損益分岐点(BEP)計算ツール

損益分岐点売上高(BEP)と限界利益率、損益分岐点比率、安全余裕率、目標利益を達成するために必要な売上高を、無料・登録不要で自動計算します。固定費や変動費率を動かしたときに必要売上がどう変わるかの早見表も表示します。入力した数値はブラウザ内で計算され、サーバーに送信されません。

年間の売上高・変動費・固定費と、目指したい営業利益を入力すると、限界利益率・損益分岐点売上高・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益達成売上高と、固定費や変動費率を動かしたときの早見表を計算します。入力した数値はブラウザ内で計算され、どこにも送信されません。

限界利益 / 限界利益率

40.0%

限界利益 4,000万円

損益分岐点売上高

7,500万円

7,500万円/固定費 3,000万円 ÷ 限界利益率 40.0%

損益分岐点比率

75.0%

低いほど余裕がある

安全余裕率

25.0%

売上が 25.0% 減るまで赤字にならない計算

営業利益(現状)

1,000万円

限界利益 − 固定費

目標営業利益 1,500万円を達成するために必要な売上高は 11,250万円1億1,250万円)です。現在の売上高からあと 1,250万円12.5%の増収)が必要です。

計算の内訳(万円)

項目金額売上比
売上高10,000100.0%
変動費(−)6,00060.0%
限界利益4,00040.0%
固定費(−)3,00030.0%
営業利益1,00010.0%

固定費を動かしたときの必要売上(万円)

固定費限界利益率損益分岐点売上高目標利益達成売上高現在の売上での営業利益
固定費 −20%40.0%6,0009,7501,600
固定費 −10%40.0%6,75010,5001,300
現状40.0%7,50011,2501,000
固定費 +10%40.0%8,25012,000700
固定費 +20%40.0%9,00012,750400

変動費率を動かしたときの必要売上(万円)

変動費率限界利益率損益分岐点売上高目標利益達成売上高現在の売上での営業利益
変動費率 −4pt44.0%6,81810,2271,400
変動費率 −2pt42.0%7,14310,7141,200
現状40.0%7,50011,2501,000
変動費率 +2pt38.0%7,89511,842800
変動費率 +4pt36.0%8,33312,500600

固定費を1万円削ると、必要売上は「1万円 ÷ 限界利益率」=約 2.5万円分だけ軽くなります。売上を増やすより固定費を削るほうが効く場面が多いのは、この倍率のためです。

※ 固定費と変動費の分け方には幅があり、分け方を変えれば損益分岐点も変わります。あくまで目安としてご利用ください。

損益分岐点の計算式

損益分岐点(Break Even Point、BEP)とは、利益がちょうどゼロになる売上高のことです。ここを超えれば黒字、下回れば赤字になります。計算のスタート地点は、費用を「売上に比例して増減する変動費」と「売上が動いてもほぼ変わらない固定費」に分けることです。仕入・材料費・外注費・販売手数料などが変動費、人件費・家賃・リース料・減価償却費・保険料などが固定費にあたります。

限界利益 = 売上高 − 変動費
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

限界利益は「売上が1円増えたときに、いくら手元に残るか」を表します。限界利益率40%の会社なら、売上100万円につき40万円が固定費の回収に回る計算です。この40万円を積み上げて固定費をちょうど回収しきる売上高が損益分岐点で、固定費3,000万円・限界利益率40%なら7,500万円になります。売上を増やす話をする前に、まず「うちは1円売るといくら残るのか」を押さえるのが出発点です。

損益分岐点そのものは金額なので、規模の違う会社とは比べられません。そこで、実際の売上高と比べた比率を使います。

損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高
安全余裕率 = 1 − 損益分岐点比率
目標利益達成売上高 = (固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率

損益分岐点比率が75%なら、いまの売上が25%落ちるまでは赤字にならない、という意味です。この25%が安全余裕率です。景気や取引先の事情で売上が急に落ちることは珍しくないので、この余裕がどれだけあるかは経営の耐久力そのものを示します。目標利益達成売上高は、固定費に目標利益を足したものを限界利益率で割るだけです。「営業利益1,500万円を出すには売上がいくら必要か」を、感覚ではなく数字で答えられるようになります。

固定費・変動費・売上のどれを動かすのが効くか

上のツールには、固定費を増減させたときと、変動費率を増減させたときの必要売上の早見表を付けています。ここで見えてくるのは、固定費の削減が「限界利益率の逆数」の倍率で効くという事実です。限界利益率40%なら、固定費を100万円削るだけで必要売上は250万円下がります。売上を250万円増やすのと、固定費を100万円削るのが同じ効果、ということです。

変動費率の改善はさらに大きく効きます。仕入単価の見直しや値上げで限界利益率が数ポイント上がるだけで、損益分岐点は目に見えて下がります。逆に、値引き販売で限界利益率が下がると、同じ利益を出すために必要な売上は跳ね上がります。「売上は伸びているのに利益が出ない」という状態は、たいていここで説明がつきます。売上・限界利益率・固定費の三つのうち、自社でいちばん動かしやすいのはどれかを、早見表で比べてみてください。

