CAPM(株主資本コスト)計算ツール

CAPM(資本資産価格モデル)で株主資本コストを無料・登録不要で計算します。リスクフリーレート・β・マーケットリスクプレミアムに、必要に応じてサイズプレミアムと個別リスクプレミアムを加え、各項がいくら寄与しているかを内訳で表示します。非上場会社で類似上場企業のβを借りる場合のアンレバー・リレバー(ハマダ式)もその場で計算できます。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。

リスクフリーレート・β・マーケットリスクプレミアムを入れると、CAPMによる株主資本コストと各項の内訳を計算します。類似上場企業のβを使う場合は、アンレバー・リレバー(ハマダ式)もここで計算できます。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。初期値は下の「計算例」と同じ仮の数値です。

βの入力

類似上場企業のレバードβを、その会社のD/Eと税率でアンレバード(借入の影響を外す)し、対象会社の目標D/Eと税率でリレバー(付け直す)します。複数社を使う場合は、各社のアンレバードβの平均・中央値に近い会社の値で代表させるか、βを直接入力に切り替えてください。

アンレバードβ:1.000

リレバードβ:1.140

株主資本コスト

14.94%

CAPM部分 9.94%(Rf + β × MRP)に上乗せを加えた値

計算の内訳

項目寄与計算
アンレバードβ(βU)1.000βL ÷ (1 + (1−t) × D/E)=1.35 ÷ 1.350
リレバードβ(βL)1.140βU × (1 + (1−t) × 目標D/E)=1.000 × 1.140
① リスクフリーレート3.10%10年国債利回りなど
② β × マーケットリスクプレミアム6.84%β 1.140 × MRP 6.0%
CAPM部分(① + ②)9.94%CAPMの式そのものの値
③ サイズプレミアム3.00%任意。空欄は0
④ 個別リスクプレミアム2.00%任意。空欄は0
株主資本コスト(① + ② + ③ + ④)14.94%合計

※ Rf・MRP・βはご自身で調べた値を入力する前提のツールで、市場データは内蔵していません。数値はいずれも目安であり、前提の置き方で株主資本コストは大きく変わります。実効税率の設定など税務上の論点は税理士などの専門家にご確認ください。

CAPMの計算式

株主資本コストは、株主が「この会社の株式に投資するなら最低これくらいは欲しい」と考える期待収益率です。借入金利のように契約書に書かれた数字ではないため、モデルで推計します。もっとも広く使われているのがCAPMで、式は次の一行です。

株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケットリスクプレミアム

「安全な資産で得られる利回り(リスクフリーレート)」に、「その株式のリスクに見合った上乗せ(β × マーケットリスクプレミアム)」を足す二階建ての構造です。非上場の中小企業では、CAPMだけでは説明しきれない規模や固有のリスクを、次のように上乗せする実務が広く行われています。

株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケットリスクプレミアム + サイズプレミアム + 個別リスクプレミアム

非上場会社にはβがないため、事業の近い類似上場企業のβを借ります。その際、借入の多さ(財務レバレッジ)の違いを揃えるために、いったん借入の影響を外し(アンレバード)、対象会社の資本構成で付け直します(リレバー)。本ツールはハマダ式を使っています。

アンレバードβ = レバードβ ÷ (1 + (1 − 実効税率) × D/E)
リレバードβ = アンレバードβ × (1 + (1 − 実効税率) × 対象会社のD/E)

類似上場企業のD/Eは「有利子負債 ÷ 株式時価総額」、対象会社のD/Eは「有利子負債 ÷ 株主資本」(目標資本構成)で置きます。無借金(D/E=0)ならアンレバードβとレバードβは一致し、借入が増えるほどレバードβは大きくなります。考え方の詳細はCAPMとは|計算式と株主資本コスト・βの求め方で解説しています。

計算例

ツールの初期値と同じ前提です。リスクフリーレート以外はすべて仕組みを示すための仮の数値で、特定の会社を指すものではありません。

項目値計算・根拠
リスクフリーレート(Rf)3.1%例:2026年10月8日の10年国債利回り3.089%(財務省)を丸めた値
マーケットリスクプレミアム(MRP)6.0%仮の数値
類似上場企業のβ(レバード)1.35D/E 50%・実効税率30%(仮)
アンレバードβ1.0001.35 ÷ (1 + (1 − 0.30) × 0.50)=1.35 ÷ 1.35
リレバードβ1.1401.000 × (1 + (1 − 0.30) × 0.20)=1.000 × 1.14(目標D/E 20%)
β × MRP6.84%1.14 × 6.0%
CAPM部分9.94%3.1% + 6.84%
サイズプレミアム+3.0%仮の数値
個別リスクプレミアム+2.0%仮の数値
株主資本コスト(合計)14.94%9.94% + 3.0% + 2.0%

類似上場企業はD/Eが50%と借入が多いため、観測されるβ1.35には借入による増幅が含まれています。これを外すとアンレバードβは1.00で、対象会社の目標D/E 20%で付け直すとリレバードβは1.14になります。もしβ1.35をそのまま使っていれば、β × MRPは8.1%となり、株主資本コストは約1.3ポイント高く出ていたことになります。

