株式譲渡の税金|非上場株式の売却益は20.315%、計算と申告

最終更新: 2026-10-25

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会社を売却して株式を買い手に譲る、自社株を後継者の親族や役員に譲る、あるいは会社に買い取ってもらう。非上場株式を手放す場面はいくつかありますが、そのたびに問題になるのが「税金がいくらかかるのか」です。株式譲渡の税金は、誰が(個人か法人か)、誰に(第三者・親族・発行会社)、いくらで売るかによって、課税の仕組みそのものが変わります。

本稿では、個人が非上場株式を第三者に売ったときの基本的な課税(一般株式等の譲渡所得・申告分離課税)から、譲渡所得の計算方法、取得費が分からないときの扱い、譲渡費用の範囲、確定申告の手順、発行会社に売るときのみなし配当、相続した株式の特例、低額譲渡の注意点、法人株主の場合までを、国税庁のタックスアンサーや法令の内容をもとに整理します。最後に、譲渡価格2億円の数値例で税額と手取りを通しで計算します。

なお、本稿の税率・制度は執筆時点(2026年10月)に国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)などで確認できた内容です。実際の申告や取引条件の判断は、必ず税理士等の専門家に確認してください。

結論:個人が第三者に売るなら、売却益に20.315%の申告分離課税

先に要点をまとめます。

  • 個人が非上場株式を譲渡した利益は「一般株式等に係る譲渡所得等」として、給与など他の所得と分けて税額を計算する申告分離課税になります。
  • 税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税=所得税額の2.1%、住民税5%)。所得がいくら大きくても税率は原則として一定で、累進課税ではありません。
  • 課税対象は売却代金そのものではなく利益です。譲渡価額から取得費と譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額に税率をかけます。
  • 発行会社に売る(自己株式の取得)と、原則として一部が「みなし配当」となり、総合課税(累進税率)の配当所得として課税されます。第三者への売却とは税負担が大きく変わることがあります。
  • 時価より極端に安く売ると、別の課税が生じます。個人間なら買い手に贈与税、個人から法人へ時価の2分の1未満で売ると、売り手は時価で売ったものとみなされます。

売却後に手元に残る金額の目安は、無料の株式譲渡の手取り計算機ですぐに確認できます。以下で、仕組みを一つずつ見ていきます。

株式譲渡とは:会社の持ち主が変わる取引

株式譲渡とは、株主が保有する株式を他人に譲り渡すことです。中小企業のM&Aでは、オーナーが保有する株式をすべて買い手に譲渡し、会社の経営権を移す方法が最も多く使われます。会社そのものは存続し、従業員・取引先との契約・許認可も原則としてそのまま残る一方、売却代金を受け取るのは会社ではなく株主個人です。そのため、税金も株主個人(または株主である法人)にかかります。

会社が事業を売る「事業譲渡」とは、売り手も課税の仕組みも異なります。両者の違いは事業譲渡と株式譲渡の違いで詳しく比較しています。また、非上場会社の株式の多くは譲渡に会社の承認が必要な譲渡制限株式です。承認手続きは譲渡制限株式とは、契約書の主な条項は株式譲渡契約書(SPA)の要点をご覧ください。

個人が非上場株式を譲渡したときの課税の仕組み

「一般株式等」の譲渡所得として申告分離課税

国税庁のタックスアンサー(No.1463)によると、株式等の譲渡による所得は「上場株式等に係る譲渡所得等」と「一般株式等に係る譲渡所得等」に区分され、それぞれ他の所得と分けて税金を計算する申告分離課税とされています。上場株式等以外の株式等が「一般株式等」なので、非上場株式はこちらに入ります。

税率20.315%の内訳

税目税率計算の基礎
所得税15%一般株式等に係る譲渡所得等の金額
復興特別所得税所得税額の2.1%(=譲渡所得の0.315%)基準所得税額(上記の所得税額)
住民税5%一般株式等に係る譲渡所得等の金額
合計20.315%

復興特別所得税は、平成25年から令和29年までの各年分について所得税とあわせて申告・納付するもので、基準所得税額に2.1%をかけて計算します(15%×2.1%=0.315%)。

