財務指標 まとめ計算ツール
決算書の主要な数字を入れるだけで、収益性・安全性・効率性の12指標をまとめて計算します。ROE・ROA・ROIC、自己資本比率、流動比率、当座比率、D/Eレシオ、ネット有利子負債/EBITDA、総資産回転率まで一覧で確認でき、M&Aの買い手が特に見る指標には印を付けています。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。
決算書の主要な数字を入れると、収益性・安全性・効率性の12指標をまとめて計算します。水準は業種・規模・会計方針で大きく変わるため、同業他社や自社の過去推移と比べてご覧ください。入力した数値はどこにも送信されません。
損益計算書から
貸借対照表から
率の前提
EBITDA
5,000万円
5,000万円
ネット有利子負債
10,000万円
1億円
ROIC − WACC(スプレッド)
2.4%
資本コストを上回っています
財務指標の一覧
| 指標 | 値 | 計算式 | 一般的な見方 |
|---|---|---|---|
| 収益性 | |||
| 売上高営業利益率 | 8.0% | 営業利益 ÷ 売上高 | 本業で稼ぐ力。水準は業種で大きく異なるため、同業他社と自社の過去推移で比べます。 |
| 売上高経常利益率 | 7.2% | 経常利益 ÷ 売上高 | 支払利息など財務活動まで含めた利益率。営業利益率との差が大きければ金融収支を確認します。 |
| 売上高当期純利益率 | 4.8% | 当期純利益 ÷ 売上高 | 税金と特別損益まで反映した最終的な利益率。単年度は特殊要因で振れやすい指標です。 |
| ROE(自己資本利益率) | 20.0% | 当期純利益 ÷ 自己資本 | 株主が出したお金でどれだけ稼いだか。借入を増やしても上がるため、自己資本比率とセットで見ます。 |
| ROA(総資産利益率) | 6.0% | 当期純利益 ÷ 総資産 | 資産全体の使い方の効率。遊休資産や過大な在庫があると下がります。 |
| ROIC(投下資本利益率)買い手注目 | 10.4% | NOPAT(営業利益×(1−実効税率)) ÷(有利子負債+自己資本) | 調達したお金で本業がどれだけ稼いだか。WACCを上回っていれば価値を生んでいる、と一般に説明されます。 |
| 安全性 | |||
| 自己資本比率買い手注目 | 30.0% | 自己資本 ÷ 総資産 | 財務の厚み。マイナスなら債務超過です。適正水準は業種・資産構成によって異なります。 |
| 流動比率 | 200.0% | 流動資産 ÷ 流動負債 | 1年以内の支払い余力。100%を下回ると短期の資金繰りを確認したい、という見方が一般的です。 |
| 当座比率 | 130.0% | (現預金+売上債権) ÷ 流動負債 | 在庫を除いた支払い余力。流動比率との差が大きい場合は在庫の中身を確認します。 |
| D/Eレシオ | 1.25倍 | 有利子負債 ÷ 自己資本 | 自己資本の何倍を借りているか。設備型の業種では高く出やすく、一律の基準はありません。 |
| ネット有利子負債/EBITDA買い手注目 | 2.00倍 | (有利子負債−現預金) ÷(営業利益+減価償却費) | 稼ぎの何年分の実質借入があるか。M&Aの買い手・金融機関がまず見る指標のひとつです。 |
| 効率性 | |||
| 総資産回転率 | 1.25倍 | 売上高 ÷ 総資産 | 資産をどれだけ売上に変えられているか。1回を下回るほど資産が重い業態、という見方をします。 |
「—」は分母が0以下などで指標として意味を持たない場合です(自己資本が0以下のときのROE・D/Eレシオ、EBITDAが0以下のときのネット有利子負債/EBITDAなど)。当座比率は「現預金+売上債権」で計算しています。棚卸資産以外の当座資産(有価証券など)がある場合は売上債権の欄に含めてください。
※ 指標の「良し悪し」は業種・規模・成長段階によって変わります。ここに出た数値は目安であり、単年度の数字だけで判断せず、3期以上の推移と同業の水準をあわせて確認してください。
財務指標は3つの視点で読む
