フリーキャッシュフロー(FCF)計算ツール
営業利益・減価償却費・設備投資・運転資本の増加を入れるだけで、フリーキャッシュフロー(FCF)を無料・登録不要で計算します。NOPAT(税引後営業利益)から各調整、FCFマージンまで内訳つきで表示し、FCFがマイナスのときの読み方も示します。キャッシュフロー計算書から求める簡便法(営業CF+投資CF)にも切り替えられます。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。
営業利益・減価償却費・設備投資・運転資本の増加からフリーキャッシュフロー(FCF)を計算します。キャッシュフロー計算書から求める簡便法(営業CF+投資CF)にも切り替えられます。単位は万円。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。
フリーキャッシュフロー(FCF)
2,800万円
2,800万円
FCFマージン
7.0%
FCF ÷ 売上高
計算の内訳(万円)
| 項目 | 考え方 | 金額 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 支払利息を引く前の本業の利益 | 4,000 |
| 税額 | 営業利益 × 実効税率 30% | −1,200 |
| NOPAT | 税引後営業利益 | 2,800 |
| 減価償却費 | 現金の支出を伴わない費用を足し戻す | +1,500 |
| 設備投資 | 事業を続けるための投資支出を控除 | −1,200 |
| 運転資本の増加 | 増加は控除・減少は加算 | −300 |
| FCF | NOPAT+減価償却費−設備投資−運転資本の増加 | 2,800 |
※ 表示されるのは目安です。営業赤字の年は税額を0として計算し、繰越欠損金による税負担の軽減などは反映していません。実効税率の水準など税務上の取扱いは税理士にご確認ください。
フリーキャッシュフローの計算式
FCF = NOPAT + 減価償却費 − 設備投資 − 運転資本の増加
フリーキャッシュフロー(FCF)は、本業で稼いだ現金から、事業を続けるために出ていく投資的な支出を差し引いた「企業が自由に使えるお金」です。企業価値評価で使うのは、債権者と株主の両方に帰属するFCF(FCFF)で、支払利息を引く前の営業利益に理論上の税額をかけてNOPATとし、そこから現金の動きに合わせて調整します。
- 減価償却費を足す:費用として計上されていても、その年に現金は出ていかないため足し戻します。製造原価に含まれる分も漏らさず合計します。
- 設備投資を引く:損益計算書には出てこない投資の支出を差し引きます。
- 運転資本の増加を引く:運転資本=売上債権+棚卸資産−仕入債務。増えた分は現金が事業に寝てしまうので控除し、減った年は加算します。運転資本は運転資本・CCC 計算ツールでも計算できます。
キャッシュフロー計算書がある会社では、FCF ≒ 営業CF + 投資CF(=営業CF − 投資の支出超過額)という簡便法もよく使われます。手軽ですが、営業CFに支払利息の支払額が含まれることや、投資CFに有価証券の売買など設備投資以外の項目が入ることから、企業価値評価のFCFとはずれることがあります。定義やFCFF・FCFEの違いはフリーキャッシュフロー(FCF)とはで詳しく解説しています。
計算例
営業利益4,000万円、実効税率30%、減価償却費1,500万円、設備投資1,200万円、運転資本の増加300万円、売上高4億円の会社の例です(数値は説明のための例。ツールの初期値と同じです)。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 4,000万円 | 損益計算書より |
| 税額 | △1,200万円 | 4,000 × 30% |
| NOPAT | 2,800万円 | 4,000 ×(1 − 30%) |
| + 減価償却費 | 1,500万円 | 現金支出のない費用を足し戻す |
| − 設備投資 | △1,200万円 | 投資の支出を控除 |
| − 運転資本の増加 | △300万円 | 売掛金・在庫の増加分を控除 |
| FCF | 2,800万円 | 2,800 + 1,500 − 1,200 − 300(FCFマージン7.0%) |
同じ会社が売上を伸ばすために設備投資を3,000万円に増やし、運転資本も1,000万円増えたとすると、FCFは 2,800 + 1,500 − 3,000 − 1,000 = 300万円まで縮みます。利益が同じでも、投資と運転資本しだいで手元に残る現金は大きく変わります。
簡便法の例:営業CFが3,500万円、投資CFが△1,200万円なら、FCF = 3,500 +(−1,200)= 2,300万円です。営業CFに支払利息200万円が含まれているなら、税引後の200 ×(1 − 30%)=140万円を足し戻した2,440万円が、企業価値評価のFCFに近い値になります。
使い方
