議決権比率シミュレーター

株主の名前と保有株式数、自己株式数を入れると、議決権比率と会社法上の節目(1%・3%・1/3超・過半数・2/3以上・90%・100%)を自動で判定します。誰が単独で特別決議を可決できるのか、誰が拒否権を持っているのかが一目でわかります。さらに、相続で株式が分散したときの比率変化と、後継者が2/3に届くまでに何株必要かも試算できます。無料・登録不要、入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーには送信されません。

※ 判定は会社法の原則的な決議要件をもとにした一般的な目安です。機関設計や定款の定めによって必要な要件が変わる(定款で加重されている)ことがあり、種類株式・単元株制度・相互保有株式・自己株式の扱いによって議決権の数え方も変わります。実際の判断は必ず弁護士等の専門家にご確認ください。

株主の名前と保有株式数、自己株式数を入れると、議決権比率と会社法上の節目を判定します。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーには送信されません。

1. 株主構成(最大8名)

自己株式(議決権なし)

発行済株式総数

1,000

自己株式(議決権なし)

0

議決権のある株式数

1,000

2. 議決権比率と節目の判定

株主株式数議決権比率1%以上3%以上1/3超過半数2/3以上90%以上100%
現社長55055.0%
後継者(長男)15015.0%
先代の弟15015.0%
従業員持株会10010.0%
取引先505.0%

現社長55.0%単独で普通決議を可決できます(取締役の選任・解任など)。ただし特別決議には足りません。

単独で2/3以上を持つ株主がいません。定款変更や組織再編には、ほかの株主の賛成が必要です。1/3超を持つ株主(拒否権を持つ株主)が1名います。

それぞれの節目で何ができるか
  • 1%以上株主総会の議案提案権(取締役会設置会社では6か月前からの継続保有などの要件あり)
  • 3%以上会計帳簿の閲覧謄写請求権、株主総会の招集請求権、役員の解任の訴えなど
  • 1/3超特別決議を単独で否決できる(拒否権)
  • 過半数普通決議を単独で可決できる(取締役の選任・解任、計算書類の承認など)
  • 2/3以上特別決議を単独で可決できる(定款変更、事業譲渡、組織再編、種類株式の発行など)
  • 90%以上特別支配株主の株式等売渡請求(少数株主の株式を強制的に取得する手続)を使いうる
  • 100%完全支配。総株主の同意が必要な事項も単独で決められる

3. 相続シミュレーション(分散のリスク)

ある株主が亡くなり、その持分を法定相続分どおりに分けた場合の比率変化を見ます。

相続後の株主株式数議決権比率1/3超過半数2/3以上
現社長の配偶者27627.6%
現社長の子113713.7%
現社長の子213713.7%
後継者(長男)15015.0%
先代の弟15015.0%
従業員持株会10010.0%
取引先505.0%

法定相続分どおりに分けると、相続人1人あたりの議決権比率は最大 27.6% になります。実際の分け方は遺産分割協議で決まり、協議がまとまるまで株式は相続人の準共有になります(権利行使者を1人決めて会社に通知する必要があります)。

4. 集約シミュレーション(後継者に必要な株数)

2/3以上に必要な株数

667

現在の保有

150

15.0%

不足株数

517

買取りで到達可能

買取りの目安(保有数の多い株主から順に充当):現社長から517株

買取価格は税務上の株価(財産評価基本通達など)を意識して決める必要があり、相場からかけ離れた価格だと贈与とみなされることがあります。会社が自己株式として買い取る場合は、財源規制(分配可能額)や、売主である株主のみなし配当課税にも注意が必要です。

※ 判定は会社法の原則的な決議要件をもとにした一般的な目安です。機関設計や定款の定めで必要な要件が加重されていることがあり、種類株式・相互保有株式・単元株制度があると議決権の数え方も変わります。実際の判断は弁護士等の専門家にご確認ください。

「発行済株式数」ではなく「議決権のある株式数」で考える

株主構成を考えるときに最初につまずくのがここです。持株比率は普通、発行済株式総数を分母にして計算しますが、決議の可否を判断するときの分母は「議決権のある株式の数」です。会社が自分で保有している自己株式には議決権がありません。したがって、自己株式がある会社では、発行済株式数で計算した比率と、実際に総会で効いてくる議決権比率がずれます。

