清算中の会社の株式評価(複利現価)計算ツール

会社が清算に入っている場合、株式の評価はこれから分配を受ける金額を、受け取れる時期まで割り引いた金額で行います。財産評価基本通達189-6の定めです。類似業種比準方式も純資産価額方式も使いません。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。

清算中の会社の株式は、清算の結果分配を受ける見込みの金額を、分配を受けると見込まれる日までの期間で割り引いた金額で評価します(財産評価基本通達189-6)。分配が2回以上に分かれる場合は、それぞれを割り引いて合計します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。

① 課税時期と株式数

② 基準年利率(課税時期の属する月)

国税庁が月ごとに公表する「◯年分の基準年利率について(法令解釈通達)」から、該当する月の率を転記してください。年数に応じて3つの区分があります。

③ 分配を受ける見込み

1回目

期間 2(端数は1年に切上げ)→ 短期(1年・2年)・年1.00% → 複利現価率 0.980(端数処理前 0.980296

2回目

期間 4(端数は1年に切上げ)→ 中期(3年〜6年)・年1.50% → 複利現価率 0.942(端数処理前 0.942184

計算結果

分配見込額年数区分・率複利現価率複利現価の額
1回目6,000万円2年短期・年1.00%0.9805,880万円
2回目4,000万円4年中期・年1.50%0.9423,768万円
合計10,000万円9,648万円

割引による減少額

352万円

分配見込額の合計 10,000万円 との差

1株当たりの価額

9,648

複利現価の額の合計 ÷ 課税時期の発行済株式数

計算にあたっての注意

期間の端数は切り上げて1年とする

評基通189-6は、課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間について、1年未満であるとき、または1年未満の端数があるときは、これを1年とすると定めています。2年3か月なら3年、半年なら1年です。本ツールも切り上げて計算します。

基準年利率は「課税時期の属する月」のもの

基準年利率は国税庁が月ごとに公表しており、年数または期間に応じて短期・中期・長期の区分があります。用いるのは課税時期の属する月の率です。本ツールは率を内蔵していないため、該当する月の通達から転記してください。

複利現価率は小数点以下3位

国税庁が公表する複利表の複利現価率は、小数点以下3位まで(4位を四捨五入)で示されています。本ツールも同じ桁で丸めた率を用い、参考として端数処理前の値も表示します。

分配が2回以上に分かれる場合はそれぞれを割り引いて合計する

通達は、2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合、そのそれぞれの金額を、それぞれの分配見込日までの期間に応じて割り引き、その合計額によると定めています。年数が違えば適用する区分(短期・中期・長期)も変わります。

189-6には同族株主以外の株主等についてのなお書がない

比準要素数1の会社(189-2)や土地保有特定会社等(189-4)には、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合の定め(なお書)が置かれていますが、清算中の会社の189-6にはこれがありません。取扱いについては税理士にご確認ください。

※ 本ツールは財産評価基本通達189-6の定めを実装した概算です。分配を受ける見込みの金額そのもの(残余財産の見積り)は含んでいません。基準年利率は国税庁の通達からご自身で転記いただくもので、本ツールはデータを保持していません。実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。

通達は何と定めているか

評基通189-6は、清算中の会社の株式の価額について次のように定めています。

清算の結果分配を受ける見込みの金額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、そのそれぞれの金額)の課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とする。)に応ずる基準年利率による複利現価の額(2回以上にわたり分配を受ける見込みの場合には、その合計額)によって評価する。

一文に要素が詰まっているので、分解すると次の4つになります。

  • 評価の対象は「清算の結果分配を受ける見込みの金額」
  • 割り引く期間は課税時期から分配を受けると見込まれる日まで
  • その期間が1年未満のとき、および1年未満の端数があるときは1年とする
  • 割引に使うのは基準年利率による複利現価。分配が2回以上ならそれぞれを割り引いて合計する

期間は切り上げる

ここが最初のポイントです。端数は切り捨てではなく切り上げます。

課税時期から分配見込日まで適用する年数
半年1年
ちょうど1年1年
1年と1日2年
2年3か月3年

切り上げると年数が増えるので、割引が大きくなり評価額は下がる方向に働きます。また、年数が繰り上がることで基準年利率の区分そのものが変わることがあります。2年1か月なら3年となり、短期ではなく中期の率が適用されます。上のツールは入力した日付から年数と区分を自動で判定します。