令和9年(2027年)分以後は、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(所得税額の1%)が加わる改正が行われています。国税庁のタックスアンサー(No.1477)でも、非上場株式の譲渡所得について「15.315パーセントに相当する金額の所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は所得税、復興特別所得税および防衛特別所得税)」と説明されており、所得税側の合計税率15.315%は変わらない整理です。2027年以後に譲渡する場合は、申告時点の国税庁の案内で内訳を確認してください。

上場株式との損益通算はできない

一般株式等と上場株式等は別々の申告分離課税です。タックスアンサー(No.1463・No.1465)によると、上場株式等の譲渡損失を非上場株式の譲渡益から差し引くことはできず、非上場株式の譲渡損失も原則として上場株式等の譲渡益から差し引けません。また、株式等の譲渡損失を給与所得など他の所得と相殺することも、不動産所得などの赤字を株式の譲渡益と相殺することもできません。

「会社を売った年に上場株の損失があるから税金が減る」とはならない点に注意が必要です。なお、非上場株式どうし(一般株式等の中)であれば、同じ年の譲渡益と譲渡損は通算されます。

譲渡所得の計算方法

非上場株式の譲渡所得は、次の算式で計算します。

項目内容
譲渡価額(総収入金額)株式の売却代金。M&Aでは株式譲渡契約で定めた譲渡対価
−取得費株式を取得したときの払込金額や購入代金、取得のための費用
−譲渡費用仲介手数料など、譲渡のために直接要した費用
=譲渡所得の金額この金額に20.315%をかけた額が税額の目安

取得費:払込金額・購入代金、相続・贈与なら引き継ぎ

タックスアンサー(No.1464)によると、取得費は株式を取得したときに支払った払込代金や購入代金で、購入手数料や名義書換料など取得のために要した費用も含まれます。会社設立時に出資した創業者であれば、出資した金額(払込金額)が基本です。相続・遺贈・贈与で取得した株式は、被相続人や贈与者の取得費を引き継ぎます。相続時の評価額が取得費になるわけではない点は誤解しやすいところです。

創業時の出資者名義と実際の出資者が違う、いわゆる名義株があると、取得費や株主の確定でつまずくことがあります。売却前の整理は名義株とはで解説しています。

取得費が分からないときは概算取得費(譲渡価額の5%)

相続した株式や取得時期が古い株式で取得費が分からない場合には、同一銘柄ごとに売却代金の5%相当額を取得費とすることも認められます(タックスアンサーNo.1464)。根拠となる措置法通達(37の10・37の11共-13)は、収入金額の100分の5を取得価額として計算しているときは「これを認めて差し支えない」としており、文言上は取得費が不明な場合に限定していません。そのため、実際の取得費が売却代金の5%より小さい場合に概算取得費を使う検討も考えられますが、個別の適用は税理士等に確認してください。

たとえば創業時に1,000万円を出資した会社の株式を2億円で売る場合、実際の取得費は1,000万円、概算取得費も2億円×5%=1,000万円で同額です。出資額が300万円なら、実額より概算取得費のほうが700万円大きくなります。

譲渡費用:仲介手数料など譲渡のために直接要した費用

所得税基本通達33-7は、譲渡費用を「資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用」などとしており、資産の維持・管理の費用は含まれないとしています。株式の譲渡では、確定申告書等作成コーナーの説明で、譲渡のために要した委託手数料(消費税を含む)や、株式を取得するための借入金の利子(その年の所有期間に対応する部分)が挙げられています。

M&Aの場合、売り手オーナーが支払う仲介会社・FAへの成功報酬は、譲渡のために直接要した費用として譲渡費用に含める整理が一般的です。一方、着手金や月額報酬、会社が支払った費用、売却とは関係のない相談料などは、誰が何のために支払ったかによって扱いが分かれる可能性があります。契約書や請求書の名義・内容を残しておき、税理士に確認すると安心です。手数料の水準はM&A仲介の手数料相場をご覧ください。