たとえば発行済1,200株のうち200株を会社が自己株式として保有し、社長が600株を持っているとします。発行済ベースでは50%ちょうどですが、議決権のある株式は1,000株なので、社長の議決権比率は60%になります。過半数を持っているかどうかという肝心の判定が、分母の取り方ひとつで逆転してしまうわけです。逆に言えば、会社が少数株主から株式を買い取って自己株式にすると、残った株主の議決権比率は自動的に上がります。これは事業承継で集約を進めるときによく使われる手法です。本ツールは自己株式を分母から除いて計算しているので、この効果もそのまま確認できます。議決権そのものの意味は議決権とはで解説しています。

節目の数字が意味すること

株主総会の決議には大きく普通決議と特別決議があります。普通決議は議決権の過半数を持つ株主が出席し、その議決権の過半数で決まります(取締役の選任・解任、計算書類の承認、剰余金の配当など)。特別決議は出席した議決権の3分の2以上の賛成が必要で、定款変更、事業譲渡、合併などの組織再編、種類株式の発行といった、会社の基本にかかわる事項に使われます。ここから、次の数字が「節目」として意味を持ちます。

  • 2/3以上:単独で特別決議を可決できます。事業承継で「後継者に集めるべき水準」として語られるのがこの線です。
  • 過半数:単独で普通決議を可決できます。取締役を自分で選べるため、日常の経営権はここで握れます。
  • 1/3超:単独で特別決議を否決できます。可決はできないが、相手にもさせない。いわゆる拒否権です。少数株主が持っているとM&Aや組織再編が止まります。
  • 3%以上:会計帳簿の閲覧謄写請求、株主総会の招集請求、役員の解任の訴えなどができます。数字は小さいですが、実務上の影響は小さくありません。
  • 1%以上:株主総会での議案提案権(取締役会設置会社では6か月前からの継続保有などの要件があります)。
  • 90%以上:特別支配株主の株式等売渡請求として、少数株主の株式を強制的に取得する手続を使いうる水準です。
  • 100%:完全支配。総株主の同意が必要な事項も単独で決められます。M&Aで買い手が最終的に目指すのもここです。

ここで注意したいのは、これらが原則的な要件だという点です。定款で「特別決議は議決権の4分の3以上」と加重している会社もありますし、取締役会の有無などの機関設計によって手続も変わります。また、決議要件は「出席した株主の議決権」を基準にするため、実際には出席率も効いてきます。本ツールは全株主が出席した前提で判定しているので、判定が「●」でも安心しきらず、定款を必ず確認してください。支配権を握っていることが価格にどう反映されるかはコントロール・プレミアムで解説しています。

相続で株式が分散するとどうなるか

中小企業の株主構成が壊れる最大の原因は相続です。先代が75%を持っていて磐石だったはずの会社が、相続を一度経ただけで、誰も単独では特別決議を通せない状態になる。これは珍しい話ではありません。本ツールの相続シミュレーションは、ある株主の持分を法定相続分どおりに分けたときに比率がどう動くかを表示します。配偶者1/2・子で残り1/2を均等に分ける前提です。

実務ではもう一段の問題があります。遺産分割協議がまとまるまで、株式は相続人の準共有状態になります。この間、株主としての権利を行使するには権利行使者を1人決めて会社に通知しなければならず、相続人の意見が割れると事実上、議決権が凍結されます。総会が開けない、役員も選べない、という状況になりかねません。だからこそ、遺言や生前贈与で承継先をあらかじめ決めておくことに意味があります。

分散を防ぐ道具としては、譲渡制限株式(定款で株式の譲渡に会社の承認を要する定めを置く)、相続人等に対する売渡請求の定め、議決権制限株式や拒否権付株式などの種類株式の活用、持株会社を使った集約などがあります。どれも設計を誤ると使えなかったり、かえって紛争の火種になったりするため、弁護士と相談して組み立ててください。相続税の側の負担は相続税の概算計算ツールで試算できます。

後継者に集約するときの考え方

集約シミュレーションは、後継者が目標の水準(既定は2/3以上)に届くまでに何株足りないかを計算し、誰から何株買えばよいかの目安を出します。既存株主からの買取りを前提にしているため、議決権のある株式の総数は変わりません。「買取りに応じてもらえる株主」をチェックで絞り込めるので、売却に応じない株主や連絡の取れない株主を除いて、それでも目標に届くかを確かめられます。

