企業価値の1分診断(かんたん試算)
決算書から5つの数字(売上高・営業利益・純資産・有利子負債・現預金)を拾い、業種を選ぶだけで、自社の株式価値がどのくらいの幅に収まりそうかを試算します。無料・登録不要、入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーには送信されません。
※ はじめにお断りします。この診断はごく大まかな目安であり、正式な企業価値評価ではありません。ここで出た金額がそのまま売却価格になるわけではなく、正式な評価や実際の交渉では違う結論になります。方向感をつかむための出発点としてお使いください。
※ この診断はごく大まかな目安であり、正式な企業価値評価ではありません。実際の価格は、決算書の中身の精査・買い手との交渉・デューデリジェンスの結果で大きく変わります。
直近期の決算書から5項目を入れるだけで、3つの見方の目安を計算します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。
3つの見方をまとめた株式価値の目安レンジ
12,000 〜 40,000万円
= 1億2,000万円 〜 4億円
① 年買法(年倍法)
純資産 + 正常営業利益 × 2〜5年
28,000 〜 40,000 万円
純資産 20,000万円 + 営業権 8,000〜20,000万円
② EV/EBITDA倍率
EBITDA × 4〜7倍 − 純有利子負債
12,000 〜 24,000 万円
EBITDA 4,000万円/EV 16,000〜28,000万円 − 純有利子負債 4,000万円
③ 簡易DCF
NOPAT ×(1+1%)÷(8%−1%) − 純有利子負債
36,042 万円
NOPAT 2,775万円(実効税率30.62%)/EV 40,042万円
| 正常営業利益 | 4,000 万円 | 売上高営業利益率 | 8.0% |
|---|---|---|---|
| EBITDA | 4,000 万円 | 純有利子負債 | 4,000 万円 |
レンジの読み方
- 前提(利益の正常化・倍率・割引率)が少し動くだけで、金額は大きく変わります。1つの数字ではなく幅で捉えてください。
- デューデリジェンスで簿外債務・未払残業・在庫や売掛金の評価減が見つかると、価格は下がる方向に動きます。
- 同じ会社でも、シナジーを見込む買い手と単独採算で見る買い手では評価が違います。買い手ごとに価格は変わります。
- 年買法の純資産は簿価を使っており、時価への修正やオーナー報酬の適正化による純資産への影響は反映していません。
※ 繰り返しになりますが、これは目安であって正式な評価ではありません。EV/EBITDA倍率のレンジは一般に語られる目安の幅として設定した値で、特定のデータ提供元の数値ではありません。簡易DCFはWACC 8%・成長率1%・実効税率30.62%の固定前提です(税率は執筆時点の一般的な水準で、改正がありえます)。税務の判断は必ず税理士等にご確認ください。
なぜ「1つの数字」ではなく「レンジ」で出すのか
「うちの会社はいくらで売れるのか」を知りたいとき、多くの方がまず求めるのは1つのはっきりした金額です。しかし、企業価値評価の実務で単一の金額が示されることはほとんどありません。評価の方法は複数あり、どれも「将来どうなるか」「似た会社はどう評価されているか」といった、前提の置き方に結論が左右されるからです。前提が変われば答えも変わる。だから実務では、複数の方法で計算して幅(レンジ)で捉え、その幅のどこに落とすかを交渉で決めていきます。
このツールも同じ考え方に立っています。年買法、EV/EBITDA倍率、簡易DCFという性質の異なる3つの見方で計算し、そのすべてを並べたうえで最小値〜最大値を総合レンジとして表示します。3つの結果が近い金額に集まっていれば、その水準はある程度の説明力を持ちます。逆に大きくばらついているなら、どこかの前提が実態と合っていないか、その会社が資産と収益のバランスの点で特徴的だということです。ばらつき自体が情報になります。詳しい相場感は会社売却の相場はいくらかで解説しています。
3つの計算方法とその考え方
① 年買法(年倍法):純資産+営業利益×2〜5年
中小企業のM&Aで、もっとも多く目にする計算式です。会社が持っている財産(純資産)に、これから稼ぐ力の価値(営業権=営業利益の何年分か)を足す、という素朴な足し算になっています。年数は2〜5年が使われることが多く、本ツールもこの幅で下限・上限を出しています。理屈の緻密さより「その場で計算できて、売り手にも買い手にも意味が伝わる」ことが重視される場面で使われる方法です。考え方の詳細は年買法(年倍法)とはにまとめています。