確定申告の手順と必要書類

非上場株式の譲渡は、上場株式の「源泉徴収ありの特定口座」のように売却時に税金が差し引かれる仕組みがないため、利益が出たら売り手が自分で確定申告します。タックスアンサー(No.2020)によると、申告期間は原則として譲渡した年の翌年2月16日から3月15日まで、申告・納付の期限は翌年3月15日です。2026年中に売却した場合は、2027年3月15日が期限の目安になります。

  • 申告書:確定申告書(第一表・第二表)に、分離課税用の第三表をあわせて作成します。
  • 計算明細書:「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」に、譲渡価額・取得費・譲渡費用などを記載します。国税庁の確定申告書等作成コーナーで入力すると、必要な付表や明細書も作成されます。
  • 手元に保管したい資料:株式譲渡契約書、代金の入金記録、取得費を示す資料(設立時の払込記録、購入時の契約書、相続時の遺産分割協議書など)、仲介手数料等の契約書・請求書・領収書。

住民税(5%)は、所得税の確定申告をすれば市区町村に情報が連携され、原則として翌年度に課税されます。売却代金を受け取ったら、納税資金を別に確保しておくことをおすすめします。

発行会社に売る場合:みなし配当で総合課税になる

親族や役員に買い取る資金がない場合などに、オーナーの株式を会社自身が買い取る(自己株式の取得)ことがあります。このとき課税の仕組みは第三者への売却と大きく異なります。

所得税法25条は、法人の自己株式の取得により株主が金銭等の交付を受けた場合、その金額が資本金等の額のうちその株式に対応する部分を超えるときは、超える部分を配当とみなすと定めています(市場での購入など一定の取得は除かれます)。つまり、会社から受け取る代金は次の2つに分かれます。

区分金額課税
みなし配当交付を受けた金額−株式に対応する資本金等の額配当所得として総合課税(累進税率)。配当控除の対象
譲渡収入株式に対応する資本金等の額一般株式等の譲渡所得(申告分離課税20.315%)。取得費との差額が譲渡損益

タックスアンサー(No.1330)によると、上場株式等以外の配当等は総合課税の対象となり、申告分離課税は選べません。支払時には所得税・復興特別所得税20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。総合課税の配当所得は確定申告で配当控除を受けられますが(No.1250)、給与などと合算して累進税率がかかるため、金額が大きいと第三者への売却より税負担が重くなることがあります。

たとえば会社に株式を5,000万円で買い取ってもらい、その株式に対応する資本金等の額が500万円なら、4,500万円がみなし配当、500万円が譲渡収入になります。取得費も500万円であれば譲渡所得はゼロで、課税の中心は4,500万円の配当所得です。会社側の手続きや財源規制、株価への影響は自己株式(金庫株)とは、配当の仕組みは配当とはで解説しています。

相続した株式を発行会社に売る特例(措置法9条の7)

相続税の納税資金を確保するために、相続した自社株を会社に買い取ってもらうケースには特例があります。タックスアンサー(No.1477)によると、相続または遺贈で財産を取得し納付すべき相続税額がある個人が、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続税の課税対象となった非上場株式を発行会社に譲渡した場合、みなし配当課税を行わずに対価の全額を譲渡所得の収入金額とすることができます。

  • 税率は申告分離課税の譲渡所得として計算されます(所得税等15.315%、ほかに住民税)。
  • 譲渡する日までに、所定の届出書(相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書)を発行会社に提出する必要があります。発行会社は、譲り受けた年の翌年1月31日までに所轄税務署長に提出します。
  • 次に説明する相続税の取得費加算の特例と併用できます。

相続税の取得費加算(措置法39条)

タックスアンサー(No.3267)によると、相続や遺贈で取得した株式などを、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、支払った相続税額のうち一定の金額を取得費に加算できます。要件は、相続等で財産を取得したこと、その人に相続税が課税されていること、期間内に譲渡したことです。加算額は、その人の相続税額のうち譲渡した財産に対応する部分として所定の算式で計算し、この特例を使わずに計算した譲渡益が上限です。適用には確定申告書に計算明細書などを添付します。

相続税がかかる自社株の評価は取引相場のない株式の評価方法、相続税の概算は相続税の概算計算ツールで確認できます。事業承継税制の納税猶予を受けている株式を譲渡すると猶予の扱いが変わる点にも注意が必要です。制度の概要は事業承継税制とはをご覧ください。

