建設会社・建築会社の売却相場|M&Aの価格の決まり方と許認可・技術者・受注の評価ポイント

最終更新: 2026-09-12

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建設会社・建築会社のM&Aは、後継者不在や技術者の高齢化、人手不足を背景に件数が増えている分野です。「うちの会社はいくらで売れるのか」「建築会社の売却相場はどのくらいか」と気になっている経営者の方も多いのではないでしょうか。建設業は、決算書の数字だけでなく、建設業許可・経営事項審査(経審)・施工管理技士などの技術者・元請との取引関係・受注残といった、財務に表れにくい要素が価格を大きく左右する業種です。

本稿では、建設会社・建築会社・工務店・設備工事会社を売却する際の相場の考え方を、年買法とEV/EBITDA倍率による目安と計算例で示したうえで、業態ごとの価値ドライバー、許認可・技術者・受注の評価ポイント、価格から差し引かれる簿外債務や退職給付債務、買い手のタイプによる評価の違い、価格を上げるための準備までを順に解説します。相場は会社の規模・収益力・時期・買い手の数によって大きく変わるため、以下はあくまで考え方と目安として参考にしてください。

結論:建設会社の売却価格は「収益力+純資産」に許認可・技術者・受注基盤の評価が加わる

先に全体像をまとめると、建設会社・建築会社の売却価格は、おおむね次の3つの要素の組み合わせで決まります。

  • 収益力:一過性の損益や役員報酬の水準などを調整した「実質的な利益」が、どのくらい安定して出ているか。
  • 純資産・財務の中身:現預金、未成工事の状況、有利子負債、退職金の積立状況、未払残業代などの潜在的な債務。
  • 建設業ならではの無形の価値:建設業許可(業種・一般/特定)、経審の評点、有資格の技術者、元請比率、主要取引先との関係、受注残。

中小の建設会社では、時価純資産に営業利益の数年分を加える年買法や、EBITDAに倍率を掛けるEV/EBITDA倍率法で相場感をつかむのが一般的です。そのうえで、許認可や技術者の引き継ぎがどこまで確実か、受注が特定の元請や経営者個人に依存していないかといった点が、評価レンジの上側に寄るか下側に寄るかを決めます。会社売却全般の相場観は会社売却の相場はいくらかでも整理しています。

建設会社・建築会社の売却相場の目安(年買法・EV/EBITDA倍率)

建設業の売却相場は「売上の何割」といった単純な基準では決まりません。売上が大きくても利益率が低い会社や、受注が一時的に膨らんでいる会社もあるためです。実務では、収益力と純資産をもとに複数の手法で目安を出し、そのレンジを交渉の出発点にします。代表的な手法と、一般に語られることの多い目安は次のとおりです。

手法計算の考え方中小の建設会社での目安(一般論)
年買法時価純資産+実質営業利益×年数営業利益の2〜5年分程度を加算するレンジで議論されることが多い
EV/EBITDA倍率法EBITDA×倍率=事業価値(EV)。ここから純有利子負債などを調整して株式価値へ一般に3〜6倍程度のレンジが目安とされることが多い
時価純資産法資産・負債を時価で評価し直した純資産収益力が弱い会社や、清算価値を確認する下限の目安として使われる
DCF法将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引く受注計画に裏付けがある中堅規模以上の案件で併用されることがある

年買法の考え方は年買法とは、倍率法の考え方は類似会社比較法(EV/EBITDA倍率)で詳しく解説しています。倍率や年数は、会社の規模、利益の安定性、元請比率、技術者の年齢構成、業界の再編状況などで上下します。上の数値は「よく見られるレンジ」の目安であり、個別の会社の価格を示すものではない点にご注意ください。

計算例:実質営業利益4,000万円の建設会社(仮の数値)

説明のため、次のような仮の建設会社を想定します。売上高10億円、決算書上の営業利益3,000万円、減価償却費1,000万円。役員報酬が同規模の会社の水準より1,000万円ほど多く、これを調整すると実質営業利益は4,000万円、実質EBITDAは5,000万円になるとします。時価純資産は2億円(現預金1.5億円、有利子負債5,000万円を含む)とします。