注意点として、本ツールの年買法は簿価の純資産をそのまま使っています。実務では、含み損益のある不動産や有価証券、回収できない売掛金、実態のない在庫、退職給付の未計上分などを洗い出して時価に直す時価純資産法の作業が入り、ここで金額が数千万円単位で動くことも珍しくありません。また、オーナー報酬の適正化差額を入力した場合、その効果は営業権の側にだけ反映され、純資産には反映していません。
② EV/EBITDA倍率:業種ごとの目安の幅を掛ける
EBITDA(営業利益+減価償却費)は、設備投資の重さや会計方針の違いをならして、事業が生み出すキャッシュの大きさを比べるための指標です。これに倍率を掛けて事業全体の価値(EV)を出し、そこから純有利子負債(有利子負債−現預金)を引いて株主に帰属する価値を求めます。この「EVと株式価値の違い」は評価の話で最も誤解が多い部分なので、企業価値と株式価値の違いを一度ご覧ください。EBITDAそのものの定義はEBITDAとはで説明しています。
本ツールが使っている業種別の倍率レンジは、中小企業のM&Aで一般に語られる目安の幅として設定した定数です。特定の統計や外部データを引用したものではありません。実務で類似会社比較法を使う場合は、事業内容の近い上場会社を複数選び、その財務データから倍率を計算し、規模やリスクの違いを調整して使います。その手順は類似会社比較法とEV/EBITDA倍率で解説しています。同じ業種でも、成長性・利益率・取引先の分散度・社長への依存度によって適用される倍率は変わります。業種ごとの見られ方は業種別の評価ポイントも参考にしてください。
③ 簡易DCF:稼ぐ力を割り引いて現在の価値にする
将来生み出すキャッシュを、リスクに見合った割引率で現在価値に引き直すのがDCF法です。本ツールでは簡易版として、正常営業利益に(1−実効税率30.62%)を掛けたNOPATが今後も一定の成長率で続くと仮定し、WACC 8%・成長率1%の一定成長モデルで割り引いています。この3つの前提は固定で、画面上では変更できません。変えられるようにすると、前提次第でいくらでも金額が動いてしまい、「1分でおおよその位置を知る」という目的から外れるためです。前提を自分で置いて計算したい場合はDCF法 計算ツールを使ってください。理論的な背景はDCF法とはにまとめています。
なお、この簡易DCFは設備投資や運転資本の増減を織り込んでいません。設備投資が重い業種では実際のフリー・キャッシュ・フローはNOPATより小さくなるため、この方法は価値を高めに出しがちです。逆に、資産をあまり持たずに利益を出せる事業では実態に近くなります。自社がどちら寄りかを意識して読んでください。
どんな場面で使うか
- 売却を検討し始めた段階:まだ誰にも相談していないが、だいたいの水準を知って考える材料にしたいとき。数字が想像とかけ離れていないかを確かめる用途に向いています。
- 提示された価格の妥当性をざっと確かめたい:仲介会社や買い手から提示された金額が、一般的な計算方法で出る幅の中に収まっているかを見る。ずれているなら、どの前提が違うのかを聞く手がかりになります。
- 事業承継の準備:後継者に株式を移すときの価格感を把握する。ただし親族内承継の税務上の株価は財産評価基本通達にもとづく別の計算になるため、事業承継の株価算定を必ずご確認ください。
- 改善の効果を見る:営業利益が1,000万円増えたら、借入を返したら、価値がどう動くかを入力を変えて確かめる。数字を動かすほど理解が深まります。
結果を読むときの注意点
- 前提が変われば大きく動きます。倍率を1つ上げ下げするだけで、株式価値はEBITDAの1年分だけ動きます。レンジの端の数字を自社の価値だと思わないでください。
- デューデリジェンスで下がることがあります。簿外債務、未払残業代、名義株、係争、回収不能な債権などが見つかると、価格の減額や表明保証の交渉につながります(デューデリジェンスとは)。
- 買い手によって評価は違います。同じ会社でも、シナジーを見込める買い手は高く、単独採算で見る買い手は低く評価します。誰に売るかで価格は変わります。
- この診断は非上場株式の流動性の低さを考慮していません。実務では流動性ディスカウントや支配権プレミアムの調整が入ります。
- 数字の入力元をそろえてください。直近1期だけが特殊な状況(大口の一時受注、コロナ関連の補助金など)なら、その影響を除いた数字で入れたほうが実態に近づきます(正常収益力とは)。
