S1+S2方式 計算ツール

株式等保有特定会社に当たると、株式は原則として純資産価額で評価します。ただし納税義務者の選択により、「S1の金額 + S2の金額」によることもできます。会社を株式等を持っているだけの部分と、それ以外の事業をしている部分に分けて評価する方法です。財産評価基本通達189-3の算式をそのまま実装しました。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。

株式等保有特定会社について、納税義務者の選択により採れる「S1の金額 + S2の金額」を計算します。会社を「株式等を持っているだけの部分(S2)」と「それ以外の事業をしている部分(S1)」に分けて評価する方法です。原則どおり純資産価額で評価した場合との比較も表示します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。

① 前提

Lの割合

② 受取配当金等収受割合

受取配当金等収受割合:0.250

③ 比準要素(円・50円換算)

類似業種のA・B・C・Dは国税庁の公表通達から、評価会社のⒷ・Ⓒ・Ⓓは類似業種比準価額 計算ツールの結果から転記してください。

④ ⓓの計算に使う金額(直前期末)

⑤ 純資産価額の計算に使う金額(課税時期)

計算結果

S1の金額

17,912

類似 × 0.6 + 純資産 × 0.40

S2の金額

35,500

株式等そのものに対応する部分

S1 + S2

53,412

原則(純資産価額)との比較

原則:1株当たりの純資産価額

48,600

選択:S1 + S2

53,412

この前提では原則の純資産価額のほうが4,812円低くなります。S1+S2方式は選択なので、低いほうを採れます。

S1の計算過程

要素評価会社控除する分類似業種比準割合
配当金額5.001.25B 5.000.75
利益金額100.0025.00C 50.001.50
純資産価額300.00182.50D 300.000.39
比準割合 ÷ 3 × 斟酌率 0.60.88

ⓓ① 120.00円(Ⓓ × 株式等の帳簿価額の割合 40.0%) + ⓓ② 62.50円(利益積立金額の1株当たり額 × 収受割合)

S1の類似業種比準価額21,120
S1の純資産価額(株式等を除いて計算)13,100
株式等を除いた純資産価額(相続税評価額)15,000万円 − 同(帳簿価額)10,000万円 = 評価差額 5,000万円、 法人税額等相当額 38% で 1,900万円を控除
S2の金額35,500
株式等の相続税評価額 45,000万円 − 含み益 25,000万円 ×38% = 9,500万円を控除し、課税時期の発行済株式数で除す

計算にあたっての注意

S1+S2方式は「選べる」もので、必ず有利になるとは限らない

評基通189-3は、株式等保有特定会社の株式を原則として純資産価額で評価するとしたうえで、納税義務者の選択によりS1+S2方式によることもできるとしています。どちらが低くなるかは会社によって異なるため、両方を計算して比べてください。

S1の純資産価額は「株式等を除いた資産」で計算する

S1の純資産価額は、評基通185および186-2の「各資産」を「各資産から株式等を除いた各資産」と読み替えて計算します。本ツールも総資産・帳簿価額のそれぞれから株式等を差し引いています。

ⓓにはⓄという上限がある

ⓓは、Ⓓに株式等の帳簿価額の割合を乗じた金額と、利益積立金額に対応する金額の合計ですが、Ⓓを限度とします。合計がⓄを超える場合はⓄで頭打ちになります。

受取配当金等収受割合は1を限度とし、3位未満を切り捨てる

直前期末以前2年間の受取配当金等の額の合計を、同額と同期間の営業利益の合計との和で割って求めます。1を超える場合は1を限度とし、小数点以下3位未満を切り捨てます。営業利益の赤字が大きく分母が0以下になる場合の取扱いは通達に明示がないため、本ツールは上限の1を採っています。

比準要素数1の会社にも当たる場合はLが0.25になる

評基通189-3は、株式等保有特定会社が比準要素数1の会社の要件にも該当する場合、大会社・中会社・小会社の区分にかかわらず189-2に準じて計算するとしています。本ツールはこの場合にLを0.25として計算します。

※ 本ツールは財産評価基本通達189-3の算式を実装した概算です。各資産を通達に従って評価する部分は含んでいません。評価明細書(第7表・第8表)への記載や、現物出資等受入れ差額がある場合の取扱いを含め、実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。

S1とS2は何を表しているのか

株式等保有特定会社とは、総資産(相続税評価額)のうちに占める株式・出資・新株予約権付社債の割合が50%以上の会社です。該当するかどうかは特定の評価会社の判定ツールで確認できます。持株会社の形をとっている会社は、まず当たると考えてよいでしょう。

こうした会社をまるごと類似業種比準方式で評価すると、実態と合いません。中身の大半が株式なのに、事業会社と同じものさしで測ることになるからです。かといって全部を純資産価額で評価すると、事業をしている部分についても清算を前提とした評価になってしまいます。

そこで用意されたのが、切り分けて評価するという選択肢です。

  • S2=株式等そのものに対応する部分。保有する株式等の相続税評価額から、含み益に対する法人税額等相当額を控除し、課税時期の発行済株式数で割ります
  • S1=それ以外の部分。株式等を除いた会社に対して、通常の原則的評価方式(会社規模に応じた類似業種比準価額と純資産価額の組み合わせ)を当てはめます

この2つを足したものが、S1+S2方式による1株当たりの価額です。

S1の類似業種比準価額——3要素から「株式に由来する分」を引く

A ×〔((Ⓑ−ⓑ)/B + (Ⓒ−ⓒ)/C + (Ⓓ−ⓓ)/D)÷ 3〕× 斟酌率 ×(1株当たりの資本金等の額 ÷ 50円)