手法計算株式価値の目安
年買法(3〜5年分)時価純資産2億円+実質営業利益4,000万円×3〜5年約3.2億〜4.0億円
EV/EBITDA倍率法(4〜6倍)EBITDA5,000万円×4〜6倍=EV2.0億〜3.0億円、+現預金1.5億円−有利子負債5,000万円約3.0億〜4.0億円
簿外債務を控除した場合EV/EBITDA倍率法の結果から、退職給付の積立不足2,000万円・未払残業代1,000万円(いずれも簿外)を控除約2.7億〜3.7億円
上の数値はすべて説明用の仮の数値です。実際の倍率・年数は、業態、元請比率、受注残、技術者の在籍状況、買い手の数などで変わります。実質利益の調整や簿外債務の扱いによっても価格は大きく動くため、あくまで考え方の例・目安としてご覧ください。

この例のように、決算書の営業利益3,000万円だけを見るか、役員報酬などを調整した実質利益4,000万円で見るかで、価格の目安は数千万円単位で変わります。どこまで調整が認められるかは正常収益力とはで解説している考え方がベースになります。自社の数字で手早く確認したい場合は、年買法の無料計算ツールEV/EBITDA倍率の無料計算ツールで目安を出してみてください。事業価値と株式価値の違いは企業価値と株式価値の違いで整理しています。

建設業で「実質利益」を見るときの調整ポイント

  • 役員報酬・役員退職金:経営者の報酬を買収後の想定水準に置き換えて利益を調整します。
  • 工事の採算のばらつき:大型工事1件で利益が膨らんだ期や、赤字工事が出た期は、一過性の要素として平準化して見られることがあります。
  • 工事進行基準・完成基準の違い:収益の計上基準によって期ごとの利益が偏ることがあるため、複数期を並べて見るのが一般的です。
  • 重機・車両の減価償却:償却が進んだ設備が多い会社は、買収後の更新投資を織り込んで評価されることがあります。
  • 私的な経費・非事業用資産:社用車や保険、遊休不動産などは、利益と資産の両面から切り分けて評価します。

業態別に見る価値ドライバー(下請・工務店/住宅・設備工事・土木)

一口に建設会社といっても、専門工事の下請、住宅を手がける工務店、電気・管工事などの設備工事、公共工事中心の土木会社では、買い手が価値を感じるポイントがかなり異なります。業態ごとの主な価値ドライバーと、評価で注意されやすい点を整理すると次のとおりです。

業態主な価値ドライバー評価で注意されやすい点
専門工事の下請(躯体・内装・とび土工など)職人・技能者の人数と定着率、特定の元請との長年の取引、施工品質の評判売上が一部の元請に集中している、職人の高齢化、単価の交渉力の弱さ
工務店・住宅会社地域での知名度・紹介の流れ、施工実績、設計・営業の人材、アフター対応の体制個人向け需要の景気感応度、完成後の瑕疵・保証対応、集客が経営者個人に依存
設備工事(電気・管・空調・消防など)有資格者の人数、保守・メンテナンスの継続収入、元請比率、特定建設業許可資格者の退職リスク、資材価格の変動、繁忙期の人員確保
土木・公共工事中心経審の評点・格付け、地域での入札実績、重機・設備、監理技術者の配置力公共投資の予算動向、評点を支える財務・技術者の継続性、重機の更新負担

たとえば設備工事会社で保守・点検の継続契約が売上の一定割合を占めている場合、景気に左右されにくい収入として評価のプラス材料になりやすくなります。反対に、専門工事の下請で売上の大半が1社の元請からの受注という場合は、その取引が続くかどうかが価格に直結するため、取引関係の継続性を丁寧に説明することが重要です。業種ごとの評価の違いは業種別の企業価値評価のポイント、建設業の評価の詳細は建設業の企業価値評価のポイントもあわせてご覧ください。

建設業特有の評価ポイント:許可・経審・技術者・元請比率・受注残

建設業許可:業種・区分と「引き継げるか」が重要

建設業許可は、工事の種類ごとの業種区分、一般建設業か特定建設業か、知事許可か大臣許可かといった区分があります。取得には経営業務の管理体制や営業所ごとに置く専任の技術者など一定の要件が必要で、新たに取得するには時間と人材がかかるため、必要な業種の許可をすでに持っていること自体が買い手にとっての価値になります。特に、元請として大きな工事を下請に出す際に必要となる特定建設業許可や、複数業種の許可を持っている会社は、評価のプラス材料になりやすい傾向があります。