実際に買い集めるときの論点は主に3つです。第一に価格。非上場株式には市場価格がないため、税務上の評価額を意識して決める必要があり、著しく低い価格で買うと差額が贈与とみなされることがあります。株価の算定方法は事業承継の株価算定をご覧ください。第二に資金。後継者個人に買取資金がないことは多く、会社が自己株式として買い取る、持株会社を作って借入で買い取る、といった方法が検討されます。会社が買い取る場合は分配可能額の範囲でしか実行できず(財源規制)、売主にみなし配当課税が生じることもあります。第三に手続。譲渡制限株式なら会社の承認決議が必要で、株主名簿の書換えまで済ませて初めて会社に対抗できます。

そして最も厄介なのが、名簿と実態が食い違っているケースです。設立時に頭数をそろえるために名前を借りた名義株や、代替わりを繰り返して連絡先がわからなくなった所在不明株主がいると、そもそも誰と交渉すればよいのかが確定しません。株主名簿、法人税申告書別表二、株券の有無、過去の株式異動の経緯を突き合わせて実態を確定させる作業が先になります。M&Aの場面では、この整理ができていないこと自体が価格の減額や取引の停止につながります。後継者がいない場合の選択肢は後継者不在の選択肢にまとめています。

よくある質問

Q. 2/3を取るには何株必要ですか?

A. 議決権のある株式数の3分の2以上です。1,000株なら667株(666.67株を切り上げ)、300株ならちょうど200株、100株なら67株になります。本ツールは小数の比率で判定すると誤差が出るため、整数の掛け算(保有株式数×3 ≧ 2×議決権総数)で判定しています。1株の違いで結論が変わる水準なので、端数の扱いは慎重に確認してください。なお自己株式があると分母が減るため、必要な株数も減ります。

Q. 51%持っていれば経営は安泰ですか?

A. 取締役の選任など普通決議は単独で通せますが、定款変更や組織再編には足りません。そして残りの49%が1人の株主に集まっていれば、その株主は1/3超なので特別決議に対する拒否権を持ちます。将来M&Aで会社を売る、持株会社を作る、種類株式を発行するといった場面で、必ずその株主の同意が要ることになります。「経営はできるが、構造は変えられない」状態だと理解しておくのが正確です。

Q. 新株を発行すると比率はどうなりますか?

A. 議決権のある株式の総数が増えるため、既存株主の比率は下がります。これが希薄化です。第三者割当増資で後継者に新株を割り当てれば、買取りをせずに比率を高めることもできますが、既存株主の利益を損なう発行は差止めや無効を争われることがあり、有利発行にあたる場合は株主総会の特別決議が必要です。仕組みは希薄化(ダイリューション)第三者割当増資をご覧ください。本ツールは発行済株式数の変化には対応していないため、増資後の株式数を直接入力して比較してください。

Q. M&Aでは何%を売る必要がありますか?

A. 買い手は原則として100%の取得を望みます。少数株主が残ると意思決定に制約が残り、将来の紛争リスクも抱えるためです。中小企業のM&Aで「全株譲渡」が基本形になっているのはこのためで、少数株主が1人でも応じないと取引自体が成立しないことがあります。全部は取れない場合でも、最低限2/3以上を確保できるかが分かれ目になります。経営陣が買い取る形はMBO、株式交換・株式移転を使う形は株式交換・株式移転で解説しています。

関連する無料ツール

※ 本ツールの判定は会社法の原則的な決議要件にもとづく目安であり、法務に関する助言ではありません。定款で決議要件が加重されている場合、種類株式・単元株制度・相互保有株式がある場合、議決権のない株式が発行されている場合は結果が変わります。また、名義株や所在不明株主がいると、株主名簿の数字どおりに議決権を行使できません。具体的な判断は弁護士等の専門家にご確認ください。

株式を動かす前に、価値を確かめる

買取りや承継で株式を移すときは、何株動かすかと同じくらい、1株あたりいくらかが問題になります。M&Aバリュークラウドでは決算データから企業価値評価レポートを作成できます。簡易版2,200円・詳細版5,500円(いずれも税込)。登録と試算は無料です。なお、これはM&A・事業承継の検討に使う企業価値評価であり、相続税評価額(財産評価基本通達にもとづく金額)の算定ではありません。