類似会社のPERをそのまま当てはめた金額から一定率を控除する形で検討されます。考え方は非流動性ディスカウントとはで解説しています。
一方で、M&Aのように会社の支配権ごと取得する取引では、少数株主として市場で売買される株価より高い価格が付くことがあります。これがコントロールプレミアムで、コントロールプレミアムとはで整理しています。ディスカウントとプレミアムは逆方向に働くため、どちらをどの程度考慮するかは取引の性質次第です。実務では単一の数字ではなく、幅を持ったレンジで示すのが一般的です。
EV/EBITDAとの使い分け
PERと並んでよく使われるのがEBITDA倍率(EV/EBITDA)です。両者は見ている「層」が違います。
| 観点 | PER | EV/EBITDA |
|---|---|---|
| 測っている価値 | 株式価値(株主に帰属する部分) | 事業価値(債権者と株主の双方に帰属する部分) |
| 分母の利益 | 当期純利益(税・利息・特別損益の影響を受ける) | EBITDA(営業利益+減価償却費。利息・税・償却の前) |
| 資本構成の影響 | 受ける。借入が多い会社は支払利息で純利益が減り、PERが歪む。 | 受けにくい。借入の多寡は有利子負債としてEVに反映される。 |
| 減価償却方針の影響 | 受ける。償却方法や耐用年数の違いが純利益に出る。 | 受けにくい。償却前の利益で比較するためならされる。 |
| 赤字企業への適用 | できない(分母がマイナスだと意味をなさない)。 | EBITDAが黒字なら使える場合がある。 |
| わかりやすさ | 株価と直結し、投資家になじみがある。 | 事業の稼ぐ力に着目でき、M&A実務で広く使われる。 |
中小企業のM&Aでは、借入の水準が会社ごとに大きく異なることが多いため、資本構成の影響を受けにくいEV/EBITDAが使われる場面が目立ちます。一方で、金融機関のように負債そのものが事業の原材料である業種では事業価値という概念がなじまず、PERやPBRといった株式価値ベースの指標が中心になります。詳しくは金融機関の企業価値評価をご覧ください。
実務では、どちらか一方に決めるのではなく併用してレンジを作るのが安全です。PERで出た金額とEV/EBITDAで出た金額が大きく食い違う場合、そこには資本構成の偏り、償却負担の重さ、あるいは一時的な損益といった説明可能な理由があるはずで、その理由を確認する作業自体が評価の精度を高めます。EV/EBITDAによる試算はEV/EBITDA倍率の計算ツールで、将来キャッシュフローからの試算はDCF計算ツールで手を動かしながら確認できます。
計算例2つ
例1:上場会社のPERを求める
株価 2,400円、発行済株式数 5,000万株 → 時価総額 = 2,400円 × 5,000万株 = 1,200億円。
当期純利益 80億円 → EPS = 80億円 ÷ 5,000万株 = 160円。
実績PER = 2,400円 ÷ 160円 = 15.0倍(=1,200億円 ÷ 80億円 でも同じ)。
益回り = 1 ÷ 15.0 = 約6.7%。
来期の予想純利益が100億円なら、予想EPSは200円、予想PER = 2,400円 ÷ 200円 = 12.0倍となり、増益見込みのぶん実績より低く出ます。
(仕組みを示すための例・目安です。実際の水準は市況で変動します)
例2:非上場会社にPERを当てはめる
決算書上の当期純利益 4,000万円。ただし次の事情があります。
・オーナー役員報酬が相場より年2,000万円高い
・当期に不動産売却益 1,500万円(一過性)を計上
・実効税率は30%と仮定
ステップ1:税引前で調整。役員報酬の戻し+2,000万円、売却益の除外△1,500万円。税引前利益ベースで差引+500万円。
ステップ2:税効果を反映。+500万円 ×(1-30%)= +350万円。
正常化後の純利益 = 4,000万円 + 350万円 = 4,350万円。
ステップ3:類似会社PERを当てはめる。類似上場会社5社の実績PER中央値を13倍と仮定すると、
株式価値の目安 = 4,350万円 × 13 = 約5.7億円。
ステップ4:非上場ゆえの調整。非流動性ディスカウントを仮に20〜30%と置くと、
調整後のレンジ = 約4.0億円 〜 約4.5億円。
(数値はすべて計算の流れを示すための仮定・目安です。実際の倍率やディスカウント率は個別事情と市況で変動します)
この例で確認したいのは、正常化を行わずに決算書の純利益4,000万円へそのまま13倍を掛けると約5.2億円となり、正常化後の約5.7億円と5,000万円ほどの差が生じる点です。役員報酬の設定ひとつで評価額が動くのが、非上場企業の評価の難しさであり、同時に「決算書をどう整えるか」が価格に直結する理由でもあります。自分で試算する手順は自分で企業価値を計算する方法で解説しています。
PERを使うときの注意点
- 赤字では使えない:純利益がマイナスだとPERは計算上マイナスとなり、比較の意味を失います。赤字が続く会社の評価は、EV/EBITDAや売上倍率、時価純資産法など別の方法に切り替えます。
- 利益がわずかな会社では倍率が跳ね上がる:分母が小さいとPERは数百倍にもなり、そのまま比較すると誤解を招きます。中央値を使う、外れ値を除くといった処理が必要です。
- 会計方針や税制の違いで比較がぶれる:償却方法、のれんの扱い、繰延税金資産の計上などで純利益は変わります。国際比較では会計基準の差も影響します(IFRSと日本基準の評価への影響)。
- 財務レバレッジの影響を受ける:借入を増やすと支払利息で純利益は減りますが、自己資本が小さくなるぶん1株あたり利益は増えることもあります。同業でも負債水準が違えばPERの比較は単純ではありません。
- 1つの指標で結論を出さない:PER、EV/EBITDA、PBR、DCF法など複数の切り口で試算し、幅として捉えるのが実務の作法です。評価結果の読み方は評価レポートの見方で整理しています。
よくある質問(FAQ)