一方で注意したいのが、許可要件を満たしている人が経営者本人だけというケースです。株式譲渡で会社ごと売却しても、経営者の退任によって経営業務の管理体制や技術者の要件を満たせなくなると、許可の維持に支障が出るおそれがあります。買い手は「譲渡後も許可要件を満たし続けられるか」を重点的に確認するため、要件を満たす人材を複数確保しておくことが価格の安定につながります。許可の要件や手続きは制度改正もあるため、具体的には行政書士などの専門家や許可行政庁に確認してください。

経営事項審査(経審):公共工事の受注力を示す指標

公共工事を元請として受注するには、経営事項審査を受けて評点を得ることが前提になります。経審の評点は、完成工事高や自己資本、経営状況(財務内容)、技術職員の数や資格、社会性などの項目で構成され、発注者の格付けや入札参加の可否に影響します。公共工事の比率が高い会社にとっては、評点の水準がそのまま受注力を示すため、買い手も重視するポイントです。

ただし、評点は過去の実績と現在の技術者・財務に支えられているものです。買収後に技術者が退職したり、財務内容が変わったりすると評点が下がる可能性があるため、買い手は「評点そのもの」より「評点を維持できる体制」を見ます。評点を上げるための一時的な対策よりも、技術者の継続と安定した財務を示すほうが評価につながりやすいと言えます。

技術者(施工管理技士など):許可・受注・評点の土台

1級・2級の施工管理技士や建築士、電気工事士などの有資格者は、許可の要件、工事現場への主任技術者・監理技術者の配置、経審の評点のすべてに関わる、建設会社の価値の中核です。技術者の確保が難しい状況が続いているため、有資格者を採用する代わりに会社ごと引き継ぎたいという動機で買収を検討する買い手も少なくありません。

評価では、有資格者の人数だけでなく、年齢構成、勤続年数、M&A後も在籍し続ける見込みが確認されます。有資格者の多くが60代以上で数年以内に引退する見込みがある場合は、将来の許可維持や受注力に不安があるとして、価格が抑えられたり、引継ぎ条件が付いたりすることがあります。若手の資格取得支援や育成の仕組みがあれば、それ自体が評価材料になります。

元請比率・取引先の分散:利益率と交渉力の目安

元請として受注する割合が高い会社は、価格決定力があり利益率も確保しやすいため、一般に評価されやすい傾向があります。下請中心の会社でも、複数の元請と安定した取引があり、特定の1社への依存度が低ければ、事業の安定性として評価されます。反対に、上位の取引先1社で売上の大半を占める場合は、その取引が買収後も続くかが最大の論点になり、取引継続を条件とした支払い方法(業績連動の対価など)が提案されることもあります。

受注残・工事の採算:将来の売上の裏付け

受注残は、将来の売上の見通しを裏付ける重要な資料です。受注残が十分にあり、それぞれの工事の見込み利益率が妥当であれば、事業計画の信頼性が高まり、評価レンジの上側を狙いやすくなります。一方、受注残の中に赤字が見込まれる工事が含まれている場合は、その損失見込み額を価格から差し引く調整が行われるのが一般的です。工事ごとの実行予算と進捗、原価の管理状況を整理しておくと、買い手の確認がスムーズに進みます。

価格から差し引かれる簿外債務と退職給付債務

建設会社の売却では、決算書に計上されていない債務(簿外債務)や、積立が不足している退職金が、価格から差し引かれる要因になりやすい点に注意が必要です。買い手はデューデリジェンスで次のような項目を調べ、見つかった金額を株式価値の算定で控除したり、契約上の補償条項で手当てしたりします。調査の全体像はデューデリジェンスとはで解説しています。

項目内容価格への影響(一般的な扱い)
未払残業代現場の長時間労働や移動時間、固定残業代の運用などにより、支払われていない割増賃金が生じている過去の請求可能期間分の見積額を控除、または補償条項で手当てされることが多い
瑕疵・契約不適合引き渡し済みの工事について、施工不良の補修や損害賠償を求められる可能性係争中・クレーム中の案件は見積額の控除や補償の対象になりやすい
工事損失受注残の中に、原価が請負金額を上回る見込みの工事がある損失見込み額を控除。実行予算の精度も確認される
退職給付債務退職金規程にもとづく将来の支払い義務に対して、引当や外部積立が不足している積立不足額を有利子負債に準じて控除するのが一般的
その他の偶発債務下請代金の支払遅延、社会保険の未加入・未納、保証債務、訴訟など内容に応じて控除・補償、または取引条件の見直し

