運転資本・CCC 計算ツール
運転資本(所要運転資金)とCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を、無料・登録不要で自動計算します。売上債権・棚卸資産・仕入債務の回転日数、そして「売上が伸びたときに追加で必要になる運転資金」までまとめて確認できます。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。
決算書の年間の売上高・売上原価と、貸借対照表の売上債権・棚卸資産・仕入債務を入力すると、運転資本・回転日数・CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)と、売上が伸びたときに追加で必要になる運転資金の目安を計算します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。
運転資本(所要運転資金)
4,500万円
4,500万円/売上高の 15.0%
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)
50.7 日
仕入代金の支払いから代金回収までに、この日数だけ資金が寝ています
計算の内訳
| 項目 | 金額(万円) | 回転日数 |
|---|---|---|
| 売上債権(+) | 5,000 | 60.8 日 |
| 棚卸資産(+) | 2,500 | 50.7 日 |
| 仕入債務(−) | −3,000 | −60.8 日 |
| 運転資本/CCC | 4,500 | 50.7 日 |
売上が 20% 伸びたときに追加で必要になる運転資金
成長後の売上高
36,000万円
成長後の運転資本
5,400万円
追加で必要な資金
900万円
900万円
売上債権・棚卸資産・仕入債務がいずれも売上と同じ率で増えると置いた場合の概算です。 売上が伸びるほど、先に立て替える資金(=運転資本)も同じ率で増えます。利益が出ていても、この増加分だけ手元の現金は出ていくため、「黒字なのに資金繰りが苦しい」状態が起こります。
この数字は企業価値評価にも直結します
DCF法で使うフリー・キャッシュ・フロー(FCF)は「税引後営業利益+減価償却費−設備投資−運転資本の増加」で計算します。 つまり運転資本の増加はFCFのマイナス要因で、上の「追加で必要な資金 900万円」がそのままその年のFCFを押し下げます。 売上計画が強気なほど運転資本の増加も大きくなり、価値が思ったほど伸びない、ということが起こります。
※ CCCを1日短縮すると、売上債権側で約82万円、棚卸資産側で約49万円の資金が手元に戻る計算になります(日商・日商原価の1日分。あくまで単純化した目安です)。
運転資本とCCCの計算式
運転資本(ワーキングキャピタル、所要運転資金)は、事業を回すために立て替えている資金のことです。もっとも一般的な計算式は次のとおりで、本ツールもこの式を使っています。
運転資本 = 売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務
商品を仕入れて(=在庫になる)、売って(=売掛金になる)、代金を回収するまでの間、会社はその分の資金を自分で立て替えています。一方で、仕入代金の支払いを後払いにできている分(仕入債務)は、取引先に立て替えてもらっているのと同じです。差し引きしたものが、事業を継続するために常に寝かせておかなければならない資金=運転資本です。
これを金額ではなく「日数」で見たものがCCCです。各回転日数は次の式で求めます。分母に売上高を使うか売上原価を使うかは流儀が分かれますが、本ツールでは売上債権は売上高ベース、棚卸資産と仕入債務は売上原価ベースという、実務でよく使われる置き方を採用しています。
- 売上債権回転日数(DSO)= 売上債権 ÷ 売上高 × 365日
- 棚卸資産回転日数(DIO)= 棚卸資産 ÷ 売上原価 × 365日
- 仕入債務回転日数(DPO)= 仕入債務 ÷ 売上原価 × 365日
- CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 − 仕入債務回転日数
CCCがプラス60日なら、仕入代金を支払ってから売上代金を回収するまでに約60日分の資金が寝ている、という意味になります。逆に前受金や現金商売が中心の業態ではCCCがマイナスになることもあり、この場合は売上が増えるほど手元資金が厚くなります。同じ利益率でも、CCCが短い会社ほど資金繰りは楽になります。
成長するほど資金が必要になる理由
運転資本の怖いところは、売上が伸びると同じ率で増えることです。売上が2割増えれば、売掛金も在庫も(そして仕入債務も)おおむね2割増えます。差引きの運転資本も2割増えるため、その増加分は現金の流出として先に発生します。売上と利益が伸びているのに預金残高が減っていく、いわゆる「黒字倒産」「増加運転資金」の正体はここにあります。