財務指標は数えきれないほどありますが、実務で使うものは「どれだけ稼げているか(収益性)」「潰れにくいか(安全性)」「資産をうまく使えているか(効率性)」の3つに整理できます。本ツールもこの3グループで表示しています。指標をひとつずつ眺めても意味は見えてきません。収益性が高くても借入が重ければ買い手は慎重になりますし、安全性が高くても資産を寝かせているだけなら評価は伸びません。組み合わせで読むのが基本です。
もうひとつ大切なのが、水準の「正解」は業種によって違うということです。在庫を持たないサービス業と、工場を抱える製造業では、総資産回転率も自己資本比率もまったく別の水準になります。ある指標が低いこと自体が問題なのではなく、同業他社と比べて低いのか、自社の過去と比べて悪化しているのかが問われます。本ツールが示す「一般的な見方」も、断定ではなく確認の入口として使ってください。
収益性の指標
売上高営業利益率(営業利益÷売上高)は本業で稼ぐ力を表します。経常利益率との差は支払利息などの財務収支、当期純利益率との差は税金と特別損益によるものです。3つを並べると、利益がどこで削られているかが見えてきます。営業利益率は高いのに経常利益率が低ければ、借入の金利負担が重い可能性があります。
ROE(自己資本利益率)は当期純利益÷自己資本で、株主が出したお金に対する利回りを見る指標です。注意したいのは、借入を増やして自己資本を薄くするだけでもROEは上がる点です。ROEが高い会社を見たら、必ず自己資本比率とセットで確認します。ROA(当期純利益÷総資産)は資産全体の使い方の効率を見るもので、遊休不動産や過大な在庫を抱えていると下がります。
ROIC(投下資本利益率)は、事業に投じたお金がどれだけ本業の利益を生んだかを見る指標です。本ツールでは次の式で計算しています。実効税率は入力できるようにしていますので、自社の水準に合わせてください(実効税率 計算機で試算できます)。
ROIC = NOPAT(営業利益 ×(1 − 実効税率)) ÷ 投下資本(有利子負債 + 自己資本)
ROICが優れているのは、借入と自己資本の両方を分母に入れているため、資本構成の違いに左右されにくい点です。ROEのように財務レバレッジで数字を作ることができません。そして、この率をWACC(加重平均資本コスト)と比べるのが、企業価値の議論の出発点になります。詳しくはROEとROICの違いで解説しています。
安全性の指標
自己資本比率(自己資本÷総資産)は財務の厚みを表す代表的な指標です。マイナスなら債務超過で、赤字・債務超過の会社の売却では別の考え方が必要になります。ただし適正水準は業種によってまったく異なり、大きな設備や不動産を借入で持つ業態では低く出るのが普通です。数字そのものより、推移と資産の中身を見ることが大切です。
流動比率(流動資産÷流動負債)は1年以内の支払い余力を見るもので、100%を割ると短期の資金繰りを確認したいという見方が一般的です。当座比率は在庫を除いた、より厳しい見方をする指標で、本ツールでは「(現預金+売上債権)÷流動負債」で計算しています。有価証券などほかの当座資産がある場合は売上債権の欄に含めてください。流動比率は高いのに当座比率が低いときは、在庫が膨らんでいる可能性があります(運転資本・CCC 計算ツールで回転日数まで確認できます)。
D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は、自己資本の何倍を借りているかを見る指標です。ネット有利子負債/EBITDAは、現預金を差し引いた実質的な借入が、年間の稼ぎ(EBITDA=営業利益+減価償却費)の何年分あるかを見るもので、M&Aや融資の場面でよく登場します。いずれも業種・成長段階によって許容される水準が違うため、一律の合格ラインはありません。
M&Aで買い手が最初に見る指標
買い手が短時間で会社を評価するとき、見る順番はおおむね決まっています。本ツールで「買い手注目」と印を付けた3つがそれにあたります。
- ネット有利子負債/EBITDA:買収後に引き継ぐ実質的な借入が、稼ぎの何年分か。買収資金を借入で賄う場合は、この倍率が返済計画の前提そのものになります(LBOとは)。
- 自己資本比率:想定外の損失を吸収できるか。低ければ、譲渡後の資金支援や追加出資の要否まで検討されます。
- ROIC − WACCスプレッド:投下した資本が資本コストを上回るリターンを生んでいるか。プラスなら価値を生んでいる、マイナスなら事業に投じるほど価値が目減りしている、というのが一般的な解釈です。