基準年利率の3つの区分

基準年利率は国税庁が月ごとに公表しており、年数または期間に応じて次の3区分があります。

区分年数または期間
短期1年・2年
中期3年・4年・5年・6年
長期7年以上

通達は「課税時期の属する月の年数又は期間に応ずる基準年利率を用いる」と注記しています。つまり、相続が2月に発生したなら2月分の率を使います。年の途中で率が変わることがあるため、月を取り違えると結果がずれます。

本ツールはこの率を内蔵していません。月ごとに改訂される数値を抱え込むと、更新漏れがそのまま誤った税額につながるためです。国税庁の「◯年分の基準年利率について(法令解釈通達)」から、該当する月の率を転記してご利用ください。同じ考え方で、類似業種比準価額 計算ツールの業種目別データも内蔵していません。

複利現価率は小数点以下3位

複利現価率は、1を(1+基準年利率)の年数乗で割った値です。国税庁は基準年利率とあわせて複利表を公表しており、そこに示される複利現価率は小数点以下3位まで(4位を四捨五入)です。

切り捨てではなく四捨五入である点は、実際に確かめられます。年1.5%・6年の正確な値は0.9145…ですが、複利表に載っているのは0.915です。切り捨てなら0.914になるはずなので、四捨五入されていることが分かります。本ツールもこの桁で丸めた率を用い、検算しやすいように端数処理前の値も併記しています。

参考までに、令和8年1〜4月分(短期1.0%・中期1.5%・長期2.5%)の複利現価率は次のようになります。上のツールで同じ率と年数を入れると、同じ値が出ます。

年数1年3年6年7年10年
複利現価率0.9900.9560.9150.8410.781

分配が2回以上に分かれる場合

清算は一度で終わるとは限りません。先に一部を分配し、残余財産が確定してから残りを分配する、という進め方もあります。通達はこの場合、それぞれの金額を、それぞれの分配見込日までの期間で割り引き、その合計額によるとしています。

このとき、分配ごとに適用する区分が変わりうる点に注意してください。1回目が1年後なら短期、2回目が5年後なら中期の率です。上のツールは分配ごとに年数・区分・率・複利現価率を表示するので、どの分配にどの率が当たっているかを確認できます。

この方式が適用される前提

清算中の会社は、評基通189が定める特定の評価会社の6類型のうち(6)に当たります。該当するかどうか、また他の類型と重なる場合にどちらが優先するかは特定の評価会社の判定ツールで確認できます。2以上に該当する場合は後の番号の判定によるため、清算中の会社は番号が最も大きく、他の類型に重ねて当たる場合でもこちらが優先されます。

評価全体の流れは取引相場のない株式の評価をご覧ください。なお、会社をたたむかどうかの検討段階であれば、清算ではなく第三者への譲渡という選択肢もあります。判断材料は黒字廃業を避けるために赤字・債務超過会社の売却で整理しています。

よくある質問

分配を受ける見込みの金額はどう見積もりますか

残余財産の見積りそのものは通達が定めるところではなく、清算の進行状況にもとづいて判断します。資産の換価見込額から負債と清算費用を差し引いた金額が出発点になりますが、見積りの妥当性が評価額を左右するため、根拠資料を残しておくことが重要です。本ツールはこの見積り部分を含んでいません。

純資産価額で評価してはいけないのですか

清算中の会社については、通達が189-6の方法によると定めています。純資産価額方式によるのは、開業前または休業中の会社(189-5)など別の類型です。ただし分配見込額の見積りには資産・負債の評価が必要になるため、実務上は純資産価額の計算と地続きの作業になります。

同族株主以外が取得した場合は配当還元方式ですか

注意が必要です。比準要素数1の会社(189-2)や土地保有特定会社等(189-4)には、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合の定め(なお書)が置かれていますが、清算中の会社の189-6にはこれがありません。取扱いについては税理士にご確認ください。判定そのものは同族株主の判定ツールで行えます。

分配時期が決まっていない場合は

通達は「分配を受けると見込まれる日」としており、見込みにもとづいて判断します。清算の進行状況、換価が必要な資産の内容、債権債務の整理の見通しなどから合理的に見積もることになります。期間を長く見積もるほど評価額は下がるため、見積りの根拠は説明できるようにしておいてください。

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※ 本ツールは財産評価基本通達189-6の定めを実装した概算です。分配を受ける見込みの金額(残余財産の見積り)は含んでいません。基準年利率は国税庁の通達からご自身で転記いただくもので、本ツールはデータを保持していません。実際の申告にあたっては必ず税理士にご確認ください。

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