未払残業代は建設業で特に論点になりやすい

建設業にも時間外労働の上限規制が適用されるようになり、労務管理の状況は買い手が重点的に確認する項目になっています。現場への移動時間や朝礼、準備作業などの扱い、固定残業代の設定と実際の労働時間の差などから、想定外の未払残業代が見つかるケースもあります。売却の検討を始めた段階で、勤怠の記録方法や賃金規程の運用を点検しておくことが、減額や交渉の長期化を防ぐうえで役立ちます。労務の具体的な判断は社会保険労務士などの専門家に確認してください。

退職金の積立状況を把握しておく

建設会社では、社内の退職金規程に加えて、業界の退職金共済制度や中小企業向けの外部積立制度を利用しているケースも多くあります。外部で積み立てられている部分は会社の債務になりにくい一方、社内規程にもとづく支払い義務のうち積立が不足している部分は、実質的な負債として価格から差し引かれるのが一般的です。規程と積立の状況を一覧にしておくと、買い手との認識のずれを防げます。

株式譲渡か事業譲渡か:許可の引き継ぎに注意

建設会社のM&Aでは、株式譲渡が選ばれることが多いです。株式譲渡では会社そのものの株主が変わるだけなので、建設業許可や経審の評点、取引先との契約、技術者の雇用を原則としてそのまま引き継げるためです。ただし前述のとおり、役員の交代によって許可要件を満たせなくなる場合があるため、譲渡後の体制を事前に設計しておく必要があります。

事業譲渡の場合は、買い手が必要な資産・契約・従業員を個別に引き継ぐ形になります。建設業許可については、事前に行政庁の認可を受けることで事業譲渡に伴って承継できる仕組みがありますが、要件や手続き、スケジュールの管理が必要です。取引先との契約や従業員の雇用も個別の同意が必要になるため、手間と時間がかかりやすい点は押さえておきましょう。スキームの違いと税金の考え方は事業譲渡と株式譲渡の違いで整理しています。許認可や税務の取り扱いは個別の事情で変わるため、具体的な判断は専門家に確認してください。

買い手のタイプ別に見る評価の違い(同業・異業種・ファンド)

同じ会社でも、どのような買い手が検討するかによって、評価のポイントや提示される価格は変わります。建設会社の主な買い手タイプと、評価の傾向は次のとおりです。

買い手のタイプ主な狙い評価で重視する点価格・条件の傾向
同業(地場の建設会社・専門工事会社・設備会社など)技術者・職人の確保、施工エリアの拡大、許可業種の追加、元請・下請の垂直統合技術者の在籍と定着、取引先の重なり、施工品質、許可と経審の継続人材やエリアの相乗効果を見込めれば、評価レンジの上側を提示することもある
異業種(不動産・住宅関連・設備機器・インフラ関連など)施工機能の内製化、既存事業とのセット提案、新規事業への参入許可と技術者で施工体制が成り立つか、経営陣・キーパーソンが残るか建設業の運営ノウハウを重視するため、経営者の一定期間の関与を条件とすることが多い
投資ファンド複数社の買収による規模拡大、管理体制の強化による企業価値の向上利益の安定性とキャッシュフロー、経営を任せられる人材、管理体制財務規律が厳しく、倍率はレンジ内で慎重になりやすい。業績連動の対価や役員の続投が提案されることもある

一般に、自社の人材や許可、取引先に相乗効果を感じる買い手ほど高い価格を提示しやすくなります。複数のタイプの買い手に打診し、比較検討できる状況をつくることが、条件を良くするうえで大切です。買収側が見込む相乗効果の価値が、評価額の上にのれん(営業権)として上乗せされるイメージです。

価格を上げるための準備チェックリスト

建設会社の価格は、準備の度合いによって同じ収益力でも差がつきやすい分野です。売却の1〜3年程度前から、次の項目を点検しておくと、評価レンジの上側を狙いやすくなり、デューデリジェンスでの減額リスクも抑えられます。

