減価償却 計算ツール(定額法・定率法)

設備や車両などの減価償却費を、定額法と定率法の両方で、無料・登録不要で自動計算します。年度別の償却額と期末帳簿価額、定率法で償却保証額を下回ったあとの改定償却率による均等償却まで、一覧の表で比較できます。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。

取得価額・耐用年数・償却率を入力すると、定額法と定率法の年度別の償却額と期末帳簿価額を計算します。償却率・償却保証率・改定償却率は入力した値で計算します(税務上の耐用年数・償却率は最新の公表資料と税理士にご確認ください)。入力した数値はどこにも送信されません。

償却率(すべて入力値)

※ 初期値はツールが耐用年数から機械的に置いた概算です。税務申告に使う率は、必ず最新の公表資料で確認し、税理士等の専門家にご相談ください。

初年度の償却額(定額法)

1,000,000

100万円

初年度の償却額(定率法)

2,000,000

定額法の 2.00 倍

償却保証額(定率法)

655,300

7年目から改定償却率へ

3年累計の償却額

定額法 3,000,000円 / 定率法 4,880,000

償却が終わる年度

定額法 10年目 / 定率法 10年目

年度別の償却額と期末帳簿価額(円)

年度定額法定率法
償却額期末簿価償却額期末簿価
1年目1,000,0009,000,0002,000,0008,000,000
2年目1,000,0008,000,0001,600,0006,400,000
3年目1,000,0007,000,0001,280,0005,120,000
4年目1,000,0006,000,0001,024,0004,096,000
5年目1,000,0005,000,000819,2003,276,800
6年目1,000,0004,000,000655,3602,621,440
7年目切替1,000,0003,000,000655,3601,966,080
8年目1,000,0002,000,000655,3601,310,720
9年目1,000,0001,000,000655,360655,360
10年目999,9991655,3591
合計9,999,9999,999,999

いずれの方法でも、最後は備忘価額1円を残して償却を終えます(表示は最大30年)。

※ 減価償却費は現金の支出をともなわない費用です。企業価値評価では、税引後営業利益に減価償却費を足し戻してからフリー・キャッシュ・フローを計算します。償却方法を変えても、期間全体で費用になる金額(取得価額−備忘価額1円)は変わりません。

減価償却とは|支出は先、費用は後から

減価償却は、長く使う資産の取得価額を、使う期間にわたって少しずつ費用にしていく会計処理です。1,000万円の機械を買ったとき、その年に1,000万円の費用を計上してしまうと、その機械が10年間生み出す売上と費用が対応しません。そこで取得価額を耐用年数で配分し、毎年の損益計算書に「減価償却費」として計上します。これを費用配分の原則といいます。

ここで決定的に重要なのが、現金が出ていくのは購入した年だけという点です。2年目以降に計上される減価償却費は、帳簿の上では費用ですが、その年に現金が出ていくわけではありません。この「利益は減るが現金は減らない費用」という性質が、後で説明するとおり企業価値評価の計算に直結します。

償却の方法として代表的なのが定額法と定率法です。どちらを選んでも、償却が終わるまでに費用として落とせる総額は同じ(取得価額から備忘価額1円を引いた金額)で、変わるのは「どの年度にいくら計上するか」という時間配分だけです。本ツールはこの違いを、年度別の表で並べて確認するためのものです。

定額法の計算式

定額法は、毎年同じ金額を償却していく方法です。計算式はシンプルで、償却率は耐用年数の逆数(1÷耐用年数)が基本になります。

定額法の償却額 = 取得価額 × 定額法の償却率(= 1 ÷ 耐用年数)

耐用年数10年なら償却率は0.1で、取得価額1,000万円の資産は毎年100万円ずつ償却していきます。ただし、期の途中で使い始めた資産は、その年度は使った月数分だけを計上します。これが月数按分で、計算式は「年間の償却額 × 事業の用に供した月数 ÷ 12」です。10月に取得して3月決算なら6か月分、つまり50万円になります。本ツールでも初年度の月数を入力すれば自動で按分します。

