事業承継・M&Aの期限逆算プランナー
「何歳で引退したい」という希望から逆算して、いつ何を始めればよいかをマイルストーン表にするツールです。第三者へのM&A、親族内承継、役員・従業員承継それぞれの標準的な所要期間をもとに、着手時期・各工程の目安・間に合うかどうかの判定を表示します。入力した内容はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。
引退(退任・譲渡完了)を希望する時期と道筋を選ぶと、標準的な所要期間から逆算して「いつ何を始めるか」を表にします。入力した内容はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。
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なぜ逆算が必要なのか
事業承継の相談で最も多いのは「もう少し早く動いていれば選択肢があった」という後悔です。体調を崩してから、あるいは取引先や金融機関から後継者について尋ねられてから動き始めると、時間の制約から取れる手段が限られます。買い手をじっくり探す余裕がなくなり、条件面で妥協せざるを得ないこともあります。だからこそ、まず「いつ引退したいか」を決め、そこから必要な期間を差し引いて着手時期を出す、という順番で考えることが大切です。タイミングの考え方は会社売却のタイミングで詳しく解説しています。
逆算してみると、多くの経営者が驚くのが「思ったより前から動く必要がある」という点です。第三者へのM&Aでも準備から決済まで一般に1年前後、親族や従業員への承継となると育成と株式移転を含めて3〜5年が目安とされます。株式が分散していれば、その整理にさらに時間がかかります。引退の2年前に相談に来られても、親族内承継はもう間に合わない、という判断になることもあるのです。
道筋ごとの標準的な所要期間
本ツールが使っている期間は、一般に語られる目安です。実際には相手・業種・規模・株主構成によって大きく前後します。
| 道筋 | 合計の目安 | 内訳のイメージ |
|---|---|---|
| 第三者へのM&A | おおむね9〜18か月 | 準備・磨き上げ3〜6か月/相手探し3〜6か月/交渉・基本合意・DD 2〜4か月/契約・クロージング1〜2か月 |
| 親族内承継 | おおむね3〜5年 | 現状把握・方針決定/後継者の合意/育成と権限移譲(2〜3年)/株式移転と代表交代 |
| 役員・従業員承継 | おおむね3〜5年 | 候補者の選定・意思確認/引継ぎ/買い取り資金の調達/株式譲渡と個人保証の切替 |
| 株式が分散している場合 | +6〜12か月 | 名義株の確認、所在不明株主・少数株主への買い取り交渉、手続きの検討 |
M&Aの各工程の中身は会社売却の流れに、仲介会社やFAを使う場合の実務の順序はM&A仲介の実務フローにまとめています。
期間が延びやすい要因
- 株式の分散:先代の相続で株が分かれた、設立時の名義貸しがそのままになっている、といったケースでは、株主の特定と買い取り交渉に時間がかかります(名義株の整理)。
- 後継者候補がいない:親族内・従業員への承継を考えていても、本人と家族の同意が得られるとは限りません。候補の探索と意思確認に半年から1年を見ておくと現実的です(後継者不在のときの選択肢)。
- 資料が整っていない:決算書・契約書・許認可の書類がそろわないと、買い手の検討が進みません。準備工程が長引く最大の原因です。
- 簿外債務や係争:デューデリジェンスで想定外の指摘が出ると、条件の再交渉で数か月が飛びます(デューデリジェンスとは)。
- 許認可・取引先の同意:業種によっては許認可の承継や、取引基本契約のチェンジオブコントロール条項への対応が必要です。
- 個人保証の解除:金融機関との調整に時間がかかることがあります(個人保証の解除)。
間に合わないときに考えること
逆算した結果、引退希望時期に間に合わないと出た場合でも、打つ手はあります。第一に、並行できる工程を並行させることです。資料の整備と買い手候補への打診、株主の整理と株価の試算は、順番に進める必要はありません。第二に、工程そのものを短くすることです。決算書や契約書が整っている会社なら準備期間は短くて済みますし、複数の候補に同時に打診すれば相手探しの期間は縮みます。