チェック項目確認・準備する内容価格への効果
実質利益の整理役員報酬の水準、私的経費、一過性の工事損益を切り分けて説明できるようにする正常収益力が高く評価され、倍率・年数を掛ける土台が上がる
許可要件の複数化経営業務の管理体制・専任の技術者の要件を満たす人を、経営者以外にも確保する譲渡後の許可維持の不安が減り、減額や条件付けを避けやすい
技術者の定着と育成有資格者の一覧(年齢・資格・勤続)、資格取得支援、処遇の見直し人材の継続性が評価され、同業の買い手の関心が高まりやすい
経審の評点と財務評点の推移と内訳、自己資本や利益の安定性を確認する公共工事の受注力を裏付け、事業計画の信頼性が上がる
取引先の分散上位取引先の売上比率、取引年数、元請比率の推移を整理する依存度の懸念が減り、業績連動の対価などの条件を避けやすい
受注残と工事採算工事ごとの請負金額・実行予算・進捗・見込み利益を一覧にする将来の売上の裏付けとなり、工事損失の控除を最小限にできる
労務の点検勤怠の記録方法、固定残業代の運用、社会保険の加入状況を確認する未払残業代などの簿外債務による控除や補償条項を抑えられる
瑕疵・クレームの整理引き渡し後の不具合対応、係争中の案件、保証の状況をまとめるリスクの見える化で、買い手の過度な保守的評価を防ぐ
退職金と借入退職金規程と積立状況、借入の内訳、経営者保証の状況を整理する控除額が明確になり、手取りの見通しが立てやすくなる
重機・車両・不動産保有資産の一覧と状態、事業に使っていない資産の切り分け更新投資の見込みが明確になり、非事業用資産を適切に評価できる

売り手側で事前に課題を洗い出して整える方法はセルサイドDDと売却前の磨き上げ、会社の価値を高めるための具体策は会社を高く売るにはで詳しく解説しています。建設業は受注残や技術者の状況で「売りやすい時期」が変わるため、動き出す時期の考え方は会社を売却するタイミングも参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 建築会社・工務店の売却相場は、売上の何割くらいですか?

A. 建設業の売却価格は、売上ではなく実質的な利益と純資産をもとに考えるのが一般的です。売上が同じでも利益率や財務内容で価格は大きく変わります。目安として、年買法なら時価純資産に営業利益の2〜5年分程度、EV/EBITDA倍率法なら一般に3〜6倍程度のレンジで議論されることが多いですが、個別の事情で上下します。

Q. 赤字の建設会社でも売却できますか?

A. 赤字であっても、必要な業種の建設業許可、経審の評点、有資格の技術者、安定した取引先といった価値があれば、買い手が見つかることはあります。特に技術者や許可を目的とする同業の買い手にとっては、利益以外の要素が検討の動機になることがあります。ただし価格は純資産ベースで慎重に評価されやすく、条件も厳しくなりやすい点は理解しておきましょう。

Q. 社長が唯一の有資格者でも会社を売却できますか?

A. 売却自体は可能ですが、社長の退任で許可要件を満たせなくなるおそれがあるため、買い手は慎重になります。一定期間は役員や技術者として残る、買い手側から要件を満たす人材を送り込む、事前に社内で有資格者を育成するなどの対応が検討されます。譲渡後の体制は、専門家とともに早めに設計しておくことが大切です。

Q. 経審の点数が高いと、売却価格も高くなりますか?

A. 経審の評点は公共工事の受注力を示すため、公共工事の比率が高い会社では評価のプラス材料になります。ただし買い手が見るのは、評点そのものより、評点を支える技術者・実績・財務が買収後も維持できるかどうかです。評点を維持できる体制を示せるほど、価格への反映も期待しやすくなります。

Q. 自社の売却価格の目安は、どうやって調べればよいですか?

A. まずは直近数期の決算書から実質的な営業利益とEBITDAを整理し、年買法やEV/EBITDA倍率法で目安を出してみるのが手軽です。そのうえで、退職金の積立不足や未払残業代など、差し引かれる可能性のある項目を確認すると、より現実的なレンジに近づきます。複数の手法で出したレンジを持っておくと、仲介会社や買い手から提示された価格が妥当かどうかを判断しやすくなります。

まとめ

建設会社・建築会社の売却相場は、実質的な収益力と純資産をもとに、年買法(時価純資産+営業利益の数年分)やEV/EBITDA倍率法で目安を出すのが基本です。そのうえで、建設業許可・経審の評点・施工管理技士などの技術者・元請比率・受注残といった建設業ならではの要素が、評価レンジの上側に寄るか下側に寄るかを左右します。一方で、未払残業代や瑕疵、工事損失、退職給付の積立不足などは価格から差し引かれやすいため、事前の点検が欠かせません。業態や買い手のタイプによって評価のポイントは変わるため、自社の強みがどの買い手に響くかを考えながら、許可要件の複数化や技術者の定着といった準備を早めに進めておくことが、納得のいく条件につながります。

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