最終年度だけは少し扱いが違い、帳簿価額をゼロにするのではなく1円(備忘価額)を残します。これは、その資産をまだ保有していることを帳簿上に残しておくためのものです。ツールの表でも、最後の年度の期末簿価が1円になっていることを確認できます。

定率法の計算式と改定償却率への切替

定率法は、まだ償却していない残高(期首帳簿価額)に一定の率を掛ける方法です。買ったばかりの年ほど償却額が大きく、年を追うごとに小さくなっていきます。

定率法の償却額 = 期首帳簿価額 × 定率法の償却率

ただし、この式のままでは残高に率を掛け続けるだけなので、理屈のうえでは帳簿価額がいつまでもゼロに近づきません。そこで現行の制度では、その年の償却額(調整前償却額)が「償却保証額」を下回った年度から、計算方法を切り替えるという仕組みが用意されています。切替後は、その年度の期首帳簿価額(改定取得価額)に改定償却率を掛けた金額を、毎年同じだけ償却していきます。

  • 償却保証額 = 取得価額 × 償却保証率
  • 調整前償却額(期首帳簿価額 × 定率法の償却率)が償却保証額以上 → そのまま定率法で計算
  • 調整前償却額が償却保証額を下回った → 以後は「改定取得価額 × 改定償却率」で均等に償却

ツールの表では、切り替わった年度に「切替」のマークを付けています。切替後の償却額が毎年同じ金額に揃い、最後は定額法と同じく備忘価額1円で終わることを確認できます。なお、いわゆる200%定率法は「定額法の償却率×2.0」を定率法の償却率とする考え方で、本ツールの初期値もこれにならって耐用年数から機械的に計算しています。初期値はあくまで入力欄を埋めるための概算であり、税務申告に使う耐用年数・償却率・償却保証率・改定償却率は、必ず最新の公表資料で確認し、税理士等の専門家にご相談ください。本ツールは入力された率をそのまま使って計算します。

定額法と定率法、どちらを選ぶか

前述のとおり、期間全体で費用にできる総額はどちらも同じです。違いは前倒しか、平準化かという点にあります。定率法は初年度の償却額が大きいため、早い時期の利益と税負担を抑えられます。手元資金を厚くしたい、投資回収を早く進めたいという場面では選ばれやすい方法です。一方で、数年後に償却額が小さくなったとき、利益が急に増えたように見える点には注意が必要です。

定額法は毎年の費用が一定なので、損益の見通しが立てやすく、事業計画や金融機関への説明もしやすくなります。建物や、長期にわたって安定的に稼働する設備では定額法が使われることが多いといえます。どちらの方法を選べるか、また変更に手続きが要るかは資産の種類によって決まっているため、実際の選択は税理士に確認してください。ここでは「どちらを選んでも生涯の費用総額は同じで、変わるのは時間配分だけ」という点を押さえておけば十分です。

なお、M&Aで生じるのれんの償却は、ここでいう減価償却とは別の論点です。のれんの取扱いについてはのれん・営業権とはのれんの償却で解説しています。

企業価値評価では減価償却をどう扱うか

減価償却は、企業価値評価のほぼすべての場面に顔を出します。まずDCF法で割り引く対象であるフリー・キャッシュ・フロー(FCF)は、一般に次の式で計算します。

FCF = 税引後営業利益 + 減価償却費 − 設備投資 − 運転資本の増加

減価償却費が足し戻されているのは、まさに「現金が出ていかない費用」だからです。営業利益の段階でいったん差し引かれているものを、キャッシュフローに直すために戻している、と考えるとわかりやすいでしょう。だからこそ、減価償却費を大きく計上している会社ほど、利益の小ささに比べてキャッシュフローは厚くなります。

ただし、足し戻して終わりではありません。式の右側には設備投資が並んでいます。設備を使い続ける会社は、償却が進んだ設備をいずれ更新しなければならず、その支出は実際に現金として出ていきます。長い目で見れば、減価償却費と設備投資はおおむね同じ水準に落ち着くはずです。事業計画で「減価償却費は毎年計上するが設備投資はゼロ」と置くと、FCFが実態より大きく出てしまい、企業価値も過大になります。設備が重い業種の評価では、この整合性が最初に確認されるポイントです。製造業の企業価値評価建設業の企業価値評価でも、設備投資と償却のバランスは重要な論点として扱われます。