第三に、道筋を見直すことです。後継者の育成に数年が必要な親族内承継より、第三者へのM&Aのほうが期限に間に合いやすい場合があります。第四に、引退の形を分けることです。代表を退く時期と株式を譲る時期をずらす、譲渡後も一定期間は顧問として引継ぎに関わる、といった設計にすれば、期限の制約はやわらぎます。実際、M&Aでは譲渡後に前経営者が半年から数年関与する形が珍しくありません(引継ぎ(PMI)の進め方)。
どうしても引き継ぎ先が見つからない場合には、廃業という選択肢も検討対象になります。ただし、黒字のまま廃業すると、従業員の雇用も取引先との関係も、蓄積した技術も失われます。手元に残る金額という点でも、譲渡と廃業では結果が変わることがあります(黒字廃業という選択)。判断を急ぐ前に、まず相談先を確保してください(事業承継の相談先)。
使い方のコツ
- 引退希望時期は決算月に合わせると、株式の移転や引継ぎの区切りを考えやすくなります。
- 道筋が決まっていなければ「未定」を選んでください。方針を決める工程を含めた幅の広い目安が出ます。決まると幅は縮まります。
- 「株式が分散している」「後継者の候補がいる」のチェックを切り替えて、条件が変わると着手時期がどれだけ動くかを見比べてみてください。
- 出てきたマイルストーン表は、そのまま相談先への持ち込み資料になります。関連記事のリンクから、各工程で何が起きるかを先に読んでおくと話が早く進みます。
- 従業員への開示は、時期を誤ると動揺や離職につながります。工程表を作る段階で方針を決めておいてください(従業員への開示のタイミング)。
よくある質問
Q. 事業承継の準備は、何年前から始めるべきですか?
A. 道筋によって変わります。親族内・役員従業員への承継なら、後継者の育成と権限移譲に数年かかるため、引退の5年前から動き始めても早すぎることはありません。第三者へのM&Aでも、相手探しから決済まで1年前後は見ておく必要があり、その前に資料の整備や磨き上げの期間が加わります。株式が分散している場合はさらに前倒しが必要です。本ツールで自分の条件を入れて、着手時期を確認してみてください。
Q. M&Aの期間は、実際どのくらいかかりますか?
A. 一般には9〜18か月程度が目安といわれます。ただし、買い手がすぐ見つかれば半年程度で決済まで進むこともあり、逆に相手が見つからなければ数年かかることもあります。期間を左右するのは、資料の整い方、業種の人気、価格の希望水準、そして株主構成です。準備が整っている会社ほど短く終わる傾向があります(売り手側の事前準備)。
Q. まだ売ると決めていませんが、動き出してよいですか?
A. 準備の初期段階でやることは、決めていなくても無駄になりません。決算書の整理、株主名簿の確認、個人資産と会社資産の切り分け、自社の価値の把握は、承継でも売却でも廃業でも必要になる作業です。買い手候補への打診まで進めなければ情報が外に出ることもありません。まずは相談先を決め、選択肢を並べるところから始めるのが現実的です(事業承継の相談先)。
Q. 従業員や取引先にはいつ伝えればよいですか?
A. 第三者へのM&Aでは、契約締結後から決済の前後にかけて伝えるのが一般的とされます。早く伝えすぎると、話がまとまらなかった場合に不安だけが残ってしまうためです。一方、親族内・従業員への承継では、権限移譲を進める過程で社内に段階的に浸透させていく形になります。いずれも順序と伝え方の設計が重要です(従業員への開示のタイミング)。
あわせて読みたい
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- 会社売却の流れ|準備から決済まで
- 後継者不在のときの選択肢
- 事業承継の相談先
- 名義株の整理|分散した株式をまとめる
- 従業員への開示のタイミング
- 売り手側の事前準備(セルサイドDD)
- デューデリジェンスとは
- 買い手の探し方
- 事業承継税制|納税猶予の期限に注意
- MBOとは|役員・従業員への承継
- 個人保証の解除
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※ 本ツールが用いる期間は、一般的に語られる標準的な目安です。実際の所要期間は、相手・業種・規模・株主構成・許認可の有無などによって大きく変わります。個別の進め方や税務・法務の判断は、税理士・弁護士・金融機関・M&Aの専門家にご確認ください。
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