固定費と変動費の分け方には幅がある

損益分岐点の計算そのものは単純ですが、実務でつまずくのは費用の分解です。代表的な方法に、勘定科目ごとに固定費・変動費を割り当てる勘定科目法と、過去の売上と費用の関係から回帰的に求める最小二乗法(回帰分析法)、売上が最も高い月と低い月から傾きを出す高低点法があります。どれを使うかで結果は変わり、唯一の正解はありません。まずは勘定科目法で大まかに分け、期をまたいで同じ基準を使い続けることのほうが重要です。

判断が分かれやすいのが、運送費・水道光熱費・派遣やアルバイトの人件費など、固定費と変動費が混ざった費用です。厳密に分けようとすると手が止まるので、金額の大きい科目だけ丁寧に扱い、小さい科目は割り切って固定費に寄せる、という進め方で十分に実用的です。

もう一つの論点が役員報酬です。会計上は固定費ですが、中小企業では利益調整の色が強く、金額の決め方がオーナーの意向次第という会社も少なくありません。損益分岐点を「会社の実力」として見たいのであれば、同じ規模・同じ業種で人を雇った場合に必要な水準(適正な役員報酬)に置き換えて計算するほうが実態に近づきます。この考え方はM&Aの正常収益力の調整と同じで、役員報酬・オーナー個人の費用・一時的な損益を実力ベースに直したうえで評価します。役員退職金を絡めた調整については役員退職金 計算ツールもあわせて確認してください。

M&A・企業価値評価との関係

損益分岐点比率は、買い手が会社を見るときの「収益の安定性」を測る物差しの一つです。同じ営業利益を出している2社でも、損益分岐点比率が70%の会社と95%の会社では意味がまったく違います。前者は売上が3割落ちても赤字にならないのに対し、後者は5%の減収で赤字に転落します。買収後に想定どおり売上が伸びなかった場合のダウンサイドが小さい会社ほど、買い手はリスクを低く見積もれるため、評価されやすくなります。

実際の評価は、この安定性を反映した正常収益力ベースの利益に倍率をかけて計算されることが多く、EBITDAや営業利益に一定の倍率をかける年買法などが使われます。相場観については会社売却の相場はいくらかにまとめています。DCF法で評価する場合も、損益分岐点比率が低い会社は事業計画の下振れリスクが小さいと判断され、割引率の置き方や事業計画の織り込み方に影響します(DCF法とは)。

また、デューデリジェンスでは、費用の固定費・変動費の内訳と、過去数年の月次の損益分岐点の推移まで見られます。固定費が年々膨らんでいる会社は、たとえ直近が黒字でも警戒されます。売却を検討しているなら、まず自社の損益分岐点比率を把握し、固定費のうち削れるもの・オーナー個人に紐づくものを整理しておくと、交渉の土台がしっかりします(売り手側の事前準備)。業種ごとの見られ方の違いは業種別の評価ポイントを参照してください。

よくある質問

Q. 損益分岐点比率はどのくらいなら良いのですか?

A. 業種や事業モデルによって大きく異なるため、一律の基準を示すことはできません。設備投資が重く固定費が大きい業種では比率は高くなりがちで、外注中心で固定費が軽い業種では低くなります。自社の過去の推移と、同業の水準と比べて判断してください。少なくとも「年々上がっている」なら、収益の耐久力が落ちているサインです。

Q. 人件費は固定費ですか、変動費ですか?

A. 正社員の給与は固定費として扱うのが一般的です。一方、売上に連動して増減するアルバイト・派遣の人件費や、出来高払いの報酬は変動費に近い性質を持ちます。製造業で工員の労務費を製造原価に含めている場合は、変動費として扱う流儀もあります。どちらにするかより、期をまたいで同じ基準を使うことのほうが大切です。

Q. 限界利益率と粗利率は同じものですか?

A. 近いですが同じではありません。粗利率は売上総利益(売上−売上原価)を売上で割ったもので、売上原価には固定費的な費用(工場の減価償却費など)が含まれることがあります。限界利益率は、売上原価か販管費かに関係なく「変動費だけ」を差し引いて計算します。製造業では両者の差が大きくなりやすい点に注意してください。

Q. 赤字でも会社は売れますか?

A. 売れるケースはあります。役員報酬やオーナー個人の費用を実力ベースに直すと黒字になる会社、固定費の見直しで損益分岐点を下回れる会社、取引先や技術・人材に価値がある会社などです。詳しくは赤字会社の売却黒字廃業を避ける選択肢を参照してください。評価の前提となる利益の見方は事業承継の株価算定でも解説しています。

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※ 本ツールは単純化した概算です。固定費と変動費の分け方によって結果は変わります。数値はいずれも目安であり、税務・会計・法務の判断は専門家にご確認ください。

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