上のツールに成長率を入れると、この増加額を概算できます。たとえば運転資本が5,000万円の会社が売上を20%伸ばすなら、追加で1,000万円の資金が必要になる計算です。この分は利益から自然に賄えることもありますが、成長が速いほど利益の積み上がりが追いつかず、短期借入や当座貸越で埋めることになります。必要額が読めていれば、資金が尽きる前に手を打てます。借入で賄う場合の返済負担は借入返済シミュレーションで確認できます。
企業価値評価では「FCFのマイナス要因」になる
運転資本はM&Aの企業価値評価にも直接効いてきます。DCF法で割り引く対象であるフリー・キャッシュ・フロー(FCF)は、一般に次の式で計算します。
FCF = 税引後営業利益 + 減価償却費 − 設備投資 − 運転資本の増加
式のとおり、運転資本の増加はFCFから差し引かれます。つまり成長計画を強気に置くほど運転資本の増加も大きくなり、その年のFCFは目減りします。「売上が伸びる計画にしたのに企業価値がさほど上がらない」というのは、この効果を織り込んだ結果であることが多いのです。逆に、CCCを短縮して運転資本を圧縮できれば、その年のFCFはその分だけ増えます。実際の企業価値への影響はDCF法とはの考え方を踏まえたうえで、DCF法 計算ツールにFCFを入れ直して比べてみてください。
また、M&Aの実務では譲渡価格の調整項目としても運転資本が登場します。買い手は「事業を通常どおり回すのに必要な運転資本(正常運転資本)」が引き継がれることを前提に価格を提示するため、クロージング時点の運転資本が想定より少なければ価格調整の交渉になることがあります。売り手が決算直前に売掛金を回収して在庫を絞ると、見かけの現預金は増えても正常運転資本は不足し、結果的に価格から差し引かれることもあります。デューデリジェンスでは過去数年の月次推移まで見られるため、期末だけ整えても意味がありません。
使いどころと注意点
- 年商ベースの数字で入れます。季節変動が大きい事業では、期末残高だけでなく月次平均でも計算して比べてください。
- 売上債権に長期滞留債権が、棚卸資産に不良在庫が含まれていると、回転日数が実態より長く出ます。売り手側の事前準備としては、まずこの整理から始めるのが定石です。
- 建設業・受注生産業では未成工事支出金や前受金の扱いで数字が大きく動きます。業種特有の勘定科目は個別に足し引きしてください。
- 回転日数は同業他社と比べてはじめて意味を持ちます。業種別の評価ポイントもあわせて確認してください。
- 本ツールは単純化した概算です。実際の資金繰りは、税金・賞与・設備投資・借入返済のタイミングまで含めた資金繰り表で管理してください。
よくある質問
Q. 運転資本がマイナスになりました。問題ありますか?
A. マイナス自体は異常ではありません。飲食・小売のように現金で売って仕入は掛けで払う業態では、構造的に運転資本がマイナス(先にお金が入る)になります。資金繰りの面ではむしろ有利です。ただし売上が減少局面に入ると逆回転し、支払いだけが残る形で資金が急速に減ることがある点には注意が必要です。
Q. 回転日数の分母は売上高と売上原価のどちらが正しいですか?
A. どちらも実務で使われており、唯一の正解はありません。在庫と仕入債務は原価に対応するため売上原価ベースのほうが理論的とされ、本ツールもそれに合わせています。他社比較や過去比較をするときは、同じ定義で揃えることのほうが重要です。
Q. CCCを短くするには何から手をつけるべきですか?
A. 一般的には、回収サイトの短縮(前受・着手金の導入を含む)、滞留在庫の処分、発注ロットの見直し、支払サイトの見直しの順に検討します。ただし支払サイトの一方的な引き延ばしは取引先との関係を損ねるおそれがあるため、慎重に判断してください。効果は「1日短縮=日商1日分の資金」として概算できます。
Q. 運転資本を減らせば会社の価値は上がりますか?
A. 同じ利益を、より少ない資金で生み出せるようになるため、FCFと投下資本利益率の両面で改善します。ROE・ROICの観点でも評価されやすくなります。ただし在庫を絞りすぎて欠品や納期遅延が起きれば売上そのものが落ちるため、事業運営とのバランスで考える必要があります。
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- フリー・キャッシュ・フロー(FCF)とは
- DCF法とは|企業価値評価の基本
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※ 本ツールは単純化した概算です。数値はいずれも目安であり、実際の必要資金・借入条件・企業価値は個社の状況により異なります。税務・会計・法務の判断は専門家にご確認ください。
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