会社規模区分の判定ツール
取引相場のない株式を相続税・贈与税で評価するとき、最初に決まるのが評価会社の規模です。大会社・中会社・小会社のどれになるかで、使う評価方式も、類似業種比準価額に乗じる斟酌率も変わります。本ツールは、財産評価基本通達178・179の判定表をそのまま実装しました。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。
取引相場のない株式を相続税・贈与税で評価するとき、評価会社が大会社・中会社・小会社のどれに当たるかで使う評価方式が変わります。業種・総資産価額(帳簿価額)・従業員数・取引金額を入れると、財産評価基本通達178・179の判定表にもとづいて区分とLの割合を判定します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。
取引金額のうち最も多い取引金額に係る業種で判定します(評基通178(4))。
端数は切り捨てません。5.1人なら「5人超」、4.9人なら「5人以下」として扱われます
判定結果
会社規模区分
中会社L=0.9
類似業種比準価額 × 0.9 + 1株当たりの純資産価額 × 0.10
納税義務者の選択により、算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額に置き換えて計算することもできます。
類似業種比準価額に乗じる斟酌率:0.6
| 判定要素 | 入力値 | 区分 |
|---|---|---|
| 総資産価額(帳簿価額) | 30,000万円 | 中会社(L=0.75) |
| 従業員数 | 18.00人 | 中会社(L=0.6) |
| 上の2つのうち下位の区分(㋻) | — | 中会社(L=0.6) |
| 取引金額(㋕) | 50,000万円 | 中会社(L=0.9) |
| ㋻と㋕のうち上位の区分=最終判定 | — | 中会社(L=0.9) |
「総資産価額と従業員数のいずれか下位の区分」と「取引金額の区分」のうち上位の区分で判定します(評価明細書 第1表の2)。
※ 本ツールは財産評価基本通達178・179の判定表を実装した概算です。評価会社が特定の評価会社(株式等保有特定会社・土地保有特定会社・比準要素数1の会社など)に当たる場合は、この区分にかかわらず別の評価方法によります。実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。
なぜ規模で評価方法が変わるのか
考え方はシンプルです。上場会社に近い規模の会社は、上場会社と比べて評価するのが自然。反対に、実態が個人事業に近い小さな会社は、持っている財産そのもので評価するほうが実態に合う。この2つの端の間を、規模に応じて配分したのが中会社です。
評価方式は次のように決まります。
| 区分 | 原則的評価方式 | 納税義務者の選択 |
|---|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準価額 | 1株当たりの純資産価額によることもできる |
| 中会社 | 類似業種比準価額 × L + 1株当たりの純資産価額 ×(1−L) | 算式中の類似業種比準価額を純資産価額に置き換えられる |
| 小会社 | 1株当たりの純資産価額 | Lを0.50として中会社の算式によることもできる |
「納税義務者の選択」が用意されている点は実務上とても大きい意味を持ちます。会社の状況によっては、選択したほうが評価額が下がることがあるからです。含み益の大きい不動産を持っている会社なら純資産価額が高く出ますし、逆に赤字続きで利益がほとんどない会社なら類似業種比準価額が低く出ます。両方を計算してから選ぶのが原則だと考えてください。それぞれの計算は類似業種比準価額 計算ツールと純資産価額方式 計算ツールで行えます。
判定の順序には決まりがある
判定要素は、業種区分・総資産価額(帳簿価額)・従業員数・取引金額の4つです。これらの組み合わせ方には順序が決まっており、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」第1表の2がその順序を示しています。
- 従業員数が70人以上なら、それだけで大会社。総資産も取引金額も見ません
- 70人未満なら、総資産価額の区分と従業員数の区分のうち「下位」の区分を採る
- その区分と取引金額の区分のうち「上位」の区分を採る。これが最終判定
2段階目で「下位」、3段階目で「上位」と向きが入れ替わるのが、間違えやすいところです。総資産が大きくても従業員が少なければ規模は下に引っぱられ、そのうえで取引金額が大きければ上に戻る——という構造になっています。上のツールは各段階の結果を表で出すので、どこで区分が決まったのかを確認できます。
業種区分は取引金額で決める
卸売業・小売業およびサービス業・それ以外の3区分で、しきい値が異なります。複数の業種の取引がある場合は、取引金額が最も多い業種で判定します。会社の主たる事業として登記しているものではなく、実際の収入金額で決まる点に注意してください。
従業員数の数え方
1年間継続して勤務した従業員(1週間当たりの労働時間が30時間未満の人を除く)の数に、それ以外の従業員の年間労働時間の合計を1,800時間で割った数を加えます。社長・理事長など一定の役員は含めません。端数は切り捨てず、5.1人なら「5人超」、4.9人なら「5人以下」として扱います。この0.2人の差で区分が変わることがあるので、パート・アルバイトの労働時間は正確に集計してください。
規模判定の前に確認すべきこと
ここまでは「一般の評価会社」の話です。評価会社が特定の評価会社に当たる場合、規模区分にかかわらず別の評価方法によることになります。該当するのは次のような会社です。
- 株式等保有特定会社(総資産のうち株式・出資等の占める割合が50%以上)
- 土地保有特定会社(総資産のうち土地等の占める割合が一定以上)
- 比準要素数1の会社(配当・利益・純資産のうち2つが0)
- 開業後3年未満の会社、開業前・休業中の会社、清算中の会社
とくに持株会社のような形になっている場合は、株式等保有特定会社に当たる可能性があります。規模判定をする前に、まずこちらの該当性を確認してください。持株会社の仕組みそのものは持株会社とはで解説しています。
よくある質問
総資産価額は相続税評価額ですか、帳簿価額ですか
規模判定に使うのは帳簿価額です(直前期末の各資産の帳簿価額の合計額)。一方、純資産価額方式で計算するときは相続税評価額を使います。同じ「総資産」でも場面によって基準が違うので、混同しないでください。
M&Aの価格とは関係がありますか
直接の関係はありません。ここで求めるのは相続税・贈与税を計算するための評価額であって、第三者に売却するときの価格とは目的も算定方法も異なります。両者の違いは事業承継における株価算定や非上場株式の評価方法で整理しています。M&Aでの価格の目安は企業価値の1分診断をお試しください。
規模区分は意図的に変えられますか
判定要素が実態にもとづくものである以上、事業の実態が変われば区分も変わります。ただし評価額を下げる目的だけで資産構成を動かすような行為は、通達上も問題とされます。特定の評価会社の判定について、通達は「合理的な理由もなく資産構成に変動があり、判定を免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして判定する」と明記しています。
関連する解説記事
ほかの無料ツール
※ 本ツールは財産評価基本通達178・179の判定表を実装した概算です。特定の評価会社に該当する場合や、種類株式・議決権のない株式がある場合など、個別の事情によって取扱いは変わります。実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。
相続税評価額とは別に、「売ったらいくらか」も知っておく
M&Aバリュークラウドの詳細版レポート(5,500円・税込)は、DCF法・類似会社比較法・時価純資産法を並べた評価レンジをPDFにまとめます。事業承継の方針を決めるとき、税務上の評価額とM&Aでの価格の両方を把握しておくと判断がぶれません。登録と試算は無料です。