よくある質問
Q. 3つの結果がバラバラです。どれを信じればいいですか?
A. どれか1つを選ぶのではなく、なぜばらついたのかを考えるのが正しい読み方です。資産をたくさん持っているが利益が薄い会社では年買法が高く、DCFや倍率法は低く出ます。逆に資産は少ないが利益率が高い会社では、収益ベースの2つが高く出ます。買い手は自分の狙いに近い方法を重く見るので、事業目的の買い手なら収益ベース、資産に着目する買い手なら純資産ベースが交渉の軸になりやすい、という見当がつきます。3つのアプローチの位置づけは株式評価3つのアプローチの比較で整理しています。
Q. 赤字でも価値はつきますか?
A. 営業利益がマイナスの場合、本ツールでは倍率法と簡易DCFは算定不能となり、年買法は営業権を0として純資産だけを表示します。ただし実際には、技術・許認可・人材・顧客基盤・不動産といった、損益計算書に表れない価値が評価されて成約する例はあります。逆に、純資産がマイナス(債務超過)でも買い手がつくことはあります。詳しくは赤字会社の売却相場をご覧ください。
Q. オーナー報酬の適正化差額とは何ですか?
A. オーナー社長の報酬は、税務上の都合や生活設計から、第三者を社長として雇う場合の相場と離れていることがよくあります。買い手は「自分が経営したらいくら利益が残るか」で見るため、報酬を市場水準に置き直した場合の差額を営業利益に足し戻して考えます。たとえば報酬3,000万円の社長を1,500万円の水準で置き換えられるなら、差額1,500万円が上乗せです。生命保険料や社宅、社用車、家族への給与なども同じように調整の対象になります。この作業が正常収益力の把握です。
Q. この結果を持って買い手と交渉できますか?
A. 交渉の資料としてはそのままでは使えません。この診断には、時価純資産への修正も、類似会社の実際のデータも、事業計画も入っていないためです。交渉の場では「なぜその金額なのか」を説明できる根拠が求められます。自分で計算の筋道を追いたい方は自分で企業価値を計算する方法を、評価に必要な資料を確認したい方は評価に必要なデータをご覧ください。
関連する無料ツール
- 年買法(年倍法)計算機:時価純資産と営業権の年数を自分で置いて試算する。
- EV/EBITDA倍率 計算機:倍率を自分で指定して企業価値・株式価値を計算する。
- DCF法 計算ツール:FCF・WACC・永久成長率を自分で置いて感応度まで確認する。
- EBITDA 計算機:EBITDAとEBITDAマージンを計算する。
- 株式譲渡の手取り計算機:譲渡対価から税金・手数料を引いた手取りを概算する。
- 譲渡対価と役員退職金の配分シミュレーター:同じ総額でも配分で手取りがどう変わるかを比較する。
※ 本ツールの金額はすべて目安であり、正式な企業価値評価ではありません。EV/EBITDA倍率のレンジは一般に語られる目安の幅として設定した定数で、特定のデータ提供元の数値ではありません。簡易DCFはWACC 8%・成長率1%・実効税率30.62%の固定前提です。税率は執筆時点の一般的な水準であり、税制改正がありえます。税務の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。本ツールは投資・税務・法務に関する助言を行うものではありません。
もう一歩踏み込んで確かめる
前提を自分で置いて計算するなら、年買法・EV/EBITDA・DCFの各ツールが使えます。計算の根拠まで書面に残すなら、M&Aバリュークラウドのレポートがあります。無料登録で簡易シミュレーションを利用でき、詳細版レポート(5,500円・税込)はDCF法・類似会社比較法・時価純資産法の3手法を並べた評価レンジをA4・6ページのPDFにまとめます。