通常の類似業種比準方式との違いは、評価会社の3要素(Ⓑ・Ⓒ・Ⓓ)から、小文字のⓑ・ⓒ・ⓓを差し引いている点だけです。このⓑ・ⓒ・ⓓが「株式等に由来する分」を表します。

ⓑ・ⓒ——受取配当金等収受割合を掛ける

ⓑは評価会社の1株当たりの配当金額に、ⓒは1株当たりの利益金額に、それぞれ受取配当金等収受割合を乗じて求めます。この割合は次の式です。

直前期末以前2年間の受取配当金等の額の合計 ÷(同合計 + 直前期末以前2年間の営業利益の合計)

営業利益に受取配当金等が含まれている場合は、それを控除した金額を使います。1を超える場合は1を限度とし、小数点以下3位未満を切り捨てます。要するに「会社の収益のうち、どれだけが配当によるものか」を表す割合です。これが高いほど、事業ではなく株式保有で稼いでいるということになり、その分がS1から抜かれます。

ⓓ——2つの合計、ただしⒹが上限

ⓓは次の①と②の合計です。ただしⒹを限度とします。

  •  Ⓓ ×〔総資産価額(帳簿価額)のうちに占める株式等の帳簿価額の割合〕
  •  直前期末の利益積立金額を1株当たりに直した金額 × 受取配当金等収受割合。利益積立金額が負数のときは0とします

①が「貸借対照表に載っている株式の分」、②が「これまで株式から得た利益の蓄積の分」と考えると理解しやすいと思います。上のツールは①と②を分けて表示し、Ⓓで頭打ちになった場合はその旨も示します。

S1の純資産価額——資産から株式等を除く

S1の純資産価額は、純資産価額方式の計算において、通達185・186-2の「各資産」を「各資産から株式等を除いた各資産」と読み替えて計算します。相続税評価額による総資産からも、帳簿価額による総資産からも、株式等を差し引くということです。

負債はそのまま引きます。そのうえで評価差額に法人税額等に相当する金額の割合を乗じて控除します。この割合は令和8年4月1日以後に取得した財産から38%、それ以前は37%です。上のツールは課税時期を入れると自動で切り替えます。

そのうえで、会社規模に応じてS1の類似業種比準価額と組み合わせます。大会社なら類似業種比準価額、小会社なら純資産価額、中会社ならLで按分——通常の原則的評価方式と同じ構造です。規模の判定は会社規模区分の判定ツールをご利用ください。

1つ例外があります。株式等保有特定会社が比準要素数1の会社の要件にも該当する場合には、大会社・中会社・小会社の区分にかかわらず、通達189-2に準じて計算することとされています。この場合はLを0.25として按分します。上のツールにもチェック欄を用意しました。

S2——株式等の含み益に課税相当額を引く

S2は比較的単純です。株式等の価額の合計額(相続税評価額)から、その計算の基とした株式等の帳簿価額の合計額を引いた残額があるときは、その残額に法人税額等相当額の割合を乗じた金額を株式等の相続税評価額から控除し、課税時期における発行済株式数で割ります。

残額がないとき——つまり株式等に含み損がある場合は、控除せずに株式等の相続税評価額をそのまま発行済株式数で割ります。純資産価額方式で評価差額がマイナスのときに控除しないのと同じ考え方です。

必ず有利になるわけではない

ここは誤解されやすい点です。S1+S2方式は「選べる」ものであって、必ず原則より低くなるわけではありません。どちらが低いかは会社の中身によって変わります。

傾向としては、株式等以外の事業部分の収益力が高く、かつ会社規模が大きい(斟酌率0.7が使える)会社ほど、S1+S2方式が効きやすいといえます。S1の部分に類似業種比準価額が多く入るためです。逆に、株式等以外にほとんど事業がない純粋持株会社では、S1が小さくS2が大半を占めるため、原則の純資産価額と大きくは変わりません。

上のツールは原則どおり純資産価額で評価した場合との比較を同時に表示します。どちらを採るかは、両方を計算してから決めてください。純資産価額だけを詳しく見たい場合は純資産価額方式 計算ツールをご利用ください。

よくある質問

Ⓑ・Ⓒ・Ⓓはどこから持ってきますか

通常の類似業種比準価額の計算で求めるものと同じです。類似業種比準価額 計算ツールで計算した結果を転記してください。いずれも1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額です。類似業種のA・B・C・Dは、国税庁が年分ごとに公表する通達から転記します。

営業利益が赤字の場合はどうなりますか

受取配当金等収受割合の分母が小さくなるため、割合は1に近づきます。赤字が大きく分母が0以下になる場合の取扱いは通達に明示がありません。本ツールは上限である1を採る扱いにし、その旨を画面に表示します。実際の申告では税理士にご確認ください。

80%評価は使えますか

取得者とその同族関係者の議決権割合が50%以下であれば、純資産価額に80%を乗じる取扱いがあります。上のツールではチェック欄で切り替えられます。議決権割合は1%未満を切り捨て、50%超51%未満なら51%として扱う点に注意してください。判定は同族株主の判定ツールで確認できます。

持株会社にすると評価額は下がりますか

一概には言えません。株式等保有特定会社に当たれば類似業種比準方式を単純には使えなくなるため、むしろ上がることもあります。また通達189は、判定を免れるために合理的な理由なく資産構成を変動させた場合、その変動はなかったものとして判定すると明記しています。組織再編は事業上の目的にもとづいて設計すべきもので、評価額は結果です。仕組みは持株会社とは、手法は株式交換・株式移転をご覧ください。

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※ 本ツールは財産評価基本通達189-3の算式を実装した概算です。各資産を通達に従って評価する部分は含んでいません。評価明細書(第7表・第8表)への記載、現物出資等受入れ差額がある場合の取扱い、営業利益が赤字で収受割合の分母が0以下になる場合の扱いを含め、実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。

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