各入力値の調べ方

リスクフリーレート

日本円で評価するなら、算定基準日時点の10年国債利回りを使うのが一般的です。財務省が「国債金利情報」として年限ごとの利回りを日次で公表しているので、算定基準日の10年の欄を確認して入力してください。金利は日々動くため、本ツールは数値を内蔵せず、初期値も時点を明記した例にとどめています。一時的な金利の振れが気になる場合は、直近1〜3か月の平均でも計算して差を確かめます。

マーケットリスクプレミアム

株式市場全体に投資したとき、国債より何ポイント多く期待できるかを表す数値です。長期の株価指数のリターンから国債利回りを差し引く「ヒストリカル方式」と、現在の株価水準から市場が織り込む期待収益率を逆算する「インプライド方式」があり、方法と期間によって幅が出ます。複数の方法で試算してレンジから採用値を決め、どの方法・期間によったかを記録しておきます。リスクフリーレートと同じ年限の国債を基準に測ったものを組み合わせるのが整合的です。また、MRPは市場全体の上乗せ幅なので会社ごとに変えず、個別のリスクはβと上乗せで表します。

β(ベータ)

βは、個別株のリターンを市場指数(TOPIXなど)のリターンに回帰した傾きです。非上場会社は事業内容・収益構造の近い上場企業を5〜10社ほど選び、同じ観測条件(たとえば5年・月次、または2年・週次)で各社のβを求めます。各社をアンレバードしてから平均や中央値をとり、対象会社のD/Eでリレバーするのが標準的な手順です。外れ値は理由を確かめてから扱いを決め、除外したら記録に残します。類似会社の選び方は類似会社比較法(EV/EBITDA)の考え方と共通です。

サイズプレミアム・個別リスクプレミアム

サイズプレミアムは、規模の小さい会社ほど高いリターンが要求されてきた傾向を反映する上乗せです。個別リスクプレミアムは、経営者への依存、取引先の集中、管理体制の未整備など、その会社に固有のリスクの上乗せです。どちらも恣意性が高い項目なので、項目ごとに何ポイント、なぜそう置いたかを残します。使わない場合は0のままで構いません。

実効税率

ハマダ式の (1 − 実効税率) は、支払利息が損金になる効果を織り込むためのものです。計算は実効税率 計算ツールで確認できます。税率の適用は税務上の論点を含むため、具体的な数値は税理士などの専門家にご確認ください。

使うときの注意点

  • CAPMで求まるのは株主資本コストです。DCF法で事業全体のフリー・キャッシュ・フローを割り引く割引率はWACCで、株主資本コストはその一部にすぎません。WACCまで求めるときはWACC 計算ツールを使ってください。
  • 同じリスクを2か所で数えないようにします。小型株ばかりの類似会社でβが高く出ているのに大きなサイズプレミアムを乗せる、事業計画で織り込んだリスクを個別リスクプレミアムでも上乗せする、といった重複に注意します。
  • 非上場株式の売却しにくさは、割引率に上乗せせず、算定した株式価値に流動性ディスカウント(DLOM)を適用するのが一般的です。両方で引くと二重になります。
  • 前提を少し動かすだけで株主資本コストは大きく変わります。一点で断定せず、β・MRP・上乗せを上下に振ったレンジで示すのが実務の基本です。
  • D/Eがマイナス(債務超過など)の場合、ハマダ式は使えないため「算定不能」と表示します。その場合はβを直接入力するか、類似上場企業の平均的な資本構成を目標D/Eとして使うなどの判断が必要です。

よくある質問

Q. CAPMとWACCの違いは何ですか?

A. CAPMは株主資本コスト(株主が期待する利回り)を求める式で、WACCは株主資本コストと税引後の負債コストを資本構成で加重平均した、会社全体の資本コストです。DCF法の割引率にはWACCを使い、CAPMの結果はその材料になります。詳しくはWACCとはをご覧ください。

Q. リスクフリーレートは何年物の国債を使えばよいですか?

A. 市場の厚みがありデータも入手しやすい10年国債利回りがもっとも一般的です。事業を長期で見る場合に20年・30年物を使うこともあります。どれを使ったかと、その理由を記録しておくことが大切です。

Q. 類似上場企業のβをそのまま使ってはいけませんか?

A. 観測されるβには、その会社の借入による増幅が含まれています。類似会社と対象会社で資本構成が違えば、そのままでは事業のリスクを正しく表せません。アンレバードで借入の影響を外し、対象会社のD/Eでリレバーしてから使うのが標準的です。上の計算例では、変換しないと株主資本コストが約1.3ポイント高く出ます。

Q. 中小企業の株主資本コストはどのくらいになりますか?

A. 前提の置き方で大きく変わるため、一律の目安は示せません。上のツールで自社の前提を入れ、β・マーケットリスクプレミアム・上乗せを上下に振ってレンジで捉えてください。

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※ 本ツールは単純化した概算です。数値はいずれも目安であり、前提の置き方によって株主資本コストは大きく変わります。税務・会計・法務の判断は専門家にご確認ください。

βを調べるところから自分でやらずに評価する

M&Aバリュークラウドの詳細版レポート(5,500円・税込)は、類似上場会社のβから算定したWACCでDCF法を計算し、類似会社比較法と併用した評価レンジ(純資産法は参考表示)をPDFにまとめます。試算と評価レンジの表示は無料、報告書PDFは有料です。