もうひとつがEBITDAとの関係です。EBITDAは「営業利益+減価償却費」で計算される、償却前の利益指標です。償却方法や耐用年数の違い、過去の投資時期の違いによる影響を取り除いて会社どうしを比べられるため、類似会社比較法(EV/EBITDA倍率)で広く使われています。逆にいえば、EBITDAは設備投資の負担を無視した指標でもあるため、装置産業ではEBITDAだけを見ると資本の重さを見落とします。倍率を当てはめる際は、減価償却費と設備投資の水準もセットで確認してください。

時価純資産をベースにする時価純資産法でも減価償却は効いてきます。帳簿価額は償却の結果にすぎないため、実際の中古市場価格や再調達価額と乖離していることが珍しくありません。償却が終わって簿価1円になっている機械が、現役で稼働していて相応の価値を持っているケースもあります。デューデリジェンスでは、固定資産台帳と現物の突合、遊休資産の有無まで確認されます。

使いどころと注意点

  • 本ツールは入力した償却率で計算します。耐用年数表や公式の償却率は掲載していません。税務上の耐用年数・償却率・償却保証率・改定償却率は、必ず最新の公表資料で確認し、税理士にご相談ください。
  • 初年度の月数按分は「事業の用に供した月数 ÷ 12」で計算しています。取得した日ではなく、使い始めた日が基準になる点に注意してください。
  • 少額の資産の一括償却や、中小企業向けの特例、中古資産を取得した場合の耐用年数の見積りなど、実務にはさまざまな例外があります。本ツールは原則的な計算のみを扱います。
  • 会計上の償却と税務上の償却限度額は必ずしも一致しません。差が出た場合の申告調整については専門家にご確認ください。
  • 正常な収益力を把握する場面では、償却方法の違いや一時的な特別償却を平準化して考えます(正常収益力とは)。
  • 業種によって設備の重さも償却負担もまったく異なります(業種別の評価ポイント)。

よくある質問

Q. 定額法と定率法で、最終的に得をするのはどちらですか?

A. 期間全体で費用にできる総額はどちらも同じ(取得価額−1円)なので、どちらかが得をするという性質のものではありません。違うのは費用を計上する時期です。定率法は早い年度に多く償却するため、初期の利益と税負担を抑えて手元資金を残しやすくなります。一方で、償却が小さくなる後半の利益は大きく出ます。資金繰りや利益計画のどちらを優先するかで判断する話であり、税務上の取扱いは税理士にご確認ください。

Q. 「改定償却率」に切り替わるのはなぜですか?

A. 定率法は残った帳簿価額に率を掛け続ける計算なので、そのままでは償却額が限りなく小さくなり、耐用年数の間に償却が終わりません。そこで、償却額が償却保証額を下回った年度からは、その時点の帳簿価額を残りの期間で均等に割り切る計算(改定取得価額×改定償却率)に切り替えます。この仕組みによって、定率法でも耐用年数の終わりに備忘価額1円まで到達します。

Q. 帳簿価額を最後に1円だけ残すのはなぜですか?

A. 償却が終わっても資産そのものは手元に残っているため、その存在を帳簿上に残しておく趣旨です。この1円を備忘価額と呼びます。除却・売却したときにはじめて帳簿から落とします。なお、簿価が1円でも実際に稼働していれば経済的な価値はありますから、M&Aの評価では簿価ではなく実態で見ることになります。

Q. 減価償却費が大きい会社は、企業価値が高く評価されますか?

A. 一概にはいえません。減価償却費が大きいとEBITDAは大きく出ますが、それは過去に大きな設備投資をしたということでもあり、将来も同じ規模の更新投資が必要なら、その分のキャッシュアウトが続きます。買い手は「EBITDAの厚さ」と「維持に必要な設備投資」の両方を見ます。償却費と設備投資の水準が長期的に釣り合っているか、直近だけ投資を抑えていないかが確認されるポイントです。

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