- 計算方法を選びます。決算書(損益計算書・貸借対照表)から求めるなら「営業利益から」、キャッシュフロー計算書があるなら「キャッシュフロー計算書から(簡便法)」が手早く使えます。
- 営業利益・減価償却費・設備投資・運転資本の増加を万円単位で入力します。運転資本は前期と当期の(売上債権+棚卸資産−仕入債務)の差で、減った年はマイナスで入れます。
- 実効税率を確認します(初期値30%)。自社の税率は法人税の実効税率 計算ツールで計算できます。
- 売上高を入れるとFCFマージン(FCF÷売上高)も表示されます。
- 求めたFCFを将来に伸ばして割り引くと企業価値になります。続きはDCF法 計算ツールで試せます(割引率はWACC・株主資本コスト 計算ツールで求められます)。
FCFがマイナスのときの読み方
FCFがマイナスでも、すぐに悪い会社とは限りません。ツールでは次の2つを見分けて表示します。
- 投資が上回っている(成長投資型):NOPAT+減価償却費(簡便法では営業CF)はプラスで、設備投資や運転資本の増加がそれを超えている状態です。売上拡大のための投資なら、将来のFCFで回収できるかが論点になります。
- 本業で現金を生めていない(本業不振型):NOPAT+減価償却費(簡便法では営業CF)の段階でマイナスの状態です。投資を絞ってもFCFは改善しにくく、収益構造そのものの見直しが必要になります。
使うときの注意点
- 営業利益から計算するFCF(FCFF)では、支払利息を差し引きません。利息の節税効果は割引率のWACC側で織り込むため、ここで引くと二重計上になります。
- 営業赤字の年は税額を0として計算しています。繰越欠損金による将来の税負担の軽減などは反映していません。
- 減価償却費と設備投資を機械的に同額に置くのは、成熟した会社の近似にとどまります。成長期や設備の更新期には実際の投資計画で置き直してください。
- 単年度のFCFは投資のタイミングで大きくぶれます。3期程度の推移や、平準化した水準で見るのが実務的です。EBITDAとの違いはEBITDA 計算ツールやEBITDAとはも参考にしてください。
よくある質問
Q. フリーキャッシュフローの計算式は?
企業価値評価で使うFCF(FCFF)は「営業利益 ×(1 − 実効税率)+ 減価償却費 − 設備投資 − 運転資本の増加」で求めます。キャッシュフロー計算書から簡便に求める場合は「営業キャッシュ・フロー + 投資キャッシュ・フロー」(投資CFは通常マイナス)を使います。
Q. FCFがマイナスになるのは悪いことですか?
一概に悪いとはいえません。本業は現金を生んでいて、設備投資や運転資本の増加がそれを上回っている場合は、成長のための投資局面であることが多いです。一方、税引後営業利益に減価償却費を足し戻してもマイナスの場合は、本業の収益力そのものに課題があります。どちらかを見分けることが大切です。
Q. 営業CF+投資CFの簡便法と、営業利益から求めるFCFは何が違いますか?
簡便法の営業CFには支払利息の支払額が含まれることが多く、投資CFには有価証券の売買や貸付金など設備投資以外の項目も入ります。企業価値評価(DCF法)で使うFCFFは支払利息を引く前の営業利益から計算するため、両者は一致しないことがあります。本ツールでは簡便法でも支払利息を税引後で足し戻した値を表示できます。
Q. 実効税率は何%を使えばよいですか?
法人税・地方法人税・住民税・事業税などを合わせた法定実効税率を使うのが一般的で、会社の規模や所在地、適用される税率区分によって変わります。本ツールの初期値は解説記事の計算例と同じ30%です。自社の税率は実効税率の計算ツールで確認でき、具体的な取扱いは税理士にご確認ください。
Q. FCFとEBITDAはどう違いますか?
EBITDAは「営業利益+減価償却費」で、税金・設備投資・運転資本の増減を差し引いていません。FCFはそれらをすべて差し引いた、事業が自由に使える現金です。設備投資が重い会社や運転資本の負担が大きい会社ほど、EBITDAとFCFの差は大きくなります。
関連ガイド・ツール
- フリーキャッシュフロー(FCF)とは:FCFF・FCFEの違い、事業計画からFCFを組む手順。
- DCF法とは/WACCとは/ターミナルバリュー(継続価値)とは:FCFから企業価値を求める流れ。
- 企業価値と株式価値の違い:FCFFで求めた企業価値から株式価値への橋渡し。
- 無料ツール:DCF法 計算ツール、WACC・株主資本コスト 計算ツール、EBITDA 計算ツール、運転資本・CCC 計算ツール、法人税の実効税率 計算ツール。
※ 本ツールが示すのは目安です。実効税率の水準、設備投資・運転資本の見積もり方は会社ごとに異なり、執筆時点の一般的な考え方にもとづく例を示しています。税務上の取扱いは税理士等の専門家にご確認ください。
事業計画のFCFから、株式価値のレンジをPDFに
決算書と事業計画の数値を入力すると、詳細版はDCF法と類似会社比較法の併用、簡易版は年買法で株式価値のレンジを算定し、PDFレポートにまとめます。簡易版2,200円・詳細版5,500円(いずれも税込)。試算と評価レンジの表示は無料です。