Q. PERは何倍が適正ですか?
A. 一律の適正値はありません。業種、成長性、利益の安定性、金利環境によって妥当な水準は変わります。目安としては、同業他社の中央値と、その会社自身の過去数年の推移を並べて「相対的に高いか低いか」を見るのが実務的です。「日本株の平均は◯倍だから」といった全体平均との単純比較は、業種構成が異なるため参考程度にとどめるのが無難です。
Q. PERとEV/EBITDAはどちらを使えばよいですか?
A. 目的によります。株主にとっての投資回収を見るならPER、事業そのものの稼ぐ力を資本構成の影響を除いて比べるならEV/EBITDAが適します。中小企業のM&Aでは借入水準の差が大きいためEV/EBITDAが使われる場面が多く、金融機関などEVの概念がなじまない業種ではPERやPBRが中心になります。可能なら両方を計算し、差が出た理由を確認するのが最も学びの多いやり方です。
Q. 非上場企業のPERはどうやって調べればよいですか?
A. 非上場企業には株価がないため、自社のPERを直接計算することはできません。代わりに、事業内容や規模の近い上場会社を複数選び、その各社のPERを算定して中央値を求め、それを自社の正常化後純利益に当てはめます。類似会社の選び方や倍率の作り方は類似会社比較法で詳しく解説しています。
Q. PERが低い会社は買い得ということですか?
A. そうとは限りません。低いPERには理由があることが多く、成長が見込みにくい、業績のブレが大きい、財務リスクがある、特定の取引先に依存している、といった懸念が反映されている場合があります。逆に、市場が過度に悲観しているだけであれば見直しの余地もあります。数字の低さそのものではなく、その低さの理由を確認することが判断の出発点です(投資成果を保証するものではありません)。
Q. PERとPBRはどう使い分けますか?
A. PERは利益(フロー)に対する評価、PBRは純資産(ストック)に対する評価です。収益力を見るならPER、資産価値との比較や解散価値との関係を見るならPBRが向いています。両者は「PBR=ROE×PER」という式で結ばれており、ROEを挟んで一体的に読むと会社の姿がより立体的に見えてきます。
Q. 業績が特別に良かった期のPERで評価してもよいですか?
A. おすすめしません。一時的に利益が膨らんだ期の純利益に倍率を掛けると、実力以上の評価額が出てしまいます。実務では複数期の平均や、一過性要因を除いた正常収益力をベースに評価します。逆に、たまたま損失が出た期の数字を使うと過小評価になります。どの期の利益を使うかは、評価額を大きく左右する論点です。
まとめ
PERは「株価÷EPS」または「時価総額÷当期純利益」で計算する、株式価値ベースの代表的な指標です。高低は成長期待とリスクの両面を映すため、同業・過去との比較で読むのが基本になります。逆数の益回りに直せば投資家が求めるリターンと同じ土俵に乗り、金利や資本コストとの関係も理屈で理解できます。
非上場企業の評価では、類似上場会社のPERを対象会社の純利益に当てはめて株式価値を概算しますが、そのままでは使えません。役員報酬や特別損益による歪みを取り除いて正常化し、非上場ゆえの流動性の差も検討したうえで、幅を持ったレンジとして捉えることが大切です。赤字企業には使えないという弱点もあるため、EV/EBITDAやDCF法、時価純資産法と併用して複数の角度から確かめる姿勢が、納得感のある評価につながります。
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