親族・役員・自社の法人に安く譲るときの注意(低額譲渡)

後継者の負担を軽くしようと、株式を時価より大幅に安い価格で譲ると、思わぬ課税が生じることがあります。誰に譲るかで扱いが異なります。

売り手→買い手主な論点根拠
個人→個人(親族・役員など)著しく低い価額で譲り受けた場合、時価と対価の差額は買い手が贈与により取得したものとみなされ、買い手に贈与税がかかる相続税法7条(タックスアンサーNo.4423)
個人→法人(資産管理会社など)時価の2分の1未満の対価で譲渡すると、売り手は時価で譲渡したものとみなされ、時価を基に譲渡所得が計算される所得税法59条1項2号、所得税法施行令169条
個人→法人(無償)法人への贈与も時価で譲渡したものとみなされる所得税法59条1項1号

個人間の「著しく低い価額」かどうかは個々の事案で判定され、法人への譲渡で使われる「時価の2分の1未満」という基準とは異なるとされています(No.4423)。また、法人側でも時価との差額について受贈益の課税などが問題になる場合があります。

ここでいう「時価」は、取引の当事者や税目によって考え方が異なり、相続税評価額をそのまま使えるとは限りません。非上場株式の評価方法の全体像は非上場株式の評価方法、同族株主かどうかで評価方式が変わる点は同族株主の判定と配当還元方式で解説しています。親族・役員への譲渡価格を決める際は、事前に税理士へ相談してください。

法人株主が非上場株式を譲渡する場合

株主が法人(持株会社など)の場合、株式の譲渡益は申告分離課税ではなく、その法人の他の所得と合算して法人税の課税所得になります。税率は法人の規模や所得の大きさで変わり、法人住民税・事業税もかかります。売却代金は法人に入るため、オーナー個人が使うには役員報酬や配当などでさらに課税を経ることになります。

また、法人株主が発行会社に株式を売る(自己株式の取得に応じる)場合も、個人と同様にみなし配当が生じますが、法人が受け取る配当には受取配当等の益金不算入の制度があり、個人とは結論が異なります。法人株主の取扱いは個別性が高いため、顧問税理士に確認してください。持株会社の仕組みは持株会社(ホールディングス)とはをご覧ください。

計算例:譲渡価格2億円の株式譲渡で税額と手取りを試算

オーナー(個人)が保有する非上場株式のすべてを、第三者の買い手に2億円で譲渡するケースを想定します。取得費は設立時の出資額1,000万円、売り手が支払う仲介手数料は1,500万円(税込)とします。2026年中の譲渡で、他に株式の譲渡損益はないものとします。

項目計算金額(目安)
譲渡価額200,000,000円
取得費設立時の出資額▲10,000,000円
譲渡費用仲介手数料(税込)▲15,000,000円
譲渡所得の金額2億円−1,000万円−1,500万円175,000,000円
所得税1億7,500万円×15%26,250,000円
復興特別所得税2,625万円×2.1%551,250円
住民税1億7,500万円×5%8,750,000円
税額合計1億7,500万円×20.315%35,551,250円
手取り2億円−仲介手数料1,500万円−税額3,555万1,250円149,448,750円

手取りは約1億4,945万円で、譲渡価格の約75%です。取得費は過去に払い込んだお金なので、売却時の手取りの計算では差し引きません(税額を減らす効果だけがあります)。実際の申告では所得金額・税額の端数処理があるため、数値は目安です。

同じ条件で取得費が分からない場合は、概算取得費として2億円×5%=1,000万円を使えるため、この例では結果は同じになります。出資額が300万円だった場合は、実額で計算すると譲渡所得が700万円増え、税額は約142万円(700万円×20.315%)増えます。数字を入れ替えて試すには株式譲渡の手取り計算機が便利です。売却価格そのものの考え方は会社はいくらで売れる?、試算の手順は会社売却シミュレーションで解説しています。