ネット有利子負債は価格の話にも直結します。M&Aでは事業そのものの価値(企業価値・EV)をまず算定し、そこから純有利子負債を差し引いて株式価値=株主が受け取る金額を求めるのが基本です。借入が多ければ、同じ事業価値でも手取りは小さくなります。この関係は企業価値と株式価値の違いで詳しく解説しています。
売り手の立場では、これらの指標は「交渉が始まる前に手を入れられる部分」でもあります。滞留債権や不良在庫の整理、遊休資産の処分、名義や個人資産の切り分けは、指標を実態に近づけると同時に、デューデリジェンスでの指摘を減らします。準備の進め方は売り手側の事前準備(セルサイドDD)にまとめています。役員報酬や一時的な費用を調整した実力ベースの利益に直す作業(正常収益力)とあわせて進めるのが定石です。
使いどころと注意点
- 単年度の数字だけで判断しないでください。特別損益や一時的な費用で最終利益は簡単に振れます。3期以上の推移で見るのが基本です。
- 期末残高は、決算前の回収・支払いのタイミングで動きます。安全性の指標は月次平均でも計算して比べると実態に近づきます。
- 自己資本が0以下の場合、ROEとD/Eレシオは意味を持たないため「—」と表示しています。EBITDAが0以下のときのネット有利子負債/EBITDAも同様です。
- オーナー企業では、役員報酬・地代家賃・保険料などの水準が指標を大きく左右します。実態に直してから比べてください。
- 水準の目安は業種で大きく異なります(業種別の評価ポイント)。会計方針の違いも比較可能性に影響します。
- 本ツールは概算です。税務・会計の判断は税理士等の専門家にご確認ください。
よくある質問
Q. ROEとROICはどちらを重視すべきですか?
A. 目的が違います。ROEは株主から見た利回り、ROICは事業そのものの稼ぐ力です。借入を増やせばROEは上がりますが、ROICは資本構成に左右されにくいため、事業の実力を比べたいときや、M&Aで買収後のリターンを検討するときはROICが使われます。両方を並べ、その差が財務レバレッジによるものかどうかを確認するのが実務的です。
Q. 「ROICがWACCを上回っていれば良い」というのは本当ですか?
A. 一般的な考え方としてはそのとおりですが、いくつか留保が必要です。非上場の中小企業ではWACCの算定自体に幅があり、前提の置き方でスプレッドの符号が変わることもあります。また、単年度のROICは特殊要因で振れます。あくまで「投じた資本に見合うリターンが出ているかを考える枠組み」として使い、数値そのものを絶対視しないでください。
Q. ネット有利子負債/EBITDAは何倍までなら大丈夫ですか?
A. 一律の基準はありません。安定的にキャッシュフローが出る事業と、景気変動の大きい事業では許容される水準が違いますし、金融機関や買い手の方針にもよります。重要なのは絶対値よりも、返済計画と整合しているか、設備投資の必要額を差し引いても返せるかという点です。返済負担そのものは借入返済シミュレーションで確認できます。
あわせて読みたい
- ROE・ROICとは|似て非なる2つの指標
- WACCとは|資本コストの考え方
- EBITDAとは|営業利益+減価償却費
- 企業価値と株式価値の違い|純有利子負債の効き方
- 売り手側の事前準備(セルサイドDD)
- 正常収益力とは|実力ベースの利益に直す
- デューデリジェンスとは
- DCF法とは|企業価値評価の基本
- フリー・キャッシュ・フロー(FCF)とは
- 類似会社比較法(EV/EBITDA倍率)とは
- LBOとは|借入を使った買収
- 赤字・債務超過の会社の売却
- 業種別の評価ポイント
ほかの無料ツール
- 減価償却 計算ツール|定額法・定率法を年度別に比較
- EBITDA 計算機
- EV/EBITDA倍率 企業価値計算機
- DCF法 計算ツール
- 運転資本・CCC 計算ツール
- 借入返済シミュレーション|毎月返済額・DSCR
- 実効税率 計算機
- 年買法(年倍法)計算機
※ 本ツールは単純化した概算です。指標の水準は業種・規模・会計方針によって大きく異なり、良し悪しを一律に判断することはできません。数値はいずれも目安であり、税務・会計・法務の判断は専門家にご確認ください。
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