高額な譲渡と「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」

株式譲渡の税率は一定ですが、所得が極めて大きい人には追加の負担が生じる場合があります。タックスアンサー(No.2270)によると、令和7年分以後の所得税について「特定の基準所得金額の課税の特例」が適用され、その年の基準所得金額(一般株式等に係る譲渡所得等の金額も含まれます)が3億3,000万円を超える場合に、(基準所得金額−3億3,000万円)×22.5%が基準所得税額を上回るときは、その差額が所得税に加算されます。

所得が非上場株式の譲渡益だけで、基準所得税額が譲渡所得の15.315%とすると、追加負担が生じるのはおおむね譲渡所得が10億円強を超える水準からという計算になります。通常の中小企業M&Aで該当することは多くありませんが、大型の売却や、同じ年に他の大きな所得がある場合は確認が必要です。制度は見直されることがあるため、譲渡する年分の内容を国税庁の案内で確認してください。

M&Aで手取りを増やすための論点

株式譲渡の税率は一定なので、税額を左右するのは主に「譲渡所得の金額」と「売却代金をどの所得として受け取るか」です。代表的な論点を挙げます。

  • 役員退職金との組み合わせ:売却代金の一部を、株式の対価ではなくオーナーへの役員退職金として会社から支払う方法です。退職所得は退職所得控除を差し引いた後の2分の1が課税対象となる仕組み(勤続年数が短い役員などを除く)があり、組み合わせ方で手取りが変わることがあります。退職金を支払うと会社の純資産が減り株価も下がるため、譲渡対価との関係で検討します。詳しくは役員退職金と自社株評価、試算は譲渡対価と役員退職金の配分シミュレーターや役員退職金 計算ツールをご覧ください。
  • 事業譲渡との比較:事業譲渡では会社に法人税がかかり、そのお金をオーナーに移す段階で再び課税されるため、一般に株式譲渡より手取りが少なくなりやすい構造です。同じ価額での手取りの違いは株式譲渡と事業譲渡の手取り比較で確認できます。
  • 譲渡費用と取得費の漏れを防ぐ:取得費の資料、仲介手数料の契約書・請求書をそろえ、差し引ける費用を漏れなく計上します。
  • 買い手側の税制:中小企業の株式を買う側には、経営資源集約化税制など買い手向けの制度があり、交渉材料になることもあります。概要はM&Aの減税措置・税制優遇とはをご覧ください。
役員退職金の金額が過大と判断されると会社の損金に算入できない部分が生じるなど、スキームには税務上のリスクもあります。手取りを増やす方法は、必ず税理士等の専門家と個別に検討してください。M&Aでの税理士の関わり方は税理士のM&A支援で解説しています。

よくある質問

株式を売って損が出た場合はどうなりますか

非上場株式の譲渡損は、同じ年の他の一般株式等の譲渡益とは通算できますが、上場株式等の譲渡益や給与所得などとは原則として通算できず、上場株式のような翌年以後への繰越控除もありません(エンジェル税制の対象株式など一定の例外を除きます)。

分割払い(アーンアウトなど)の場合、いつ課税されますか

譲渡所得の収入計上の時期や、条件付きで後から支払われる対価の扱いは、契約内容によって判断が分かれる論点です。契約書の段階で税理士に確認しておくことをおすすめします。

住民税や社会保険料にも影響しますか

住民税は前述のとおり5%がかかります。それ以外の負担(国民健康保険料などの算定)への影響は、加入している制度や自治体によって異なるため、個別に確認してください。

まとめ

個人が非上場株式を第三者に譲渡した利益は、一般株式等の譲渡所得として申告分離課税となり、税率は20.315%(所得税15%・復興特別所得税・住民税5%)です。課税対象は譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた利益で、取得費が分からないときは売却代金の5%を使えます。上場株式との損益通算はできず、売った年の翌年3月15日までに確定申告が必要です。発行会社に売るとみなし配当として総合課税になり、相続した株式には措置法9条の7・39条の特例があります。時価より安く譲るときは、買い手の贈与税や、法人への時価2分の1未満の譲渡によるみなし譲渡に注意してください。税額は条件によって大きく変わるため、最終的な判断は税理士等の専門家に確認しながら進めてください。

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